面白い試合でした(6/15 G大阪戦)
先週末は2週間ぶりのリーグ戦を観にアイスタ日本平へ行ってきました。ナイトゲームという事で昼ちょっと前から移動を始めたのですが、清水に着いてからは日差しが強くて暑かったです。ただ日陰に入ると過ごしやすかったですし、試合が始まってからもそんな感じでした。もちろんピッチ上でプレーする選手達にとっては暑かったでしょうけどね。
試合はお互い攻め合いながらスコアレスドロー。結構決定機が多くありましたから、どれか1つを決めていれば、と思うと悔しかったですし、勝ちたかったです。ただ両チームの選手達が暑さをものともせずに走り回って、その中でペースを奪い合ったり駆け引きをしたりする姿というのは見応えがありましたし、素直に面白い試合だったなぁ、と感じました。尤も負けていたら本当に悔しかったでしょうけどね(汗。
<明治安田J1リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 0ー0 ガンバ大阪
1.エスパルスのスタメン
SUB:猪越、マテウス ブルネッティ、羽田、弓場、斎藤、松崎、矢島、小竹、千葉
スタメンを見て一番驚いたのは北川がスタメンに名を連ねていた事。C大阪戦での交代時の様子から見て長期化も懸念されましたが、きっちり間に合わせてくれました。あとこの情報は事前のマスコミ報道にありませんでしたが、このあたりにもクラブと地元マスコミとの良好な関係がうかがえますね。それ以外では天皇杯で結果を出した中原が松崎に代わってスタメンに入ったくらいですが、4バックのG大阪に対して3バックを採用したのは少々驚きました。まあ前節4失点食らった反省からでしょうけど、唯一アイスタで敗れた京都戦でも4バックのチーム相手に3バックを採用したのが裏目に出たと記憶しているので、若干不安もありました。
2.G大阪の戦い方
G大阪とは第5節にアウェイで対戦しました。僕も観に行きましたが、点差以上の完敗だったなぁと記憶しています。中谷、宇佐美という攻守の軸を怪我で欠いていたにも関わらず、ジェバリを起点とした迫力のある攻撃、ネタ ラヴィを軸とした激しいプレスの前に何も出来ませんでした。開幕戦のダービーで完敗して出だしでつまずいたものの、ここから上がってくるのかなぁと思ってました。が、G大阪はその後も安定感を欠く戦いとなっています。ウチと戦った後の第6節の横浜FM戦で敗れたのを含めて4試合勝ち無し。その後第13節から3連勝したものの、その後4試合勝ち無しでこの試合を迎える事となりました。要因はやはり失点の多さでしょうか。昨季はリーグで2番目に少ない35失点だったのが、今季は既に27失点。やはり昨季ボランチの主力だったダワンが移籍したのが響いているのかもしれません。
しかし攻撃のタレントは豊富。加えて怪我で出遅れたウェルトンがこの試合でスタメンに復帰し、右に山下、左にウェルトンと両サイドに俊足のアタッカーを並べられるようになり、この試合でもこの2人によるサイド攻撃は脅威でしたし、G大阪のボール保持(攻撃)時はこの2人が両サイドに張る事でウチの両WBをピン留めしようとしてきたので、こちらとしては対応に苦労していました。そして中央には宇佐美が君臨し、あちこちに顔を出して攻撃のタクトをふるっていました。その宇佐美を1トップにおいてのトップ下の満田とのコンビも脅威でしたし、更にボランチに安部も加わったG大阪はやはり強いなと感じました。
3.試合経過
立ち上がりにペースを掴んだのはエスパでした。北川の前線での起点になる動き、乾のドリブル、カピシャーバの馬力を活かして相手陣内に攻め込み、11分頃にはポケットに侵入したカピシャーバのクロスを北川がニアで合わせる決定機を作りました(一森がセーブ)。しかしG大阪も黙ってはおらず、山下、ウェルトンの両サイドのスピードを活かしてエスパを押し込み、押し込んでからはネタ ラヴィ、宇佐美を軸としたパスワークでエスパ守備陣を揺さぶって何とか穴を作ろうとし、35分頃のウェルトン、39分頃の安部など危険なシュートを撃つ場面もありました。これに対しエスパは5-4-1でリトリートしている分なかなか前に出られず、特に30分からの15分間はG大阪に66%もボールを持たれ続けましたが、それでも43分に山原のクロスを受けての北川、45+1分には乾のマイナスのクロスからの山原と2つ決定機を作り、前半はこのままスコアレスで折り返しました。
