値千金(6/21 名古屋戦)
先週末はアウェイでの名古屋戦でした。名古屋での試合を観るのは5年ぶりで、試合後に名古屋サポの友人と飲んだり、その夜はその友人の家に泊めてもらったり、翌日は大改装中のパロマ瑞穂スタジアムを視察(?)しに行ったり、昼は名古屋飯に舌鼓を打ったりと、楽しんで帰ってきました。
試合は1-1のドロー。後半に先制されて、その後はなかなか名古屋の堅陣を崩せなかったのですが、88分の千葉のゴールで同点に追い付いてのドローという事で、満足は出来ないけど納得は出来るというか、悪くはないと思える試合でした。何せ降格した2022年シーズンでは終了間際に追い付かれたり勝ち越された試合が何度もありましたからね(汗)。
<明治安田J1リーグ 於 豊田スタジアム>
清水エスパルス 1ー1 名古屋グランパス
1.エスパルスのスタメン
SUB:猪越、住吉、羽田、中原、弓場、斎藤、矢島、西原、千葉
システムは前節と同じくボール非保持(守備)時3バック、保持(攻撃)時4バックで、メンバーも大きくは変わらなかったのですが、シャドウの1人が中原でなく松崎、そして3バックの左にマテウス ブルネッティが入りました。前者に関しては、名古屋がマンマーク気味に来るという事で、1人で剥がす松崎を入れ、後者に関しては住吉よりも足元の技術が巧みなブルネッティを選択した方が良いと判断したのだろうと思います。
2.名古屋の戦い方
オフに佐藤、宮、原、マテウス カストロらを獲得し、間違いなく優勝争いに絡むだろうと思われた名古屋ですが、序盤は苦戦しました。開幕戦で川崎に0-4で敗れ、この試合も含めて6試合勝ち無し。第7~8節に連勝してようやく調子に乗るかと思ったら、第9節からの5試合で1勝4敗。かなり苦しい状態で国立でのウチとの試合を迎えましたが、こちらの長所を完全に消して3-0で完勝。これで自信を取り戻したのかその後6試合負け無しを記録。前節は神戸に敗れましたが、その分ホームでは気合を入れてウチとの試合に臨んでくると予想されました。
システムは3-4-2-1で、ボール非保持時は基本的にマンマークで、ボールホルダーに厳しくチェックをかけてボールを奪い、奪ったら出来るだけ早く相手陣へボールを運んでゴールを奪うという長谷川監督が呼ぶところの「ファスト ブレイク」を仕掛けてくるスタイルです。また試合毎のスカウティングもしっかりしていて、国立での試合はブエノと乾を徹底的に封じ込めてきました。この試合でも右WBに中山でなく和泉を起用しましたが、「カピシャーバを抑えるためかな」と思いましたし、実際前半はそれほどカピシャーバらしい突破はさせてもらえませんでした。エスパとしては相手の「ファスト ブレイク」を警戒しつつ、マンマーク気味の守備をどう剥がすかがポイントでした。
3.試合経過
エスパルスが名古屋と同じ3-4-2-1を選択した事で構造的にミラーゲームの形になり、前半は非常に堅い試合となりました。基本的に名古屋はボールを奪ったら素早くボールを前へ相手陣へ侵入するというやり方で、エスパはロングボールも交えつつショートパスを繋いで相手陣へボールを運ぶという割と対照的な攻め方でしたが、どちらもアタッキングサードに入ってから相手の5バックを崩すのに手間取って、チャンスを作る事が出来ません。その中で次第に乾、松崎、ブエノあたりが名古屋のチェックを巧みにかわしてボールを前に運ぶシーンが増えていって、33分の北川の両チーム通じての初シュート、35分、45+5分の松崎のシュートといったチャンスを作り始めます。40分過ぎに高橋が永井との接触による怪我でプレー続行不可能となり住吉が交代出場するというアクシデントはあったものの、どちらかというとエスパの狙い通りに試合が進み、前半は0-0で折り返しました。
しかし後半、名古屋はより早くボールを前に出すようになり、50分の永井のクロスからの椎橋のシュート、62分のロングパスからの徳元のシュートと決定機を作れるようになります。そして64分、宇野のパスが稲垣にカットされ、それをマテウス カストロに拾われてロング カウンターが発動。住吉とブルネッティとで何とかディレイさせようとしますがマテウス カストロのスピードを緩めさせる事は出来ず、そこからのパスを途中出場の山岸に決められて、エスパは先制を許してしまいます。
