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2025年3月 1日 (土)

奮闘(2/26 広島戦)

 今週のJ1は水曜(3/26)にもスケジュールが組まれていまして、エスパルスはアイスタ日本平に広島に迎えての試合でした。平日開催で、しかもまだ冬で夜は寒いので客の入りが心配されましたが、1万2千人もの観客が訪れました。かく言う僕はDAZNでの観戦でした。

 昨季リーグ戦2位で今期も優勝候補の一角にあげられている広島相手という事で、自分達の今の立ち位置を測るには絶好の相手だったわけですが、結果はドロー。しかも一度は先制しており、その後追いつかれて引き分けに終わったのは残念でしたが、手応えを感じる試合でした。選手達は本当に奮闘していましたし、その中でボール非保持時にボールホルダーへ厳しく寄せるところとか、ボール保持時に相手を剥がしてゴールに迫るところとか広島相手に通用するところがたくさんあったと思うので、収穫の大きい試合と感じました。

<明治安田J1リーグ 於 IAIスタジアム日本平>

 エスパルス 1ー1 サンフレッチェ広島

1.エスパルスのスタメン

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 SUB:猪越、高橋、吉田、宮本、小塚、中原、西原、アフメド アフメドフ、ドウグラス タンキ

 単純にメンバーだけで言うとカピシャーバに代えて北爪を、中原に代えて松崎をそれぞれスタメンに入れて来たわけですが、この試合は人の入れ替えだけでなくシステムも3-4-2-1に代えて来ました。まあ相手が3バックの時にこちらも3バックにするのは以前から秋葉監督がやる策ではあるのですが、原テルが退団してしまってCBの層が薄くなったので今季同じようにやるのは難しいかなと思っていたので、この策には驚きました。しかし今もCBとSBをこなせる高木がいるわけで、彼の力を秋葉監督が信じているからのシステム変更でしょうね。サブでは、今季初めて西原が名を連ねたのが注目ポイントでしょうか。

2.広島の戦い方

 昨季最後まで神戸、町田と優勝争いをしながら結局2位に終わった広島は今季こそ優勝すべく補強を敢行。ボランチに田中聡、FWにジャーメイン良と要所に実績のある選手を加入させた事で、万全の布陣を揃える事が出来ました。優勝候補の筆頭にあげる人も多くいるほどです。実際、シーズンが始まると広島はすぐに実力を発揮。スーパーカップとACL2を戦っているため公式戦開始が他チームより1週間早く、しかもここまで3週間連続で水曜日にも試合が入ってくるハードな状態だったのですが、2/22までの5試合で全勝。しかも得点12、失点1という盤石の試合ぶりを見せています。

 システムは3-4-2-1。J1でトップレベルの3バック、攻撃でアクセントを加えるトルガイ アルスランがいて、移籍組の田中聡が攻守の軸として走り回り、前線でジャーメインが両サイドに流れてポイントを作って空いたところにトルガイ、加藤、田中聡が入ってくるというパターンで得点をとってきています。この試合のスタメンも右WBに新井を入れて中野を3バックに回して塩谷をベンチスタートにした以外は全く同じメンバーで、それだけスキッベ監督が現在のメンバーに自信を持っているという事だと思います。ただ中2~3日での試合が5試合続き、前節からも中2日での試合という事で疲労が心配されましたし、実際、特に試合の入りのところは身体が重そうでしたね。

3.プレスがハマった前半

 前述した通り、エスパルスはシステムを広島と同じ3-4-2-1にしてミラーゲームの形にしてきました。それにより誰が誰を見るのかをはっきりさせ、その上で最初から積極的に仕掛けてきました。キックオフからボールを前に出してスローインをとり、そこから乾がポケットに抜け出してそこに松崎がスルーパスを出し、それを受けた乾がクロスを入れるという場面を作り、その後も前から積極的なプレスをかけて広島に自由を与えず、ボールを奪ったら早くボールを前に出して8分にも惜しいチャンスを作ります。広島もやられ放題だったわけでなく、エスパのパスミスから5分にジャーメインがシュートを撃つなどのチャンスを作り、試合開始から両チームが真っ向からぶつかる格好となりましたが、先制したのはエスパルスでした。10分頃、自陣からボールを運んで広島を押し込み、北爪がクロス。これは弾かれましたがこぼれ球をブエノがシュートし、そのこぼれ球を拾った乾がシュート。大迫がセーブしたもののこぼれ球にいち早く反応した松崎がポケット深くに侵入してクロス。これが荒木に当たってゴールに吸い込まれ、エスパが先制しました。オウンゴールではありますが秋葉監督がやりたいと考えるゴール前に湧き出るように人が出て来てゴールを陥れる形が具現化された見事な得点だったと思います。