後半、先にチャンスを作ったのはエスパでした。46分、低い位置でパスカットしたボールを繋ぎ、乾からのパスを北川がダイレでスペースへパスを出し、そこに走りこんだブエノがボールを持ち込んでシュート。一森にセーブされましたが、それによるスローインからのボールを乾が逆サイドへ。そこへ走りこんだ山原がボレーシュート(これも一森がセーブ)と、連続で決定機を作ります。G大阪も負けておらず、同じく低い位置でボールを奪ってのロングカウンターからの山下のシュート(沖がセーブ)という決定機を作り、ここから試合はオープンな攻め合いとなりました。57分にはG大阪がエスパを押し込んでの繋ぎから安部が抜け出して沖と1対1になりかけた(高橋が足を出してシュートを足に当て、こぼれ球を蓮川がクリア)と思えば、59分には自陣からカピシャーバが左サイドを抜け出して乾にクロスを出して乾がシュート(一森がセーブ)。そのこぼれ球をG大阪が拾ってロングカウンターを仕掛け、フリーのウェルトンがシュート(沖がセーブ)、と立て続けに決定機が生まれる息詰まる展開になりました。そしてそのボールを拾ったカピシャーバからボールを繋ぎ、いったん山原にボールが渡りますが、山原は少しキープしてから再び逆サイドのカピシャーバへパス。それを受けたカピシャーバがクロスを入れると最後は北川が押し込んで「やっと先制!」と思われましたが、VARチェックの結果ハンドと判定され、ゴールはなりませんでした。
この後も互いに攻め合う展開が続き、67分のヒュメット、69分にブエノが惜しいシュートを放ちます。この後70分頃からエスパの前プレの圧力が落ち、G大阪に押し込まれ続ける時間帯が10分程続きましたが、エスパは80分に乾に代えて千葉を入れて前への圧力を取り戻す事でG大阪を押し返し、82分、83分と連続で松崎が決定機でシュートを撃つ場面を作ります。しかしいずれも得点には至らず、試合は結局スコアレスドロー。エスパルスがG大阪と勝ち点1を分け合う事になりました。
4.良かったところ
試合全体の感想としては、勝てなかったのは残念だけど見応えのある面白い試合だった、というところでしょうか。少なくとも中立の立場の方が見たら、面白い試合だったのではないでしょうか。エスパサポの自分としては「残念」という想いは消せませんけどね。ただ前節C大阪に完敗したところから良く立て直したなぁという感想も強く持っています。じゃあ今節は何が良かったのかについて書いていきます。
①3バックを選択した事
まず、特にボール非保持(守備)時のシステムを3バックにした事ですね。で、ボール保持(攻撃)時はカピシャーバを左サイドハーフに上げて蓮川をSBの位置にスライドする可変のやり方をとった事です。これまでなら、人を捕まえやすくするという観点から、相手が4バックならこちらも4バックにしていました。実際、アウェイでのG大阪戦は4バックで戦っていましたし、前節のC大阪戦も相手が4バックだからという事で4バックで戦いました。しかしながら前節はシステムを同じにして真っ向勝負を挑んだ結果かなりボコられてしまったわけで、そこからの、特に守備の立て直しをするにあたっては、より安全なシステムをとったという事でしょう。G大阪の攻撃陣もC大阪同様強力ですからね。
このシステムの選択が功を奏したと考える理由は、特にリトリートした時にG大阪のスペースを潰せていたからです。アウェイで戦った時は相手がサイドにボールを付けた時はこちらのSBがつきますが、その分CBとSBとのスペースが空いてしまって、ボランチがカバーに入らないといけないといった対応をとらないといけないわけですが、この試合の場合はリトリートした時に最初から5レーンを埋めているので対応しやすいですし、逆にG大阪としたらこちらのブロックに穴を作るのが大変になるわけです。それでもウェルトンにかなり侵入されたり、スルーパスから安部に抜け出されたりするピンチがありましたが、そのたびに沖が相手のシュートを防ぎ、高橋、住吉、蓮川の3人も身体を張った守りでゴールを割らせませんでした。単純にシステムを変えただけでなく、選手達がこのシステムの狙いを良く理解して役割をまっとうし、時に身体を張って守ったからクリーンシートを達成できた事も付け加えておきたいと思います。
②CK時のやり方の変更が上手くいった事
エスパはCK時の守備は完全なゾーンディフェンスをとっていました。が、神戸戦、C大阪戦とCKでの失点が続き、特にC大阪戦では失点シーン以外でもCK時に決定機を3回くらい作られていたので、それに対する対応が求められていました。それを受けてこの試合ではゾーンとマンツーマンを併用する形にして、相手長身選手の中谷、福岡に宇野とカピシャーバがマークする形にし、相手が意図する位置に容易に入らせないように対応していました。それによりG大阪に7回CKがありましたが、失点を与える事はありませんでした。その意味で今回の変更は上手くいったといえるのですが、どうもG大阪の今季のCKからの得点は1度もないらしいんですね(FKからはあるみたいですが)。ですので本当に成功したかは次節以降まで見る必要があると思います。