優位な立場に立った名古屋は攻勢を強め、67分の山岸などのチャンスを作ります。エスパも66分に中原と矢島、80分に西原と千葉を投入して何とか追いつこうと攻め込みますが、5バックで真ん中もしっかり締めた名古屋を相手になかなか真ん中へ差し込む事が出来ずに攻めあぐね、逆に80分に浅野にクロスバー直撃のシュートを撃たれ、84分に椎橋がバイタルへ侵入してのマテウス カストロのシュートといった決定機を作られます。しかしこれを凌いだエスパは88分、沖からのロングフィードに反応して抜け出した千葉のドリブル突破を防がれてのCKから千葉がヘディングシュート。これが決まって、エスパが千葉の値千金のゴールで同点に追い付きます。その後はエスパが逆に勢いを得て攻勢を強め、名古屋も選手交代で何とか勝ち越しを狙いますが、どちらも得点には至らず、試合は1-1のドローに終わりました。
4.良かったところ
試合経過を一通り書いたところで、改めて自分なりにこの試合の良かったところと悪かったところ(課題)を書いていこうと思います。
前半シュートが撃てなかった事や後半名古屋の得意とするロングカウンターから先制されてあわや敗戦というところまでいったという事で、試合内容が良くなかったと観る人もいると思います。ただ僕はそうは思わなくて、特に前半はある程度ゲームプラン通りにいったと思ってます。そう感じた理由は守備面ですね。システムを名古屋と同じ3-4-2-1にして相手を捕まえやすくする事で、中盤での潰し合いのところで後手を踏まないようになり、またボールを奪われて長いボールを入れられても対面のディフェンダーがしっかり捕まえて相手の攻撃のスピードを殺し、名古屋の得意なカウンターの芽を潰す事が出来ていました。また押し込まれても5-4-1のブロックを作ってしっかりはね返せていたし、その結果名古屋のシュートを1本に抑えられたと思います。
攻撃に関しても名古屋の厳しいチェックに対して乾、松崎が巧みに剥がしてボールを前に進めたり、ブエノ、宇野あたりは味方の動きによって生まれたスペースに侵入してボールを引き出し、そこから北川、乾、松崎へボールを供給したりする事で、名古屋を押し込む事が出来ていました。30分からの15分間のエスパのボール支配率は61.7%と高かったし、そこで得点出来ればなお良かったのでしょうけど、前半は攻守ともにある程度狙い通りに出来ていたのではないかと思います。後半は名古屋がこちらのウラのスペースにボールを入れてきて、それに呼応して名古屋の選手達もどんどん前に出てくるようになって、特に後半の入りのところではそれに対応できずにバタバタしましたが、攻撃のところの中でアタッキングサードまでボールを運ぶところは前半とそれほど変わらなかったと思いますし、前述した後半の入りのバタバタや失点したところなどを除けばある程度やりたい事はやれていたと考えます。個人に目を向けても、リーグ戦初スタメンのブルネッティが攻守とも良いプレーを見せ、周りとの連携面でも問題を感じなかったのは大きな収穫ですし、千葉が藤枝から戻ってきて早々に結果を出したのも良かったです。あの叩きつけるヘッドは見事でした。同点弾を生んだCKも千葉が三国との競り合いで巧みに対応して抜け出した事から貰ったものですし、藤枝での一年間の修行の成果が出ているなと感じました。今後もどんどんアピールして北川を脅かす存在になって欲しいです。
などとポジティブな事を書きましたが、「じゃ、何で引き分け止まりだったの?」というのを次に書きます。
5.課題
勝てなかった原因、というか課題は以下の2点です。
①相手の5バックを崩せなかった
前述した通り、ボールをアタッキングサードまで前進させるところについてはスムーズに出来ていたと思います。問題はアタッキングサードに進んでからの崩しですね。G大阪戦の時は相手が4バックだったので、サイドにボールを付けて相手のSBを引き寄せておいてCBとの間のポケットを突いたりしやすかったですし、試合自体がどんどんオープンな攻め合いになったのでその分攻撃がしやすかった面もあったと思います。ただ名古屋は押し込まれた時は5バックにしてくるのでスペースが生まれにくく、更に真ん中は稲垣、椎橋を中心にしっかりと締めてくるので、それに対して攻めあぐねてしまいました。それでもサイドに人数をかけてボールを回す事で相手を引き寄せる事で、それにより空いたスペース、特にポケットを突くというのを辛抱強くやってはいました。