秋葉監督の功罪と今後について
前の記事で書いた通り、C大阪戦での秋葉監督の対応は僕をキレさせる要素満載でした。それはこの試合だけに限らず前から感じていた事で、それがC大阪戦で自分の中で爆発しちゃった感じです。なので、秋葉監督の事をテーマにして書こうと思います。
まず最初に言ってしまうと、僕は秋葉監督との契約を今季限りとしてエスパルスから退任させるべきだと思っています。ただ、秋葉監督には一昨季、昨季のJ2の戦いでどうにかチームを立て直しJ1に戻してくれた恩義もあります。だから一方的に秋葉監督の指導の問題点だけを書くのはフェアじゃないだろうと思います。なのでまずは秋葉監督の功績について書き、その上で僕が秋葉監督を退任させるべきと考えている理由を書きます。
1.秋葉監督の功績
秋葉監督がエスパルスに来られたのは2023年シーズンで、最初はコーチとしてでした。シーズン当初はゼ リカルド監督で、この方はポジショナルプレーの考え方に基付いてポゼッションしてボールを繋ぐサッカーを志向される方でした。ですが、なかなか結果が出ないために選手達はポジション取りの方に頭が行き過ぎてボールホルダーに強く当たる事が出来なくなっていました。その結果、第6~7節と連敗し、第7節までで1勝もできなかったという事でゼ リカルド監督は解任され、秋葉さんが監督に昇格しました。
秋葉監督は「元々7割は戦術で縛るけど残りの3割は選手達の自由な発想に委ねる」という考えの方で、監督に昇格した時点で選手達がそれまでの戦術に縛られているように感じていたという事で、約束事から選手達を解放し、ある程度自由にプレーさせるやり方に変えました。それにより第8節の東京V戦で逆転勝ちをおさめて、その後は一気に勝ち点を伸ばして昇格争いに食い込んでいきました。残念ながら2023年シーズンは最後のところで崩れてJ1に復帰出来ませんでしたが、秋葉監督の意向に沿って住吉、松崎など新しい選手を迎え入れた2024年シーズンに見事J2優勝、J1復帰を成し遂げました。
この2シーズンで秋葉監督が選手達に植え付けたのは1対1で絶対に負けないという意識でしょうね。「最後は1対1の勝負だからそこで勝てば結果はついてくる」という発想の下で、1対1の場面で相手を剥がす、相手に抜かせない、止めるという意識を徹底的に植え付けていきました。2022年シーズン以前はちょっとそうした意識が希薄になっていたと思うので、そこを補強出来たのは大きかったですし、それがあったから今季は何とかJ1で生き残れたのではないかと思います。後はサポーターとの関係も重視し、インタビューでも必ずエスパルスサポーター・ファミリーの事に触れ、選手達にもそうした意識を植え付けていきました。その結果2023年シーズンからはアイスタの雰囲気が非常にポジティブなものになったのは秋葉監督の功績と言っていいんじゃないかなと思います。
2.秋葉監督の限界
以上の通りで、秋葉監督はそれまでにエスパルスにあったモヤモヤを払拭してくれたと思います。その事には感謝しています。が、J1で戦ってみて、特に第19節のアウェイでのC大阪戦以降いろいろな問題点が出てきたと思います。以下、僕が秋葉監督を今季限りで退任させるべきと考える理由をあげます。
①個に依存し過ぎて戦術のディテールの詰めが足りない
秋葉監督は個の力を最大限発揮させる事を重視しています。それは「最終的には1対1で負けない事が大事」とか「強い個が集まれば強い組織になる」という趣旨に発言にも表れています。それは一面では正しいです。特に欧州ではゾーンディフェンスで守るのが主流ですが、その分自分のゾーンに入ってきた選手は絶対に自由にさせない事が要求されます。自分のゾーンに入ってきた相手にあっさり抜かれていては他のゾーンを守っている味方に迷惑がかかりますからね。逆に言えばボールホルダーが相手のゾーンの敵を剥がせばチャンスは更に広がるわけです。だからその考え自体は間違ってはいません。
しかしサッカーは11人 vs 11人で戦うスポーツです。70年代初頭にヨハン クライフとリヌス ミケルスが編み出したトータル フットボールが表れてからは、いかにして攻守において数的優位を作るか、局面で優位を作るかというのが戦い方の主流になっているわけです。つい先日戦ったC大阪がその典型で、中盤の真ん中がこちらが2枚なのに対して3枚おいて、そのうちの2枚をこちらの中盤2枚の両脇に置いてきたり、守備の局面では複数人でウチの選手を囲んでボールを奪う場面がありましたよね。
