2022年12月19日 (月)

歴史に残る激闘(男子W杯決勝)

 日本時間の今日(12/19)の0時からワールドカップ決勝のアルゼンチンvsフランスが行われ、PK戦の末アルゼンチンがフランスを下し、マラドーナを擁して優勝した1986年のメキシコ大会以来3度目の優勝を遂げました。メッシにとって唯一手に出来ていなかったワールドカップをキャプテンとして手にするというドラマの面から見た歴史に残る試合でした。

 また内容も凄かったですね。試合前はどちらかというと戦力的にフランス優位でボールもフランスが持つのではと思っていたのですが、アルゼンチンがシステムを4-3-3にして、左サイドにディ マリアを置いて彼に左に張らせた上でウラを突かせる事を徹底してフランス守備ブロックを押し下げるという攻撃的な戦いを仕掛け、23分にPKから先制し、36分には見事なカウンターから2点目。守っては中盤のデ パウル、エンソ フェルナンデス、マクアリステルの3人を中心に非常に厳しい守備を仕掛けてフランス自慢の攻撃陣を自由にさせず、ましてやエムバペにはボールすら渡さないという守備でフランスを封殺し、75分まではアルゼンチン圧勝ムードが漂っていました。が、フランスが前線にエムバペ、コロ ムアニ、テュラム、コマンといった運動能力の高い選手を入れて4トップ気味にして圧力をかけ、80分、81分とエムバペが連続ゴールを決めて同点に。それにより試合のムードは一変し、フランスが優位に進めた状態で延長戦に入りました。

 このままフランスが優位に延長戦を進めるのか、と思わせたところで、アルゼンチンがパレデス、ラウタロ マルティネスを投入。フレッシュなパレデスをアンカーに入れてボールを持つ時間を増やすとともに中盤でも再び優位に立ち、108分にメッシが押し込んで勝ち越し。今度こそアルゼンチンが勝つかと思ったところで、CKからハンドを誘ってPKを獲得し、エムバペが決めて再度同点。最後はPK戦でアルゼンチンが勝利を手にしましたが、最後まで何が起こるかわからない凄い試合でした。

 メッシという絶対的な個を擁しつつ、そのメッシにいかに良い仕事をしてもらうかという視点からチームを作り上げ、決勝で更に戦術的な仕掛けを用意して戦ったアルゼンチンは見事でした。優勝にふさわしいチームだったと思います。またメッシに目がいきがちですが、PK戦で4人目に登場してゴールを決めたモンティエルが喜びを爆発させるというより何とも言えない感極まった表情をしていたのが印象的でした。彼は延長戦でハンドしてしまった事に物凄い責任を感じていたと思うので、そんな彼が優勝を決めた事が印象に残りましたね。あと忘れてならないのが監督のスカローニ。現役時代はスーペル デポルの一翼を担った選手ですが、監督としても物凄く優秀だなと思いました。決勝の戦術的駆け引きはもちろん、緒戦でサウジに敗れながらよく立て直しましたよね。一方、敗れたとはいえ後半途中までの圧倒的な劣勢を、前線に個の力に長けた選手を並べて圧力をかけて同点に持ち込み、延長戦でも勝ち越されながら諦める事なく攻めて再度同点に追いついたフランスも見事でした。特にエムバペの身体能力を活かしたドリブルと逆境を跳ね返すメンタルは脅威的でしたね。まだ23歳という事で、これから彼がどんな選手になるのか楽しみです。

 最後に、バルサでは何度も栄光を手にしながら代表ではなかなか母国にタイトルをもたらす事が出来なかったメッシが、総決算となるこの大会で念願のワールドカップを手に出来たのは良かったと思います。とはいえ、ここという場面での閃きは全く衰えていないとも感じたので、この後も彼のプレーを楽しみたいです。

 という事で、歴史に残る大会となったカタール大会ですが、日本戦以外では決勝しか記事にする事が出来ませんでした。ちょっともったいないので、印象に残ったチームの話などを書ければ、と思ってます。

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2022年12月 7日 (水)

男子W杯ベスト16 クロアチア戦

 日本時間の今日(12/6)の0時からW杯ベスト16の日本vsクロアチアが行われました。チーム立ち上げ時からベスト8進出を目標に掲げていた日本ですが、残念ながらPK戦の末、敗退しました。

