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2024年9月18日 (水)

予想外の雨と予想外の4得点(9/14 山口戦)

 先週末はホーム・アイスタ日本平での山口戦でした。出かける時に天気予報を見たら何と清水は午後から雨が降るとの事。少なくとも木曜にチェックした時点では雨が降るとは書かれてなかったので、驚きました。幸い清水駅に着いても晴れていて雨が降る様子はなかったので、行きだけパルクルを使って鉄舟寺の手前まで行ってそこから歩いてアイスタへ行きました。で、雨雲レーダーの予測を見る限りでは試合終了後の21時あたりから降りそうな感じだったので「帰りはシャトルバスかな」と思ってたら、キックオフ直前から結構な雨が降って来てポンチョを着なくてはいけなくなりました。

 試合は4-1で勝利。4点もとれる展開ではなかったのでビックリしましたが、チームが逞しくなったと感じる事が出来ました。このまま余韻に浸ろうと思っていたら試合終了とともに雨が降り出して勝ちロコの頃にはドシャ降り。おかげでLALANJA PARTY NIGHTも中止になりすっかり水を差されてしまいました。とはいえ観に行った甲斐のある試合だったのは変わりませんが。

<明治安田J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>

 エスパルス 4ー1 レノファ山口FC

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1.エスパルスのスタメン

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 SUB:沖、北爪、高木、宮本、矢島、郡司、ドウグラス タンキ

 9/8の松本とのトレーニングマッチでプレーした原テルが久々にスタメンに復帰。サブには同じトレーニングマッチで得点をあげた郡司とタンキが入りました。一方で蓮川、吉田といった実力者がメンバー外となりましたが、この後中3日で徳島、藤枝との連戦を控えているのでそれも考慮しての人選だろうと推察してます。

2.山口の戦い方

 昨季J3でFC大阪を上位に導いた志垣氏を監督として招聘した山口は、4-4のコンパクトなブロックからの厳しいプレスと長短のパスを使っての鋭い攻撃を武器に躍進しています。4-4のブロックは非常に堅いため簡単には崩れず、失点は第30節時点で31失点とリーグ5位の少なさ。攻撃は梅木などの長身FWにロングボールを当ててセカンドボールを拾って攻め掛かるのが基本スタイルですが、後ろからのビルドアップも巧みで、ボール保持時は左SBの新保が一列上がって中盤の選手と連携しながら左サイドを崩しにかかるのが大きな武器となっています。ウチとの対戦でもこちらの右サイドを崩して2点を奪取しての勝利。ウチにとっては完敗を喫した試合で、この試合でも苦戦が予想されました。

 しかし第28節に長崎相手に2-1で逆転勝ちをして4位まで順位を上げたものの、その後岡山、徳島相手に連敗で6位に後退。この試合でも敗れるとプレーオフ圏内から脱落する恐れがあるという状態でした。

3.思い通りとなった前半

 この試合は秋葉、志垣両監督による選手交代によって試合の流れが変化した印象が強いので、時間帯ごとに区切って書いていこうと思います。

 前述した通り山口は4-4のコンパクトなブロックを敷き、ブロックの横幅も狭くして、ボールが中に入った時には人数をかけてボールを奪うか最低でも自由にやらせないという守り方をしてきます。が、その分、ブロックの外側は空いているのでそこを起点にする事も出来ます。エスパはそのサイドのスペースを利用して両SBにボールを付け、そこにダブルボランチや乾が寄っていてボールを引き取って前に持ち出したり、ボールに引っ張られて山口のブロックが片方のサイドに寄ってきたところで逆サイドへサイドチェンジして、逆サイドからボールを運ぶなどして巧みに山口の守備を剥がしてボールを前に運んでいました。で、相手を自陣に押し込んだ後は通常のように2~3人でボールを回して相手のSBやサイドハーフを引き出してそれにより空いたスペースを使うよりもシンプルにクロスを上げる事が多かったと思いますが、これはクロスを多く混ぜる事で相手のSB、サイドハーフを引き出そうという狙いだったんじゃないかと思います。真ん中ではね返す事に自信があったとしても、相手にフリーでクロスを上げられる事はやはりイヤですからね。かと思えば13分のように左サイドで山原→カルリーニョス→乾といずれもダイレで繋いで乾がポケットに侵入したり、22分にはCKからの流れではありますが、右サイドにいた原テルから北川へ斜めのパスが入って北川がダイレでシュートを放つという決定機を作ってくるわけで、山口からするとボールサイドに寄ったら逆サイドに振られてその度にスライドを余儀なくされるし、クロスを単純に入れてくるだけかと思ったらポケットを使われるしと散々揺さぶられているわけで、結構きつかったのではないかと思います。高い最終ラインのウラも狙っている事も5分の北川へのスルーパスなどで見せてますしね。

