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2024年10月 9日 (水)

まだまだ甘い(10/6 水戸戦)

 先週末はアウェイでの水戸戦でした。もともと「昨季の悔しさを晴らすんだ!」と思っていたサポも多かったでしょうし、そこへ他会場の結果によっては昇格が決まるかもという新たなモチベーションが出来たため、試合が行われたケーズデンキスタジアムには大勢のエスパサポが訪れました。

 試合は2-2のドロー。同時刻に行われた試合で長崎が勝った事もあって、今節での昇格はなりませんでした。内容についても時間帯によって様々な顔が見られるという感じでしたし、「まだまだ甘いなぁ」と思わされる試合でした。

<明治安田J2リーグ 於 ケーズデンキスタジアム水戸>

 エスパルス 2ー2 水戸ホーリーホック

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1.エスパルスのスタメン

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 SUB:沖、北爪、高木、松崎、矢島、中村、ドウグラス タンキ

 スタメンは前節から3人変更。高橋に代えて蓮川、中村に代えて宮本、西澤に代えてカルリーニョスが入りました。カルリーニョスは久しぶりのスタメンになります。サブではアジズに代わってタンキが入り、松崎が久々に入りました。

2.水戸の戦い

 長年粘り強い戦いを見せ、「J2の門番」と呼ばれる事もある水戸。今季は昨季に引き続いて濱崎監督が指揮を執りましたが、開幕戦で勝った後に4連敗を喫しその後第5節~第10節まで5試合連続ドローで9試合連続勝ち無しとスタートで完全につまずいてしまいました。その後少しずつ調子を取り戻してきたものの順位が上がらない事に危機感を持ったのかクラブは5/9に濱崎監督を解任。ディベロップメントコーチだった森氏を監督に昇格させました。監督交代直後はそれほど状況は改善しませんでしたが、リーグ戦中断前の第24節ではホームで横浜FC相手に2-2のドロー。更に中断明けの第25節ではアウェイで長崎に2-1で勝利をあげました。これで勢いの出た水戸は中断明けの9試合で5勝3敗1分で勝ち点16をあげ、残留争いから脱しつつあります。

 システムはシーズン開始からしばらくは4-4-2でしたが、前述したホームでの横浜FC戦あたりから3-4-2-1を採用しているようです。ただボール保持時は左WBを前に上げての4-4-2で戦っているみたいで、この試合では同じボール非保持時でも中盤でブロックを組む時は4-4-2、押し込まれて自陣にリトリートした場合は5-4-1とボールの位置や状況に応じてシステムを使い分けているようで、しかもそれによりギャップが出来たりしないあたりかなり鍛えられている印象でした。一方ボール保持時の基本は早めに長身FWの久保もしくは中島に当ててこぼれ球を狙う形ですが、最終ラインで保持してハーフスペースのレーンを使ってタテパスを入れる事もしてきて、特に前半先制されてからは大いに苦しめられました。

3.非常に良い出来だった前半の23分間

 エスパの前半の入りは非常に良かったです。いきなり1分20秒くらいに宮本から北川へのクサビを起点に最後はカルリーニョスが際どいシュートを放ち、その後も4-4-2の陣形から食いついてくる水戸守備陣を巧みにパスでかわしてボールを前へ運び、相手を押し込んでいきました。また水戸のサイドの選手が食いついてきたところで空いたスペースに北川が流れてそこで起点を作る事が出来ていた事も効いていたと思います。前半15分間のエスパのボール支配率は75%という圧倒的な数字で、その中で11分頃には宮本から乾にタテパスが入り北川とのワンツーで中央突破を図ったり12分には宇野が鋭いシュートを放つなどチャンスを作っていきました。

 水戸は防戦一方で相手陣にすら進めない状況でしたが、15分を過ぎる頃には少しずつ落ち着きを取り戻し、20分頃からは少しずつ前からプレスをかけられるようになってきました。そして23分、エスパの最終ラインでの繋ぎにプレスをかけてサイドへ追い込み、原テルからブラガにパスが渡ったところで左SBの位置に出ていた大崎が厳しくチェックをかけてボールを奪って中島へパス。中島はタメを作って走り込んだ大崎にパスした事で大崎がフリーとなり、大崎のシュートを蓮川がブロックしようと滑りましたがこれでボールが浮いて権田の頭を超えてゴールへ。エスパは水戸に許した最初のシュートで失点してしまいました。