 リアルタイムで視聴してましたが、残念ですね。現時点で出来る事はやれていたと思うし、先制点をとった時は「いける!」と思ったのですが、クロアチアはそんな甘い相手ではなかったですね。

 前半はほぼ互角の展開だったと思います。スペイン戦から2人スタメンを代えたもののシステムは3-4-2-1で臨んだ日本は、クロアチアのモドリッチを中心にしたビルドアップと時折繰り出されるウラ狙いの攻撃に苦しめられはしましたが、ボールを保持すれば後ろからしっかり繋いで攻める事が出来ていました。狙い所は両サイドのウラで、伊東のスピードと長友のタイミングの良い攻め上がりから起点を作り、クロスは出来るだけGKとDFの間に早くて低いボールを入れるというのを徹底させ(長友はそれは出来てなかったですが)、何度かクロアチア守備陣を慌てさせる事が出来てました。クロアチアは4-3-3なので真ん中は堅いけれどその分サイドが空くだろうからそこを起点にする狙いだったのだろうと思いますし、理にかなっていたと思います。セットプレーも工夫し、40分過ぎにショートコーナーのこぼれ球を前田が押し込んでのゴールも狙い通りだったのではないでしょうか。今大会初めて先制しての前半折り返しは理想的で、良い流れが来ていると思ってました。

 が、そこは前回大会の決勝トーナメント4試合中3試合で延長戦を戦ったクロアチアのタフさ、したたかさは想像以上でした。後半からサイドから徹底してクロスを上げてきて、平均身長で上回るという長所を活かして攻める戦いを仕掛けてきました。どうにかはね返してきた日本でしたが、55分に右WBの伊東とCBの富安の間に入り込んだペリシッチにピンポイントのクロスが入り、それをペリシッチが決めて同点。その後もクロアチアはセンターFWを選手交代で代えつつそこへのクロスでゴールを狙う形を徹底させ、さらに日本陣内奥からのスローインもロングスローを仕掛けてきました。何とか3人のCBとボランチではね返した日本ですが、このようなフィジカル勝負の対応を繰り返す中で消耗させられてしまいました。途中トップを浅野に代え、左WBに切り札とも言える三笘を入れて何とか押し返そうとしましたし、延長も含めて何度かあわやというシーンを作ったもののそこで決める事が出来ず、延長後半の終わり頃はろくに押し上げる事が出来なくなり、守備に追われるばかりになってしまいました。それでもPK戦に持ち込んだのですが、GKのリバコビッチに3本も止められ、あえなく敗れる事となりました。

 結局クロアチアのタフさ、したたかさの前に屈した感じでしたね。僕の書き方が下手なので、ともするとフィジカル勝負「だけ」でやられたように思われそうですけど、クロアチアは足元の技術も高いしこちらのイヤなところを突くのも上手でした。それに対して何とか日本の武器であるスピードで搔きまわしてクロアチアの消耗を誘いたかったのですが、後半からクロアチアにクロス中心の攻撃をされ、それへの対応に追われるうちにこちらが消耗してしまったというところだろうと思います。PK戦では「権田、頼む!」と祈っていましたが、こちらが3本止められては、ね。ただ三笘と吉田のPKはかなり隅に飛んでおり、日本人のGKだったら入っていたのではないかと思います。ただリバコビッチは上背がある上に手も長くて反応も早かったです。何でもPKは得意らしいので、相手が悪かったなと思うしかないと思います。

 あえて「たられば」を言うと、浅野がもう少し1トップとして機能していれば、というのがあります。もう少しボールをおさめてくれればというのと、無理して前に運ぼうとするのではなくてフォローしてくる2シャドウをもっと使ってくれれば、と思いました。ただ味方を使おうにも2シャドウがちゃんとフォローしてくれないとダメで、その意味では途中から2シャドウが本来サイドアタッカーの伊東と途中交代の南野に代わった事も影響したのではないかと思います。更に三笘を切り札として使うのはいいとして、あまりに三笘に任せきりというかなかなか良い形でボールを渡す事が出来なかったのももったいなかったですね。そうしたあれやこれやの誤算、というかたらればは、試合を重ねながら戦い方を模索していくといっていい森保監督のチーム作りではどうしても発生してしまうのではないかという気がします。