 これで勢いの出たエスパは広島を相手に優勢に試合を進めます。前からの厳しい守備で広島に思うような攻撃をさせず、ボールを奪ったら前での北川、乾の巧みな連携を起点にボールを前に進めて広島を自陣に押し込み、崩し切るには至らないもののCKをとって、そこから27分の住吉のヘッドなどのチャンスを作ります。ただ30分を過ぎると広島もエスパのやり方に慣れてきて、逆に前からの圧力を強めてエスパのミスを誘ってボールを回収していった事でエスパ陣内に押し込み、34分にトルガイ、41分のジャーメインなど4本ものシュートを放ってエスパに圧力をかけます。しかしエスパも5-4-1のブロックを崩す事はなく、基本的には広島のパス回しをエスパのブロックの前で行われるように限定してペナ内への侵入を許さず、試合は1-0でエスパがリードしたまま折り返します。

4.どちらに転ぶかわからない展開の後半

 後半、広島は新井に代えて塩谷を入れて中野が右WBに回るベストの布陣にし、キックオフからエスパ陣内に攻め込みますが、ハーフタイムにネジが巻かれたエスパもこれをはね返し、逆に 47分に松崎からのクロスをブエノ、北川が連続でシュートを撃つという決定機を作り、その後も49分には相手ゴール前のパスをカットした松崎が北川へラストパスを送ろうとする場面や51分に山原が塩谷に競り勝って相手陣左サイド奥に侵入してクロスを送る場面といった惜しいシーンを作りましたが、いずれもシュートまでには至りません。今思えばこの時間帯であったチャンスのうちどれかをモノに出来れば結果は違ったものになったかもしれません。そして61分に広島が東、トルガイに代えて菅、中村を入れたあたりから試合のペースは広島に移っていきました。

 後半に入るにあたって広島が施した修正は選手交代の他にもう1つありました。広島は基本的にボランチがタテに並ぶ形になり、田中が後ろでアンカーの役回りをするのですが、それに対してエスパはボール非保持時に北川が3バックの真ん中の荒木を見るのですが、その時に後ろの田中をカバーシャドウで消しながら荒木にプレッシャーをかけるので、広島はエスパのブロックの外側でしかボールを回せない時間帯が続いていました。このため広島はもう1人のボランチの川辺のポジションを田中と横並びにする事で北川のカバーシャドウによる守備を無効化しようとし、それにより次第に両ボランチ、特に田中がボールに絡む事が出来るようになって攻撃が少しずつ活性化していました。そして前述した選手交代によって圧力を強めていった65分、広島が同点に追い付きます。CKをエスパがいったんはね返しますが、こぼれ球がフリーの塩谷へ。塩谷がダイレでシュートを撃つと、ボールはゴール左隅に吸い込まれ、試合は1-1の降り出しに戻りました。まあこれは塩谷を褒めるしかないですね。乾などが寄せていきましたが間に合わなかったし、沖からするとブラインドになってボールが見えなかったと思いますから。

 この直後にエスパは北川、松崎に代えてアフメドフと中原を投入しますが、1トップに入ったアフメドフが荒木の厳しいマークにあってボールを収められず、ボール非保持時のプレスでも後ろのボランチを消しきれなくなって田中が自由にボールを持てるようになったため広島がエスパ陣内でボールを回す時間帯が増えていきました。しかしエスパは74分に北爪に代えて西原、81分に宇野、乾に代えて宮本、小塚と相次いでフレッシュな選手を投入し、それによって運動量が増えてきたエスパが次第に広島を押し返せるようになり、82分にブエノが持ち出してのアフメドフへのラストパス、90+1分に小塚のヘッドといったチャンスを作り出し、広島も84分に加藤、88分にジャーメインが惜しいシュートを放って、どちらに転ぶかわからない殴り合いの様相となっていきました。しかし90+4分のCKがはね返されたボールを山原が相手のウラへ斜めのパスを通して中原がクロスを入れてのアフメドフのシュートも決まらず、試合は1-1のドローに終わりました。