それに比べると秋葉監督のアプローチは戦い方に選手達に自由させるための余白を与えすぎていて、その分ディテールが詰められてないと思います。例えばプレスのかけ方。どのように連動してプレスをかけるかが曖昧で、その分剥がされる確率が高くなっているように感じます。一応全体的な守り方として中を切って外に誘導してボールを奪う事を意図しているようですが、そのためにどのように連動してプレスをかけるかの意思統一が出来ておらず、結局乾などの前プレの技術に長けた選手がいると前から嵌める事が出来るんだけど、乾がいないと上手くいかないという場面が多いように思います。攻撃も同様で、特にアタッキングサードでどう相手を崩すかについて個人の能力に頼り過ぎている感があります。だから個の能力が高くてあうんの呼吸ができている選手同士では良い攻撃が出来るんだけど、数人連携がとれてない選手がいると途端に上手くいかなくなるのも良く見ますよね。
個に依存し過ぎる事のもう1つの弊害は、守り方について。今のエスパの守り方は基本はゾーンディフェンスとマンマークの併用なんですが、マンマーク、つまり人を捕まえる意識が強いです。だから相手の動きに釣られてスペースを空けてしまう事が増えてしまう。それでもミラーゲームで相手を捕まえやすい場合は相手を嵌めやすいんですけど、システムがミスマッチの場合は途端に上手くいかなくなるわけです。天皇杯の広島戦がまさにそんな感じでした。そういう脆弱さを抱えたままなのは問題だと思います。
②ビルドアップが機能しない
秋葉監督は日頃から「ビルドアップには興味がない。自陣ゴール前と相手ゴール前での戦いが大事。」と日頃から仰っています。一理あるとは思います。が、それならば相手ゴール前に如何にスムーズにボールを運ぶかも大事なはずで、その意味で矛盾しているようにも感じるんですよね。実際、自陣からボールを持ち出そうとする時に相手のプレスの前にボールを前に運べずに後ろに戻してしまう場面や苦し紛れのパスを出してカットされショートカウンターを食らう場面が多いです。後は①と同じで、ビルドアップも個人、つまりブエノや乾の個に依存し過ぎていて、彼らがいなかったり消されたりすると上手くいかない事が多いと思います。やはり誰が出てもボールを相手のアタッキングサードへ運ぶ事の出来る形を作るべきです。例えばウラ抜けしたFWにロングボールを送るとかでもいいと思いますし。
③システムを代え過ぎ
これも日頃から秋葉監督は4バックでも3バックでも戦えるチームを作ると仰っていますし、今季も相手のシステムによって4バックと3バックを使い分けてきました。前述した「システムがミスマッチになると上手く守れない」という弱点がある以上仕方ないかなとは思います。ミラーゲームにして上手くいったゲームが多かったですしね。ただ本来4バックと3バックではやり方が変わってくるはずなんです。4バックだと全てのレーンをカバーできないので、ポケットに入ろうとした選手を誰が見るのかとかCBがつり出されたらどうするのかとかいろいろ約束事を決めておかないといけません。それに対して3バックだと全てのレーンをカバーできるのでそこまで厳密な約束事は必要なくなりますが、後ろに人数が多くなって前に出ようとする時の人数が少なくなるので、それについて整理する必要があるはず。つまりやり方が結構変わるはずなのに何かコロコロ代え過ぎてしまって、その分じゃあチームとしてどう守るのかがボヤけてしまっているように思います。
またアウェイのC大阪戦で完敗して、試合後に秋葉監督が「残留争い」云々の事を仰って以降、後半戦からエスパは大半の試合を3バックで戦っています。4バックで戦ったのはホームでの横浜FM戦と先日のC大阪戦だけです。3バックで戦った時はアウェイの町田戦や川崎戦のような例外もありますが、後ろが重くなりながらも粘り強く戦って失点を減らしていく事で勝ち点を積み上げて、リーグ戦を3試合残した状態でJ1残留を勝ち取りました。しかしながら4バックで戦った横浜FM戦とC大阪戦では惨敗しました。ここで思い出して頂きたいのですが、今季チーム始動してからのエスパは4バックで戦うべく準備を進め、それにあわせて約束事を決めてきました。派生として3バックでも戦えるように準備をしてきましたが、基本は4バックで準備してきたはずです。にも関わらず後半戦4バックで戦った2試合はいずれも惨敗しています。これで今季戦い方のベースが積み上がったと言えるのでしょうか?僕にはそうは思えないのですが。