 ただこの期におよんで森保監督やスタッフや選手達を批判するつもりは毛頭ないです。森保監督がある程度選手達に任せ、要所で決断をし、チームをまとめ上げてきたからこそ今回このような結果を得る事が出来たと思いますし、選手達も森保監督の期待に応えてよく頑張ってくれました。率直に言って組み合わせ抽選の段階で「うわぁ、今回は上に行くのは無理だ」と思ってましたから、それを覆して、しかもドイツ、スペインを下す戦いを見せてくれたのは望外の喜びです。改めて森保監督以下日本代表の選手、スタッフに「お疲れ様でした」と言いたいですし、本ブログで散々批判した森保監督にはこの場でお詫びいたします。すみませんでした。

 こうして日本の戦いはいったん区切りとなりましたが、W杯カタール大会はまだ続きますし、2026年大会への準備も既に始まっているといえます。まずはカタール大会の結末を見届けたいと思います。

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2022年12月 4日 (日)

男子W杯スペイン戦

 先週金曜(12/2)の未明に行われたW杯グループリーグ第3戦、日本はスペインを破り1位で決勝トーナメント進出を果たしました。僕は朝7時ちょっと前くらいから録画していたものを見たのですが、「スゴイものを見た」という驚きが強かったですね。勿論嬉しいのですが。

 この日の日本は試合開始から3-4-2-1、リトリートした時は5-4-1のシステムで戦う事を選択しました。東京五輪の準決勝で4-2-3-1で戦って厳しい戦いを強いられた経験からの選択だと思いますし、中盤のアンカーのブスケツを抑えるためだと思いますが、前田1人では相手の2枚のCBを抑えるのは不可能で、更にスペインの中盤にはブスケツの他にペドリ、ガビというキープレイヤーがいて、彼らが中間ポジションをとってCBからボールを引き出すので日本は下がらざるを得ず、スペインにやりたい放題やられてしまいました。10分にモラタに先制ゴールを決められた時は大量失点を覚悟しました。が、日本が前半途中からペドリ、ガビに対してCBの谷口、板倉が前に出てチェックをかけるようになってからスペインの攻撃をある程度抑えられるようになりました。更に35分頃から前田、鎌田、久保あたりが少しずつスペインの最終ラインにプレスをかけるようになり、特に前田がGKのウナイ シモンにもプレスをかけて慌てさせる場面を作ったのも後半への布石となりました。

 後半、開始から最終ラインに猛然とプレスをかけるようになった日本は48分、前田に寄せられてウナイ シモンからニコ ウイリアムスにパスを出した時に伊東が猛然とプレスをかけてボールをひっかけ、これを拾った堂安が強烈なシュートをゴールに突き刺して同点。更に51分、伊東、田中とのパス交換からペナに侵入した堂安がクロス。ラインギリギリで三笘が折り返したボールを田中を押し込んで逆転。わずか数分で試合をひっくり返します。この後はスペインにボールを握られ押し込まれる展開となりましたが、日本の5-4-1のブロックは最後まで崩される事はなく、日本がドイツ戦に続いてアップセットを成し遂げました。

 この試合に向けての準備期間は多くはなかったのですが、その中で選手達が話し合って戦い方の意思統一を図って、ほぼそのゲームプラン通りに試合を進めたのは見事です。また途中で板倉と谷口を中盤のペドリ、ガビを見させるようにしたのも選手間の意思疎通によるものと聞きます。このような戦い方が出来るようになったのは勿論選手個々の成長によるものですが、そうした自主性を促し選手個々の良さを促すチーム作りを行って、今回このような結果をもたらした森保監督の手腕は認めざるを得ません。本当に素晴らしかったと思います。とはいえ、代表チームにもクラブで行う戦術が使われるようになっており、そのような流れに遅れないようにするためには、今の森保監督のやり方「だけ」ではダメだという考えは変わってないですけどね。

 まあ日本の今大会の戦いはまだ続きます。総括は終わってからでいいでしょう。次は目標のベスト8進出をかけてクロアチアと対戦します。ドイツ、スペインほどボール保持にこだわるチームではないので、戦い方が難しいなと思ってますが、日本がどのような戦い方を選択するかは楽しみではあります。ここまで来たからには是非とも目標を達成して欲しいですね。

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2022年11月29日 (火)

男子W杯コスタリカ戦

 昨日(11/27)の日本時間の19時から日本にとっての2戦目となるコスタリカ戦が行われました。結果はご存じの通り日本が0-1で敗れ、勝ち点を積み上げる事は出来ませんでした。