③相手のSBのウラを突く攻撃が上手くいった事
前述した通り、G大阪は山下、ウェルトンの両サイドからの攻撃が持ち味で、その後ろの半田、黒川も2人をサポートするために前目にポジションをとる事が多いわけですが、その分ウラのスペースが空き気味でした。それをスカウティングで把握していたのでしょう。この日のエスパはいつも以上に両サイドのウラを狙う場面が多かったですね。10分30秒頃のボールを奪ってからのカウンターも北川にボールが入った時点で乾が半田の後ろのスペースに走りこんでパスを受けていましたし、後半の最初の決定機も、ブエノは乾にボールを預けた後すぐにSBの後ろへ走り出して、そこへ北川からダイレでのパスが通って、決定機につながりました。山原もウラのスペースを常に狙っていましたし、全員がG大阪に対する狙いどころがSBのウラである事を共有していたのではないかと思います。そこにカピシャーバの単独での馬力ある突破が加わった事で、決定機を量産できたと考えます。
5.反省点等
ここまで良かったところを書いてきましたが、当然反省点もあります。
①決定機をいかせなかった事
反省点としてはこれにつきますね。序盤から決定機が結構あったり、ゴール期待値はG大阪の0.927を上回る1.317だったにも関わらず1点もとれなかったのは反省すべきでしょう。1点はとっていないといけない数値ですからね。ただ「選手全員居残りでシュート練習じゃ!」とか言うつもりはありません。まず相手GKの一森のセービングが見事でした。シュートを撃ってくるかって時の立ち位置が良くて、11分頃の北川のシュートや46分の山原のボレーなんかはそれによりボールを身体に当てる事が出来てました。また59分の乾のシュートや69分のブエノのシュートに対する横っ飛びのセーブも見事でしたね。特に後者はディフレクションがあった分難しかったと思うのですがね。なのでここは一森を讃えるべきかと思います。もう1つ頭に入れないといけないのは、単純にシュートを決められなかった奴が悪いとは言い切れない場面もあるという事。決定機に至るラストパスが微妙にずれた事による影響も考慮しないといけないという事です。例えば45+1分の山原のシュートの際は、乾からのラストパスが微妙にマイナスに行き過ぎて、それで山原が若干戻らなければならなくなってそれにより体勢が崩れてシュートがヒットしなかったというのがあります。あと59分の乾のシュートも、カピシャーバのクロスが足元に入った分ダイレで撃てなかったんですよね。という事で、責めるならラストパスを出した選手も含めてしないと、と思います。勿論シュート練習を通して個人のシュートの精度を上げていくというのは絶対に必要ですけど、ラストパスを出す方もいかにシュートを撃ちやすいようにパスを出せるように練習する事も必要ですし、選手間の呼吸を合わせる事も必要なわけです。などと決定機で決められなかった選手を庇うような内容になりましたけど、そこまで考えられるようになるとまた見方が変わるんじゃないかと思って書きました。
②攻撃の緩急をつける工夫をする事
これは反省点というより課題であり、THE REALで試合後に秋葉監督が仰っていて「成程」と思ったのであげました。この試合は確かにハイテンポな攻め合いを見る事が出来て面白かったのですが、これからどんどん暑くなってくると常にこのテンポを保つ事が難しくなっていきます。なので相手を押し込んだらそのままの勢いで攻め続けるんじゃなくて、時にはテンポを緩めて、ボールを出し入れしながら相手の穴がどこかうかがう時間帯も必要になると思います。この試合でもそうした時間帯が全くなかったわけではないですが、そういう時間が長かったのはどちらかというとG大阪だったので、エスパもそういう時間帯を増やした方がいいんじゃないかなと感じました。恐らく今週の練習からそれを意識したメニューが組まれているかと思うので、今後の変化に期待したいです。
6.まとめ
以上、どちらかというとポジティブな内容を書かせてもらいました。繰り返しになりますが、面白い試合でしたので。ただホームで勝ち点1しかとれなかったのは痛手でもあります。次はアウェイでの名古屋戦。清水以上に気温の高い状態の続く豊田で、国立で完敗した名古屋を相手にしなければなりません。しんどい試合となるのは間違いないですが、この試合のように粘り強く戦っていけば勝機はあります。何とか凌いで勝ち点を積み上げて欲しいです。
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