5.課題と収穫

 最後までどちらに転ぶかわからない緊張感のある試合でした。まあ試合展開としては広島の方がボールを握る時間帯が多かったのですが、一方でゴール期待値で見るとエスパが広島の約2倍あったので、両方を加味するとドローというのは妥当な結果だろうと思います。ただ、勝てる試合ではありましたね。前述した通り後半開始から10分ほどはエスパがチャンスを多く作ったのですが、そのチャンスを得点につなげる事が出来ていれば勝てたかもしれないなと思います。特に49分や51分のチャンスはラストパスが通っていれば、という場面だったのに丁寧さに欠けたために通せませんでしたからね。で、これに繋がる話になりますが、前節に続いて攻め急いでしまったというのが反省点としてあるのかなと思います。最終ラインが堅い広島相手だから早くシュートを撃たないと、って感じで焦ってしまう気持ちもわかるのですが、全力疾走している中で正確なパスを出すというのは簡単ではないですから、状況によっては誰かに預けて時間を作る余裕も必要ではないかと思います。またこの日は広島にボールを長く持たれてしまいましたが、それを防ぐにはこちらがボールを持つ時間を長くすればいいわけです。ボールを持って相手を押し込んだ時にそのまま一気に攻め切る事だけでなく、時にはボールを戻してパスを回しながら相手のスキをうかがう時間帯も必要でしょう。まあ広島の守備は堅いですし前プレもきついから簡単ではないですし、こちらは3年ぶりにJ1に戻ってきたところですからいきなりは無理でしょう。基本的にはタテに早い攻撃を志向してますしね。だからすぐにとは言いませんが少しずつ攻め急ぐ傾向から脱して、広島のような強いチーム相手でもボールを握る時間を長くする努力が必要だなと感じました。

 などと攻撃面の課題について書きましたが、先制した場面の湧き出るように選手が出てきて波状攻撃をかけた場面は見事でした。あれが秋葉監督の理想とする攻撃ですよね。また守備に関してはミドルブロックを敷いた時もリトリートした時もブロックが最後まで崩れず、抜かれそうになっても誰かがカバーする形が出来ていて、広島が狙っている攻撃をさせませんでした。公式戦で最初から3バックでやるのは初めてだったにも関わらず広島相手にも通用したというのは、今後の戦いの幅を広げる事が出来るという意味で、大きな収穫になったと思います。J1では3バックのチームが多いですからね。代表経験者が多い広島を相手にしてもデュエルで負けてなかったし、時には相手を慌てさせる事が出来ていました。まあ勝てなかったのは残念ですが、決して悲観する事はないし、むしろ自信に思っていいと思います。何にせよ秋葉監督の仰る通り見ていてヒリヒリするような緊張感のある面白い試合でした。こういう試合をもっと見たいし、今度はそこで勝ちたいですね。

 ただ気になる事を1つだけ。西原が交代で入ってくる時に指で4を表す仕草をしていました。これを見て「4バックにするのかな」と思いましたが、試合後に秋葉監督は「システムを代えたつもりはない」と仰ってました。こうした認識の齟齬が試合の結果を左右する事が往々にしてあるので、確認しておいて欲しいです。もうやっていると思いますが。

6.個々の選手に関する雑感

 MOMをあげるとするなら、僕は北川をあげたいです。確かに得点に絡んでませんし47分にはシュートしようとして合わせ損ねた場面もありましたが、攻守ともに貢献度が非常に高かったです。ボール非保持時は田中を消しながら荒木にプレスをかけて特に前半広島の攻撃を思うようにさせない大きな要因になりましたし、ボールを奪った後のポストプレー、というかダイレで後ろから来た乾、松崎に落とす事で攻撃の起点として機能しましたし、思えば先制点に繋がったのは後ろからのボールをそのまま後ろ向きで受けるフリをしてから反転して荒木をかわしてボールを前に持ち出したところから始まってますからね。攻守に効いていました。その北川との絡みが多かった乾はさすがのプレーぶり。ボールを上手く引き出して味方に時間を作る役割をしっかりこなしていました。あと松崎のプレーも印象に残りますね。キレキレのドリブルで相手を慌てさせてました。その後ろの宇野、マテウス ブエノも良かったですね。特にマテウス ブエノはどんどん良くなっていっています。開幕戦の後「まだ6~7割」と言っていたのがよくわかるプレーぶりで、今後が楽しみです。最終ライン、特に3バックの蓮川、住吉、高木も良かったです。連携面が向上しているのが頼もしいですね。

 一方、北川に代わって入ったアフメドフはまだ時間が必要だなとリアタイで見ていた時は思っていたのですが、見返してみると最初は荒木にガツガツ来られて全く通用しなかったのですが、この試合の中で少しずつ慣れていったみたいで、90分には住吉からのボールに反応して荒木に競り勝ってボールを前に運ぶところまでいっているんですよね。それを見る限り日本のサッカーに慣れてくるのもそんなに先の話じゃないんじゃないかと思いました。

7.まとめ

 残念ながら開幕3連勝はなりませんでしたが、無敗はキープしました。次はアウェーでの岡山戦。ホームでは昨季から7連勝中で、G大阪にも勝って勢いにのっている厄介なチームです。ただウチもチーム始動からの練習が着実に成果として表れているところですから、負けていられません。タフな試合になるでしょうが、是非勝ち点3を持ち帰って欲しいです。

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