 その執拗な揺さぶりが効いたのか、27分にエスパが先制点を奪います。左からのCKはいったんはね返されますが、こぼれ球を乾が拾ってダイレで山原に繋ぎ、山原がクロスを上げるとニアで北川が合わせて、それがファーサイドに吸い込まれてエスパが待望の先制点を奪いました。

 北川は6月のホームでの藤枝戦以来の得点で、これでゴール数を二桁にのせました。難しい体勢でのシュートですが、ホーム開幕戦でのゴールもニアで合わせてのものですから、結構この形は得意なのかもしれませんね。で、ここまで約3カ月得点できなかったのは本人にとっても辛かったと思います。批判の声も聞こえてきたでしょうしね。それだけにこの日のゴールはこれまでの鬱憤を晴らすもので、だからあれだけ喜んだのだろうと思います。これでプレッシャーから解き放たれてゴールを量産してくれればいいですね。

 この先制点以降も基本的にはエスパがボールを握り続けますが、少しパス回しのペースは落としてきました。そのせいか40分くらいから多少山口にボールを持たれる時間が増えましたが、ボール非保持時も落ち着いて対応して山口に付け入るスキを与えず、前半は1-0で折り返しました。

4.流れを少し変えた58分の山口の選手交代

 後半、両チームとも選手交代は無し。山口は何とか早めに追いつこうとプレスの圧を強めますが、エスパも落ち着いてプレスを剥がしてボールを握り続け、52分に左の山原のクロスが流れてきたのをブラガが拾ってシュートを放つという決定機を作って山口にペースを渡しません。このため志垣監督は58分に3枚替えを敢行します。2トップの一角だった山本に代えて酒井、左サイドハーフの田中に代えて新保、ボランチの佐藤に代えて田邊の3枚です。これに伴いそれまで左SBだった前が右サイドハーフに移って新保が左SB、右サイドハーフだった河野が左サイドハーフに入りました。狙いは明らかに攻撃力の強化ですよね。左SBに入った新保は怪我で前節は欠場しましたが、それまでチームで一番アシストを記録している左サイドのキープレーヤー。6月の対戦時にも苦労させられました。また左サイドハーフに移った河野はチームの得点数ナンバーワンで、長崎戦でも凄いゴラッソを決めた攻撃の軸です。志垣監督とすればこの2人を同じサイドに並べる事による相乗効果に加えて夏に名古屋から加入させた酒井を前に入れる事で同点あるいは逆転を狙ったのでしょう。

 その効果が表れたのが65分の同点ゴールです。エスパから見て右サイドからのエスパボールのスローインのボールを持った宇野にプレッシャーをかけてミスを誘い、ボランチの相田が前線の酒井にパス。酒井がダイレで田邊へ落とすと田邊は右サイドのウラへ抜けようとした若月へスルーパス。若月の1本目のシュートはスライドしてきた住吉にカットされましたが、そのこぼれ球が若月の前に落ちたので若月が再びシュート。権田が身体には当てたものの完全にセーブするには至らずボールがゴールへ吸い込まれて同点となりました。

 志垣監督としたら3枚替えにより投入した3人全員がこのシーンに絡んだのでしてやったりでしょう。あと、スローインから始まったので原テルはその分前に出ていてその分その後ろが空いていたし、横の高橋も気にはしていたでしょうが前にいた酒井にクサビを入れられたので付かざるを得なくなりました。酒井に前を向かれたら怖いですし、後ろで守っている時は人を捕まえるのが今のチームの約束事ですからね。山口とすればウチがそういう守り方をしてくるのはわかっていたでしょうから、酒井にボールを当てて原テルのウラのスペースを空けさせたのでしょう。ウチの反省点としてマークの受け渡しで対応できなかったかというのはあるのですが、ダイレで繋がれちゃったので対応するのは難しかったような気がします。何にせよ上手くやられましたね。