 想定した中で最悪の結果となってしまいました。試合を通してコスタリカののらりくらりとした戦いにお付き合いしてしまった感じでしたね。今大会も結構な数の試合を観させてもらってますが、特に前半の内容はこれまでに観た今大会の試合の中で最低レベルだったように感じました。

 日本はドイツ戦からスタメンを5人入れ替えましたが、その判断自体は間違ってはいないと思います。今大会はこれまでの大会よりも試合と試合の間の日数が短いですからある程度ローテーションするのは誰もが考える事だし、両サイドハーフの相馬、堂安はどちらもクオリティの高い選手です。トップを上田にしたのも、前田、浅野に比べてよりオールラウンドなプレーが出来るからじゃないかな、と考えたのだろうと推察してます。当の上田が全く使えなかったのは計算外でしょうが。

 一方のコスタリカがどのようなゲームプランで来るのかも注目されたのですが、ふたを開けてみたら5バックにして守備を固める事を選択しました。前のスペイン戦で0-7と惨敗した分、まず守備の立て直しを図ったわけです。そんなコスタリカに対し、日本は開始直後こそ相馬の積極的な仕掛けなどで攻勢を仕掛けましたが、時間がたつに従って攻めあぐねるようになっていきました。トップの上田が全くボールを収められず、鎌田も前の他の3人がいつもと違うせいか効果的な働きが出来ず、ダブルボランチもゲームをコントロールできるタイプではないため、相手の5バックを崩せる雰囲気が殆どなかったですね。

 これに焦れたのか、日本は途中から右SBの山根を上げて3-4-2-1にシステムを変えたのですが、率直に言って意味不明だと思いました。「勝ったドイツ戦と同じ形でいこう」とか思ったのかもしれませんが、あの時はドイツが後ろから繋いで攻めるチームだったから多少なりとも混乱を誘う事が出来たわけです。それに対してコスタリカは前に蹴る事を厭わないスタイルだから同じ効果は望めません。更に言えば相手が守備に人数をかけてきているのに、同じようにCBを3枚にする事でシステムを変える前に持っていたサイドの数的優位を自ら放棄するとはどういう事か、と。案の定前半は何の効果もなく、後半は前に浅野を入れて攻撃のスピードを上げる事で若干攻撃の迫力は増したものの次第に勢いを失い、サイドは数的同数なので思うように崩せず、特に三笘は相手に警戒されていた事もあってかそもそもパスが来ず、で機能不全。結果として選手個々の閃きから真ん中を強引にこじ開けるしか手がなくなり、それにより直接FKは2本貰えたものの決められずに時間だけが過ぎていきました。

 で、70分くらいから少しずつ前へ圧力をかけ始めたコスタリカに80分頃に先制を許したわけですが、シュートが吉田に当たってコースとボールスピードが微妙に変わったのが不運でした。だからその前の吉田のクリアが非常に中途半端だったのと、途中から入った伊藤がラインを上げそこなったのが問題だったと思います。が、ミスは必ず起こるものです。この試合の敗因はボールを握りながら攻め切れなかった事、というよりは攻め切る確率を増やすための策を殆どしなかった、或いはしてもその効果がなかった事だと思います。

 これで1勝1敗。コスタリカと勝ち点で並んだものの得失点差で2位をキープしています。が、E組のもう1試合のドイツとスペインの試合を観ましたが、非常にクオリティの高い好試合でした。スペインのパス回しはここ数大会と同様に流麗の一語だし、所謂ネガトラの質も非常に高い難敵です。このチーム相手に勝つのは相当しんどいです。またドイツも30分くらいまではスペインにペースを握られましたが次第に持ち直し1-1のドローに持ち込みました。特に怪我のため日本戦に出場できなかったザネが途中から出場してキレのあるプレーを見せました。このドイツがコスタリカ相手に勝ち点を取りこぼすとは思えません。日本はかなり厳しい立場に追い込まれましたが、諦めたら終わりです。スペイン戦の勝利を目指して最善の準備をして欲しいと思います。

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2022年11月24日 (木)