それがうまくいきかけたのが36分20秒頃の松崎が右サイドで受けて、ポケットに走り出した山原へ出した場面ですね(DFがクリアしてCK)。こういう場面をもっと作りたかったのですが、なかなか作れなかったですね。そもそもポケットへ走り出しても相手DFもしっかり付いてきたので、なかなか出せなかったですね。ただその時は付いていった選手がいたスペースが出来るはずなので、そのスペースを使うプレーをしていればまた違ったかもしれません。いずれにしろ相手に5バックでがっちり引かれた時にどう崩すかというのは今後の課題ですね。
②相手の得意なロングカウンターで失点してしまった
2つ目の課題はこれですね。警戒していたにも関わらずやられてしまったのは残念です。
この場面、まず宇野のパスが稲垣にカットされたところから始まっています。おそらく宇野は蓮川にパスを出そうとしたのだと思います。稲垣の後ろにスペースが出来ていて、そこに蓮川がいましたので。ただ蓮川へのパスコース上に稲垣がいたのでね。後ろからマテウス カストロが迫っていたので慌てたのかもしれませんが、パスの選択を間違ってしまいましたね。拙かったと思います。これにより稲垣がパスをカットして、こぼれ球を拾ったのがマテウス カストロだったのもウチにとっては不運でした。で、マテウス カストロがボールを拾って前に出ようとしたのですが、最初のトラップが長くなってしまったのを見て、ブエノが滑ってボールをクリアしようとするのですが、結局足を引っ込めてしまったためにマテウス カストロにボールを持ち出されてしまいました。僕は最初は「滑っちゃダメだった」と思ってましたが、改めて映像を見てボールの状況を見ると、滑ってボールを奪うという判断は理解できるかなと思いました。触る事が出来てましたから。じゃあ何故ブエノが足を引っ込めたのかと思って更に映像を見ると、マテウス カストロもブエノが滑ってボールを奪おうとするのを見て走るスピードを落としているんですよね。ファウルを誘ったんじゃないかと思いますが、まともにぶつかって怪我をするのを恐れた可能性もあり、真意はわかりません。いずれにしろブエノはこれを見てイエローを貰うのを恐れて足を引っ込めたんじゃないかなと思います。もう1枚貰ったら出場停止ですからね。結局マテウス カストロとの駆け引きに負けてしまったと言えるでしょう。あとは2対3の状況を作られて、マテウス カストロの完璧なラストパスから山岸にゴールを決められてしまったわけです。
ああいう状況を作られてしまったら負けであり、改めて何故そうなったかを振り返ると、やはり宇野のパスミスは痛かったですね。蓮川が上がってきていた分余計に。上がっていた蓮川を使った方が良いという選択肢もありましたが、真ん中にいた乾や北川がパスを要求していたのでそちらへ出した方が良かったですね。試合後本人は結構落ち込んでいたみたいなので、この試合での反省をバネに更に成長して欲しいです。あとはブエノが滑ったところですが、改めて観てみると難しいですね。ただ滑らずに追いかけるという判断もアリだと思うので、どちらが良かったかをチーム内で考えてもらえればいいなと思います。
特に2つ目の課題が長くなってしまいました。やはりこの失点がなければ、という悔いがありますからね。ただ試合全体を通して見た場合、決して悪い内容の試合ではなかったと改めて感じました。更に悔いの残る失点をしながらも土壇場で追いついて勝ち点1をもぎ取ったのは自信に思って良いと思います。良かったところは伸ばし、課題は練習を通して潰す事で、チーム状態を上げていって欲しいですね。
6.まとめ
6~7月のリベンジシリーズは2試合連続のドロー。ただ内容自体は悪くないと思います。次は2位の柏をアイスタ日本平に迎えての試合。これまた厳しい試合になるでしょう。ただ要塞アイスタ日本平での試合ですし、更にエスパルスのバースデーパーティと銘打っての試合ですから生半可な試合は出来ません。何とか勝ち点3を奪ってエスパルスのバースデーをみんなでお祝いしたいですね。
P.S この記事を書いている最中に高橋の怪我の情報がリリースされました。これについては稿を改めます。
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