5.流れを引き戻した70分の選手交代

 この後は同点に追い付いた山口に勢いが出て来て、得点直後に入った小林が67分にシュートを放つという場面を作りました。エスパも負けじとブラガがヘディングシュートを放ちますが、試合は一進一退の状況でした。そこで秋葉監督は70分、宇野に代えて宮本、カルリーニョスに代えて矢島を投入しました。これにより右サイドハーフのブラガが左に移って矢島が右サイドハーフに入りました。狙いは山口の左サイド対策です。矢島に新保を見させて、更に右のボランチをよりフレッシュな宮本に代える事で山口の左サイドからの攻撃を止めにかかったわけです。実際交代直後には新保にこちらの右サイド深くまで侵入されますが、宮本が新保に寄せて更にその後ろに矢島が来て2人で対応し、最終的に相手のミスを誘って事なきを得ています。秋葉監督としては山口の左サイドの攻撃を止める事で山口に傾きかけていた流れを引き寄せようとするのが一番の狙いだったと思うのですが、代わって入った矢島が大仕事をやってのける事となりました。

 前述の山口のミスからのゴールキックから山口のミドルブロックを左右に揺さぶりながらスキを窺っていた72分、左サイドでボールを持った中村からウラへフリーで走り出した矢島へ絶妙なロングフィード。矢島がこれを胸トラップで受けた後飛び出したGKの関を嘲笑うかのようなループシュート。これがゴールに吸い込まれてエスパルスが勝ち越しに成功しました。これはもう中村のフィードが見事ですし、矢島のウラ抜けのタイミングとボールを受けてからの冷静さも心憎いばかりです。で、このプレーの直前に前でフリーでいた矢島が後ろでボールを受けた中村を見ているんですよね。中村がそのアイコンタクトに気付いた(要は目が合った)のを察知して矢島は走り出しているし中村もすぐキックモーションに入ってるんですよね。勿論意図通りのプレーをしてのける技術の高さがあってこそなのですが、こういうわずかな意思疎通から見事なゴールシーンに繋がったのを見る事が出来て良かったです。(勿論現地では気が付かず、帰ってからDAZNで何度も見返したからこそ気が付いたのですが)

 この後は山口も反撃に出て、75分に前がフリーでシュートを撃つ場面などを作りました。が、エスパは77分に乾に代えて北爪を入れて3-4-2-1へ移行して後ろのスペースを消し、その上で83分には北川とブラガに代えて郡司とタンキを入れて前線をフレッシュなメンツで揃え、86分にはスローインからカットしたボールを郡司→タンキと繋いで、タンキからのラストパスを矢島がスライディングしてのシュートでゴールヘねじ込んで3点目。89分、郡司のサイドを突破しての惜しいシュートからのCKで、タンキがこぼれ球を押し込んで4点目。結局4-1でエスパルスが6月に負けた時の雪辱を果たしました。

6.まとめ

 最後は3点差が付きましたが、点差ほどの差はなかったです。山口の4-4のブロックは非常に堅く、特に真ん中をしっかり締めてきてバイタルエリアを殆ど使わせてもらえず、なかなかゴールを割らしてくれないチームでした。攻撃に関してはアウェイでの戦いで感じた程の鋭さは感じませんでしたが、怪我明けの新保が入ってからの攻撃は脅威となりましたから、同点にされた時はヤバいと思いました。差があったとすればまず交代選手の質。58分の山口の交代策には見事にやられましたが、ウチも途中投入の矢島、タンキ、郡司が得点に絡みましたからね。特に矢島は途中から入って確実に役割を果たしてくれる頼れる存在ですね。あとは前半に関してはエスパがボールを握る展開が続いたわけですが、その過程での左右の揺さぶりやウラ狙いの攻めが確実に山口にダメージを与えていたのだろうと思います。8月以降エスパのパス回しの質は上がってきていると思いますし、山口が最後の最後で息切れしたのはその証左と言えるんじゃないかなと思いました。

 この勝利により自動昇格に必要な勝ち点は14となりました。一方で首位の横浜FCとの勝ち点差は4のままですが、それを縮める絶好の機会となるのが明日(9/18)のアウェイでの徳島戦です。ここで勝てれば横浜FCとの勝ち点差を僅か1点に出来ます。遠いアウェイでの試合という事で大変ではありますが、何としても勝って首位の横浜FCとの差を縮めて欲しいです。

(追記)
 スコアの表記が誤っていたため、訂正しました。申し訳ありません。

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