初戦突破(6/11 天皇杯松本戦)
先週末は国際AマッチWEAKという事でエスパルスの試合がなく、各地でW杯出場を賭けた戦いが行われたわけですが、それが一段落して水曜にエスパルスにとっての天皇杯初戦が行われました。相手はJ3で首位を走るFC大阪を延長の末下した松本山雅FCでした。平日なので行く事は出来ませんでしたが、幸いにもJFAのYoutubeチャンネルで配信してくれたため、90分間じっくり観る事が出来ました。
試合は4-2で勝利。3回戦にコマを進めました。セットプレーから2失点してしまうなど課題も出ましたが、天皇杯初戦というのは特に上位カテゴリーのチームの選手達にとってはどう気持ちを持っていくのかが難しいみたいで、そのせいか例年波乱がおきるので、初戦を無事突破できた事は素直に喜んでいいのではないかと思います。
<天皇杯第105回全日本サッカー選手権2回戦 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 4ー2 松本山雅FC
1.エスパルスのスタメン
SUB:梅田、監物、羽田、カピシャーバ、松崎、乾、小竹、マテウス ブエノ、千葉
予想と違って主力級を並べてきた印象を持ちました。前の方はリーグ戦では途中出場が多い選手にしたものの、中盤では宇野と山原を入れ、3バックに至っては完全に主力組ですからね。秋葉監督としてはリーグ戦に向けて主力を休ませたかったと思いますが、けが人の関係からそうは言っていられなかったのでしょう。またFWが復帰したばかりの千葉だけというのも台所事情の厳しさを感じました。そんな中で来日して練習に合流したばかりのマテウス ブルネッティがスタメンに入ったのは嬉しかったです。どんなプレーをするか楽しみでした。
2.松本の戦い方
かつて2016年にはJ2で自動昇格争いを最後まで繰り広げ、2019年にはJ1で共に戦った松本山雅ですが、2019年に反町さんが監督を辞任されたのを機にサッカーのスタイルを変えてからは思うような成績を残せず、2021年にJ3に降格。2022年に霜田氏が監督に就任されてからは後ろからしっかり繋いで崩すスタイルを磨き、昨季は4位で昇格プレーオフに進出し、決勝では富山を相手に前半2点を先行しながらATに追い付かれて昇格を逃してしまいました。その責任をとって霜田氏は退任し、今季からは早川知伸氏が監督を務めていますが、現在は10位に位置しています。
で、松本は土曜にアウェイで琉球との試合を控えていました。このため前節の福島戦からスタメンを全員入れ替えてきました。サブには主力となる村越、樋口らが入っているものの、キープレイヤーとなる安永や菊井はサブからも外して完全休養させています。松本はここ2試合連敗しており、まだプレーオフは十分狙える位置にいるものの、これ以上リーグ戦を落とせないという考えからこのような布陣にしたのでしょう。
3.試合経過
試合は開始早々に動きます。5分、ブルネッティからのクロスのこぼれ球を中原がゴールに叩き込んで、エスパが先制。10分にもCKから住吉がヘディングシュートを決めて2点目。エスパが開始から10分間で2点をリードします。その後はエスパがボールを支配しながら両サイドから揺さぶりをかけ、ボールを奪われても素早くプレスをかけてボールを奪い、完全に試合をコントロールします。松本のシュートは40分が初めてでしたが、44分に自陣でのミスからの流れでどフリーでシュートを撃たれ(枠外)、45+1分にはCKから井ノ上にヘディングシュートを決められて1-2。イヤな流れで前半を終了しました。
後半、エスパは開始から小塚に代えて千葉を投入。しかし開始直後は松本の方に勢いがあり、47分にはクロスバー直撃のシュートを撃たれます。しかし48分、蓮川がオーバーラップして左WBとの競り合いに勝って、フリーでクロス。千葉と相手DFとが競り合ってこぼれたボールを矢島がゴールへ流し込んで3点目を奪います。これで勢いを取り戻したエスパは49分に千葉が惜しいシュートを撃つなどチャンスを作っていきます。しかし松本は61分に村越、樋口、田中といった主力組を投入し、特にウチから見て左サイドを攻略すべく人数をかけて攻めてきます。その流れで65分にCKから井ノ上がこの日2点目のゴールを奪って再び1点差とすると、松本の勢いは更に強まっていき、エスパは自陣で耐える時間が続きます。しかしエスパは69分に乾と松崎を投入。この2人によって少しずつ相手を押し返せるようになります。そして77分には松崎のスルーパスをペナ内のスペースで受けた弓場がシュートを決めて、4点目を奪います。その後も松本は諦める事なく攻撃をかけますが、エスパは落ち着いてはね返し、結局試合は4-2で終了。エスパルスが3回戦にコマを進めました。
4.試合の雑感
最初に配信を観た時は、CKから2点とられた事と後半結構押し込まれた事から「勝ったけど課題が多いなぁ」と感じました。ただ1日たって改めて観直すと「そこまで言うほど悪くないな」と思い直しました。少なくとも及第点はあげられるかなと思います。特に前半40分までは、開始10分で2点を奪い、その後もゲームをコントロールして松本にシュートすら撃たせず、言い方は良くないかもしれませんが「格上の戦い」が出来ていたと思います。前半の終わり頃から松本がビルドアップ時の配置を4バック気味にして、その分特に右WBを前に張らせてきて、それにより特に後半は前から嵌められなくなって、押し込まれる展開となりましたが、69分に(大人げなく(汗))乾、松崎を投入した事で次第に試合を落ち着かせる事が出来たし、流れの中から松本に与えた決定機は2回くらいだと思うので、まずまずの試合が出来たのではないかと思います。何よりトーナメントでは勝つ事が何より大事ですからね。