 水戸のプレスに見事に嵌められた格好となりましたが、やりようはあったと思います。まず大崎から中島にパスが渡った時に住吉が応対しましたが、そこは蓮川が応対した方が良かったかもしれません。大崎が走り込んでいて原テルが遅れてついてきている状態だったので。また住吉が中島に前を向かせたのもダメですし、自由にパスを出させてしまったのもちょっと・・・。で、大崎がフリーになるんですけど、蓮川は滑るのではなくファーサイドのシュートコースを消した方が良かったと思います。あと、これは宮本が試合後コメントした事ですが、ブラガにボールが渡った時にボランチの2人が下がり過ぎてブラガが孤立してしまったのも拙かったと思います。まあどれも結果論ではありますが、単純に緩かっただけでなくビルドアップの時のポジショニングとかボールを奪われたところでの守り方とかの部分のエラーがいくつか重なった結果の失点でした。

4.焦りから水戸にペースを握られた前半残り22分

 先制した事で自信と勢いを手にした水戸は見違えるように出足が良くなり、その圧をまともに受けたエスパは「何とか早めに追いつこう」とする焦りもあってかパスミスやトラップミスが多くなり、なかなか水戸のアタッキングサードまで入れなくなりました。35分頃に一度だけ乾が中間ポジションで受けてのドリブルから原テルのシュートに繋がりましたが、それ以外は水戸のプレスとリトリートした時はボールサイドに人を集めて真ん中にはパスを入れさせないという守備の前になかなかボールを前に運べませんでした。そんな停滞感が漂う中でエスパは水戸に2失点目を食らいます。38分、右WBの長澤のクロスを中島が見事に合わせて2点目となりました。

 シュート自体は防ぎようがない素晴らしいものでした。なので問題は長澤にどフリーでクロスを入れられた事です。カルリーニョスと山原が2人いたのにどちらも長澤に寄せませんでした。この時山原がカルリーニョスに長澤を指差してチェックに行くよう指示していたのでカルリーニョスを責める声が多いんですけど、僕は山原が行くべきだったんじゃないかなと思います。何故なら斎藤がポケットに入ろうとしていたから。ポケットに入る動きに対しては基本的にはボランチもしくはサイドハーフがカバーして、その分SBがサイドの選手に付くのが約束事になっていたと記憶しているので、山原がカルリーニョスにサイドに行かせたのが良くわからないんです。勿論シチュエーションによってはサイドハーフがサイドの選手につく事もありましたけど、この場面でそうすべきだったかは正直疑問です。そうしたサイドの選手にSB、サイドハーフのどちらが付くかについての約束事がまだ曖昧なのか、或いは1点ビハインドでしかも上手くいってない事により焦りが招いたエラーかのどちらかによるもので、「緩み」とかそういうものではないと思います。

 これで2点ビハインド。これは6月のアウェイでの秋田戦以来です。失点後乾の呼びかけで急遽集まって意思統一を図ろうとしますが、その後も動揺は収まりませんでした。攻めては水戸の同サイドに人を集めた守備を受けてボールを前に運べず、ボール非保持時は何とか前でボールを奪おうとプレスを仕掛けますが個人個人がバラバラに行くばかりでボールを奪うには至らず、特に左サイドは混乱しきってて、カルリーニョスと山原が前プレをかけようとしたその間のハーフスペースレーンにパスを通されて斎藤に危ないシュートを食らう場面が2度もありました。どうにか2失点で済んだというのが正直なところで、酷い出来のまま前半を折り返しました。

5.選手交代で流れを引き戻した後半開始から11分間

 後半、秋葉監督はカルリーニョスとブラガに代えて松崎とタンキを投入しました。2トップにして前線の人数を増やす事でよりボールを出しやすくするのが狙いだと思いますが、開始直後の47分にその狙いが的中します。原テルからウラ抜けしようとしたタンキにロングフィードが出され、タンキが山田と競り合いながらボールをキープして北川にラストパス。北川が冷静にこれをゴールに流し込んでエスパが1点を返しました。タンキの身体の強さとフリーの味方を使う冷静さ、北川の楠本の股下を抜くというシュートセンスの光った見事なゴールでした。GKの松原は北川のシュートモーションから左に動いたと思うのですが、その逆を突くのも流石でしたね。