④若手の起用の仕方が雑
もう1つ言えるのは若手選手の起用についてですね。秋葉監督はこれまでルヴァン杯などのカップ戦を中心に若手選手を積極的に抜擢してきました。ただ秋葉監督は若手を起用するのに際しても細かい指示は出さずに通常のリーグ戦と同じように「余白を持たせて」出場させてきました。それで上手くいけばいいのですが、前述したように個々の選手のあうんの呼吸に頼っている状況なのに若手選手を出場させる時もそうなので、上手くいかない場合が多いんですよ。リーグ戦でも昨季のアウェイでの山形戦やホーム最終戦の熊本戦がそうですし、今季で言えばアウェイでのG大阪戦の嶋本の起用も同様だと思います。そして最たるものが先日のC大阪戦。そもそもチームとして4-4-2で戦うのが今季初めてだったのに嶋本をボランチの一角で使ったわけですが、いくらなんでも雑でしょう。あげくに前半半ばで懲罰交代させ、試合後のコメントでも「自分のスタメン選考が間違っていた」と暗に嶋本を批判する事を言っている。こんな指導者の下で若い選手達が育つと思いますか?
3.まとめ
以上、傍から見たら秋葉監督の「悪口」ともとれる内容を書いてきました。ただこれは客観的にこれまでのエスパルスの戦いぶりを見て感じて来た事です。また僕は秋葉監督個人は嫌いではないですし、前述した通り常にエスパルスサポーター・ファミリーの事を気にかける発言をしてくれた事でアイスタの雰囲気を変えてくれた事には感謝しています。
しかし一方で前述した秋葉監督下でのエスパルスを分析し、それをふまえてエスパルスの将来を考えた時に、僕は秋葉監督にこのまま監督を続けさせるべきではないと思っています。少なくともトップハーフに入れるとは思えませんし、下手をすると降格の可能性すらあると思っています。これは前節C大阪戦で惨敗したからではなくそれ以前の戦いを踏まえて考えてきた事ですが、ちょうどC大阪戦で惨敗を喫し更に試合後に非常に問題のあるコメントをした今だから、警鐘を鳴らす意味で記事にさせて頂きました。
尤も秋葉監督の処遇についてはクラブが決める事です。その意味で来季以降も秋葉監督と契約が残っているのであれば、留任させるだろうと思います。ノルマである残留は果たしましたしね。そうなったとしても来季僕がエスパルスを応援しないなんて事はしないとここで明言しておきます。願わくばここで書いた懸念を払しょくするチームを作ってくれる事を祈りたいところです。
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コメント
自分も割と近い意見かと思ってます
ただ現状としては解任続投と半々で残りのシーズンで何を見せれるかだと思っております
戦術面ではもう上積みはおそらくほぼなく、何で今より良くなるかと行ったら補強、選手の成長面でしかないのが現状ですかね?
ビルドアップ時などベースとなる型がないのがやはりなかなか厳しい部分にも見えますし、良いのか悪いのかはわからないですが立ち位置など細かい所まで詰めていくのが現代フットボールなので、今のままでは厳しくなるのは目に見えますね。
システムの話にも通じますが、自分は基本的には3でも4でもベースの戦い方は変えるべきないと言う考え方です。
もちろん戦術論的に変わる部分変えなきゃならない部分はありますが、核になる部分はあるべきだし、秋葉清水にはそれがないからシステム変わると戦い方が変わるのが問題。
一対一の話はなるほどと思いつつも、オールマンツーマンやるほどの体力がないし、プレス連動がない。
秋葉監督の理想は、クロップリバプールや少し前のアタランタみたいな戦いが完成形なんだと思って、自分もコメント書いたりしてますが、イマイチそこに近づけてる?と疑問をていしたくなります。
投稿: はすき | 2025年11月19日 (水) 08時45分
はすきさん、コメントありがとうございます。
返信が遅くなってすみません。
僕もアタランタみたいなオールコートマンツーマンディフェンスをやるくらい振り切ってくれれば良いなと思うのですが、そこまでやってくれるかというとちょっと疑問なのでね。
ただ昨季J1に復帰させてくれて、今季もJ1で生き残らせてくれた事には感謝しています。
投稿: YANA | 2025年11月26日 (水) 21時48分