とはいえ、見過ごせない問題も2つありましたね。
①CKから失点し過ぎ問題
C大阪戦に続いてCKから2失点してしまったのはいただけないですね。2失点ともC大阪戦の時の2失点目と同じようなところからやられてますし、同じ選手にやられたのも気にいらないです。まず1失点目は、小塚が近くにポジションをとろうとした松本の選手に気をとられてポジションをずらしちゃって、それにより空いたスペースを井ノ上に使われてゴールを許しています。2失点目は、たぶん中原が井ノ上にマークについていたと思うのですがいかんせん身長差がありますし、井ノ上以外の松本の選手も4人ばかり真ん中に入ってきたので他の選手がカバーにいけなかったですね。ブルネッティは行こうとしていたのですが松本の選手にブロックされてましたし。
秋葉監督や古川コーチも、後半は2人だけマンマークにするとかいろいろ模索しているみたいですが、なかなか上手くいってないですね。そこは引き続きいろいろテストして欲しいですが、一方で秋葉監督が仰る通りややナーバスになり過ぎているところもあると思うので、原点、というか基本的な原則をもう1度徹底する方が効果があるかもしれません。例えばゾーンで守る場合、意識すべきはボールと味方選手(相手選手ではない!)との距離なので、1失点目の小塚のように相手に釣られてポジションをずらしてるようじゃダメなんですよ。思えばC大阪戦の2失点目も住吉が同じようなミスをしています。そうした事がないように今一度ゾーンで守る時の原則を再度徹底するのが一番のような気がしますね。
②1トップを誰にするか問題
北川、タンキ、アフメドフなどのFWが相次いで怪我をしてしまっており、誰かが戻ってくるまでの間に1トップをどうするかが大きな課題になってますね。この日は、前半は小塚、後半は千葉が務めましたが、どちらも一長一短があるなぁと感じました。
小塚は、本来は中盤の選手なので最終ラインと駆け引きしたりDFを背負いながらポストをこなしたりするのは難しいと思ってます。ただこの日はウラ抜けの動きは結構やっていたし、真ん中でボールを引き出して1タッチでフォローしてきた選手に預けたりして、北川ほどではないですが前で起点となる場面がそこそこありました。1得点目も小塚が中央で潰れた事で生まれたものですしね。ただ先制点の時のようにチャンスシーンで真ん中にいるのは稀で、どうしてもあちこちに動いて真ん中がいなくなる傾向があるので、それだと1トップとしてどうなのかなという気はしました。そもそも彼の良さは後ろから前の選手を動かすパスを出す事なので、前線にいさせるのは勿体ない気がしてしまいますね。
一方の千葉は、生粋のFWという事もあって1トップを無難にこなしていたと思います。ただ前で起点になるとかポスト役をこなすとかいう点は見劣りしますね。どうしても北川と比べちゃうので。2度決定機がありながらどちらも得点できなかったのも、ね。2度目となるATの場面では相手DFを股抜きでかわしてほぼフリーの状態でしたし。大事に行き過ぎましたかね。ただ、後半の2得点に絡んでいるのは好印象です。3得点目は蓮川のクロスにニアで潰れた事で生まれましたし、4得点目も千葉がウラに走った事により相手最終ラインを引っ張って、それにより弓場が走りこむスペースを作っていますから。まだまだ未熟ですしJ1で通用するかはわかりませんが、小塚と千葉を比べるなら千葉を使った方が良いように思いました。まあいずれにしろ北川などが早く戻ってきて欲しい事には変わりはありませんが。
5.気になった選手
ここからは小塚、千葉以外で気になった選手3人について書こうと思います。
まずこの試合が日本でのデビューとなったマテウス ブルネッティ。前半は左WB、後半は左のCBでしたが、どちらもそつなくこなしていました。特に印象に残ったのがボールを持った時の落ち着きぶりで、左足でのパスは正確でかつ視野が広いし、相手に寄せられてもかわす事の出来る技術もありました。J1レベルの強度とスピードに対応できるかが気になるところですが、そこにもアジャスト出来れば非常に頼れる選手となりそうです。恐らく次のG大阪戦でスタメン出場するんじゃないかと思うので、楽しみに待ちたいと思います。
次は弓場です。宇野とボランチでコンビを組むのは公式戦では初めてだと思うのですが、お互いに連携して、一方が前に出たらもう一方は自重して良い関係を保っていました。で、弓場が前に出たら積極的にペナまで入って、前半だけで3本シュートを撃っていました。で、後半も千葉が作ったスペースに走りこんで公式戦初ゴールまで記録。このチャンスを活かしてアピールしようという強い意志を感じました。宇野とブエノのボランチコンビに食い込むのは簡単ではないですが、この試合のような働きが出来ればチャンスはあると思います。
もう一人は猪越。セービングに関しては無難にこなしていましたし、85分には相手のロングシュートをきっちり止めていました。ただフィードの方が不正確でしたね。キャンプ時の磐田とのTMの時はフィードも良いところを見せていたので、その点が残念でした。猪越や梅田が沖に危機感を与えるだけの突き上げをしないとダメだと思うので、もっと頑張って欲しいですね。
6.まとめ
天皇杯の初戦を突破してホッと一息といったところですが、週末にはリーグ戦再開です。相手は3月にアウェイで厳しい負け方をしたG大阪。怪我人が多く出ている中で早くも厳しい相手と対戦する事になりますが、僕達の要塞アイスタでの試合ですから負けは許されません。何としても勝ち点を積み上げて欲しいです。
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