 これにより逆にエスパの選手達に勢いが出て、水戸が5-4のブロックを築こうがお構いなしに細かいパスを繋いで水戸ゴール前に攻め込んで、51分にCKから住吉、53分に北川のポストから宮本と惜しいシュートシーンを作りました。サポーターもその押せ押せムードを後押しするような素晴らしい雰囲気を作っていました。(DAZNで解説の清水さんが「ここは静岡県じゃないですよね?」と仰って実況の原さんが「茨城県ですw」と返したのがこのあたりでしたw)

6.攻め続けてドローに持ち込んだ残り34分間

 これに対して水戸は56分、1得点1アシストの中島ら前3人を入れ替えました。これにより水戸の前からの守備の強度が再び高まって、エスパはそれまでの11分間程には勢いよく水戸陣内に攻めかかる事が出来なくなりました。それでも北川の前プレでボールを奪ってからの松崎のシュートや69分には原テルからのクロスを途中交代で入った矢島がボレーシュートを放ったり、75分には原テルのアーリークロスからのタンキのヘッドといった惜しい場面を作ってはいましたが、水戸も真ん中をしっかり締めてブロックの中に入れさせないようにしてきて、なかなか崩す事が出来ませんでした。

 しかし82分、右サイドで松崎と原テルでパス交換して水戸DF陣を引き付けたところで原テルから逆サイドへクロス。これを受けた矢島がカットインしてシュート。山田がヘディングでクリアしようとしましたが防ぎ切れずにボールがゴールに吸い込まれ、エスパが2-2の同点に追い付きました。矢島のシュートは本当に起死回生の素晴らしいシュートでしたが、その矢島へクロスを送った原テルの冷静さも光るゴールでした。

 この後はエスパも水戸も勝ちを狙って攻め合う展開となり、どちらに転ぶかわからない展開となりました。その中で89分と90+1分の2回久保に際どいヘッドを撃たれましたが、エスパも90+3分に矢島が惜しいシュートを放つなどして譲らず、試合は2-2のドローとなりました。

7.まだまだ甘かった

 試合後のインタビューで矢島が「優勝を目指す中でこんな試合をしてはいけない」とコメントしていましたが、その通りだと思います。特に前半先制されてからの23分間は8月の中断明け後の試合の中では一番酷い出来でした。秋葉監督は日頃から「自分達から崩れるな」と口を酸っぱくして仰ってますが、この23分間はそんな感じでしたよね。そこは反省すべきですね。ある程度焦りが出るのは仕方がないのですが、あそこまでパニクられると「今までやってきた事は何だったの?」という話になっちゃうので、そこはもう少し落ち着いて、焦れずに最低でも2失点目はやらないようなメンタルを持たないといけないなと。その部分がまだ足りないと感じました。

 一方で秋葉監督は前半の2失点を「緩み」と仰っていました。そうした緩みとか或いは前述したような焦りといったメンタル面「だけ」にフォーカスするのは簡単なのですが、そんな単純な話ではないと思ってます。1失点目だったら中島に対して住吉と蓮川のどちらが最初に付くべきだったのかとか、2失点目だったら長澤に対してカルリーニョスと山原のどちらが寄せるべきだったのかといった守備時の約束事のところでまだ盲点というか詰め切れてないところがあったというのが失点の要因としては大きいと思います。そこは今一度チーム内でしっかり見直して欲しいですね。恐らくオフ明けの今日(10/9)の練習前のミーティングで話し合われていると思ってますが。

 という事で非常に反省点の多い試合となりましたし、昨季に続いてまたも水戸で勝てなかったのは非常に残念ですが、2点ビハインドを負いついたのは今季初めてです。リーグ戦前半はアウェーで失点を重ねたらなす術なく敗れてばかりでしたが、今はそれをはね返す反発力が付いている。これは自信に思っていいと思います。またこれまでの34試合で積み上げてきた戦い方があるからこうした反発力が付いてきたと言えると思うので、残り4試合もこれまで積み上げてきた力を活かして、修正すべきところは修正しながら最後まで戦い抜いて欲しいです。

8.まとめ

 ドローに終わった事で再び横浜FCに抜かれて2位となってしまいましたが、勝ち点1を積み上げた事で次の試合で勝てば3位の長崎の結果に関わらずJ1復帰できるところまで来ました。次は1週空いてのホームでの山形戦です。今一番勢いのあるチームですが、僕達の要塞アイスタ日本平で戦えるという有利な戦いでもあります。しかもチケットの売れ行きが好調で、SOLD OUTになりそうとの事。満員のサポーターの前で戦えるのですから、勝ってノルマを達成しましょう!そのために2週間良い準備をして欲しいです。

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