男子W杯ドイツ戦

 今週日曜(11/20)の深夜からカタールワールドカップが始まりました。そもそも開催国がカタールになった事やその経緯に関する噂、ドーハ周辺に8つの巨大なスタジアムを建築する際に大勢の労働者が過酷な条件で働かされた事、更には初めてW杯を冬に開催する事になったために欧州の各国リーグに所属する選手達に大きな負担を強いている事(何しろ開幕の1週間前まで各国で試合がありましたからね)などからなかなかワールドカップに向けた気分が自分の中で高まらなかったのですが、始まってしまえばやはり各国の代表選手達の戦いは面白く、大体1日2~3試合のペースで試合を観ています。別途印象に残った試合などの感想は書こうと思います。(まだエスパの振り返り記事を書けてませんが(汗。)

 で、日本時間で昨日(11/23)の23時に日本の初戦となるドイツ戦が行われました。結果はご存じかと思いますが、日本がドイツを逆転で下しました。

 前半は完全にドイツの試合でしたね。8分に伊東の突破から前田がシュートを決めるもののオフサイドをとられるという見せ場はあったものの、その後は時間が経過する毎にドイツがペースを握っていきました。ドイツは両CBと右SBの3人でビルドアップをスタートさせますが、それに対して日本は前田と鎌田の2枚しかいないのでけん制くらいしかできず、更にドイツのボランチのキミッヒとギュンドアンが上手く中間ポジションをとってパスを引き出し、前線のハヴァーツ、ミュラー、ニャブリ、ムシアラの4人も流動的にポジションを動かしてくるので、日本の守備陣は全くドイツの選手を捕まえられませんでした。そんな中権田が左SBのバウムを倒してPKをとられ、先制を許しましたが、確かに権田にはもっと我慢して欲しかったですが、右サイドにあんな広大なスペースを与えた時点でアウトです。酒井が中にポジションをとったムシアラに釣られて真ん中にいたのがまず問題で、加えてオーバーラップするバウムについていった伊東がキミッヒのパスモーションに釣られて同じくムシアラを抑えにいこうとしてバウムを離しちゃったんですよね。あれで権田を責めるのは可哀想で、責められるべきは酒井と伊東だと思います。その後もドイツにやられ放題だったし、この時点では勝てる見込みはなかったですね。

 ところが後半開始から珍しく森保監督が動きます。久保に代えて富安を入れて3-4-2-1にシステムを変え、ビルドアップを開始する3人に前の3人をぶつける形にしました。この3人がGKのノイヤーも含めた4人に激しくプレスをかける事でドイツの攻撃の時間を削る事に成功しました。それでもプレスをかわされた時はムシアラ、ニャブリらの高い技術にきりきり舞いさせられました(特にムシアラ)が、5バックとボランチの遠藤、田中碧が粘り強く対応し、シュートを撃たれても権田がファインセーブを連発(特に70分頃のは凄かった)。そうこうしているうちに75分、左WBに入っていた三笘が交代出場後初めて敵陣でフリーの状態でボールを持つとドリブルで中へカットインして相手を引き付けたところでウラに出た南野へパス。南野からのクロスは止められましたが、こぼれ球を堂安が押し込んで同点。更に83分、板倉からのロングフィードを受けた浅野がボールを受けて角度のないところから天井へ突き刺すシュートを決めて逆転。その後はドイツの猛攻を浴びましたが、長いアディショナルタイムも含めて全員で凌ぎ切り、日本がドイツ相手に歴史的といっていい勝利をあげました。

 まあドイツの油断もあったように思います。また浅野の逆転ゴールに関しては、浅野と競り合ったシュロッターベックのミスもありました。オフサイドだと思ったのか、浅野を追うのが一瞬遅れましたよね。ただそれでもドイツは強かったし、特に攻撃にはレベルの高さを感じました。そんなドイツを相手に勝てたのは、後半開始からより前でプレスをかけるようにシステムを変え、その後の選手交代でも攻撃的な選手をどんどん入れて勝ちに行く姿勢を貫いた森保監督とその気持ちに全力で応えた選手達の頑張りがあってこそです。心から「おめでとう!」と言いたいです。

 とはいえ、まだ初戦が終わっただけです。同じ組のもう1試合ではスペインがコスタリカを7-0と粉砕しました。少なくともドイツ戦の前半のような戦い方をしたらスペインには同じように蹂躙されるし、コスタリカもこのまま終わるチームとは思えません。せっかくドイツに勝ったのにグループリーグを突破できなかったらもったいない事この上ないので、気持ちを切り替えて次のコスタリカ戦に臨んで欲しいと思います。

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