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2024年9月20日 (金)

今季2度目の逆転勝ち(9/18 徳島戦)

 水曜日(9/18)は台風のため延期となっていたアウェイでの徳島戦が行われました。平日にも関わらず400人余りのエスパサポがポカスタに集結したそうで、実際DAZNでも馴染みのチャントが良く聞こえました。

 試合は後半に先制を許しながらの逆転勝ち。これは開幕戦のアウェーでの熊本戦以来です。先制された時の勝率が悪いのは知っていたので、今回逆転で勝ってくれて良かったです。で、先制された時の勝率が悪い事をこの試合の実況担当の方も把握されていたのですが「清水は逆転勝ちが1回もない!」と何度も仰っていて、少々気になりました。これでこの試合も逆転出来なかったら「フン、どうせウチらは先制されたら弱いよ」という不貞腐れ度合いがいつもより上がったと思うのですが、久々に逆転勝ちした事でこの事を笑い話に出来て良かったですw。

<明治安田J2リーグ 於 鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム>

 エスパルス 2ー1 徳島ヴォルティス

1.エスパルスのスタメン

20240918

 SUB:沖、住吉、山原、乾、中村、北川、ドウグラス タンキ

 予定外の中3日の3連戦という事でスタメンを数人入れ替えてくるだろうとは思ってましたが、予想よりも多い7人の入れ替えをしてきました。それだけでなくシステムも第20節の愛媛戦以来久々に3-4-2-1に変更しました。確かに相手の徳島は3バックを採用しているのでこちらも3バックにしてミラーゲームにする可能性もありましたが、このところの傾向や第21節以降は4-2-3-1で戦って結果が出ていたので、システム変更はしないのではないかと予想していました。ですのでミラーゲームにする事を選択したのは意外でしたね。あとはスタメンはガラッと変わったもののサブに攻撃の軸である北川、乾等を入れていたので、後半勝負も視野に入れた布陣かなとも思ってました。

2.徳島の戦い方

 吉田達磨監督が2年目のシーズンとなった今季の徳島ですが、リーグ戦で開幕3連敗を喫し、ルヴァン杯1回戦でJ3の長野に1-5で敗れるという最悪のスタートを切りました。第4節で水戸相手に初勝利をあげたもののその後も成績は上向かず、更にチーム内のゴタゴタまで表沙汰になってしまい、収拾がつかなくなった結果第7節で吉田氏は解任され、コーチだった増田氏が暫定監督となりました。その解任直後に対戦したのがウチでして、ブーストがかかったのか1-1のドロー。その後の徳島は千葉、長崎には連敗したものの第11節の藤枝戦勝利を皮切りに5戦負け無しと成績が上向きとなり、これが評価されて増田氏が正式に監督に就任しました。その後も徳島は安定した成績をおさめ、第31節終了時点で12位ながら6位の山口と勝ち点差5とプレーオフ圏内も狙えるところまで順位を上げてきており、こうした徳島の立て直しを評価されて増田監督は7月のJ2の月刊優秀監督賞を受賞しています。

 システムは増田氏が暫定監督に就任した当初は4バックでしたが、第12節の山形戦から3バックを使っているようです。徳島の戦い方としてはリカルド ロドリゲス、ポヤトス、ラバインと続いたスペイン人監督時代に叩き込まれたスペイン流のポジショナルプレーをベースとしたパス回しが思い浮かびますが、今季に関してはボール支配率こそリーグで7位ですが相手陣30mラインやペナ内への侵入回数はリーグでもかなり下の方ですし、得点パターンを見てもシンプルにクロスから決めるとかセットプレーからとかいった形が多い感じです。あのパス回しが片鱗程度しか見れないのは寂しい気もしますが、ウチとしては一昨季のルヴァン杯予選リーグのアウェイでの対戦でそのスペイン流パスサッカーに翻弄されて1-4で惨敗したというイヤな記憶がありますから、それがあまり見られなくなっているのは有難くはありますよね。とはいえ前線には柿谷、渡、中盤には岩尾、右WBにエウシーニョと実力のある選手が揃っているので手強い相手である事は変わりませんが。

3.お互いに慎重だった前半

 この試合も選手交代や得点によって試合の流れが変化した印象が強いので、時間帯ごとに区切って書いていこうと思います。

 まず前半ですが、お互いに非常に堅い、というか慎重に戦っていた印象です。前半のシュート数が徳島が2本、エスパが3本だけだったのがそれを顕著に表していると思います。エスパはボール保持率こそ57%でしたが、なかなかチャンスを作れずにボールを回しているだけの状態でした。

 原因は両チームとも3バックだった事ではないかと思います。徳島のシステムは3-1-4-2で前の方の形は異なっていて、ボール保持時はこちらのダブルボランチの両脇を使う事で前進する事は出来るものの、押し込んでもこちらが5バックでスペースがないためそこを崩す形は作れず、こちらがミスした時以外ではシュートは打てませんでした。エスパとしては相手を捕まえやすくするためにシステムをほぼミラーのような形にしたので、そこは狙い通りにいったと思います。ウチにとって厄介な存在のエウシーニョも吉田がほぼ完ぺきに抑えてくれましたしね。

 ただエスパのボール保持時も上手くいっていたとは言い難いですね。最初の方こそアジズがクサビのパスを受けたりサイドへ流れて前で起点を作る事で相手を押し込み、9分に蓮川がポケットに侵入してクロスを入れて矢島、ブラガが惜しいシュートを撃つ場面を作ったのですが、アジズへのクサビのパスが段々塞がれるようになってからはブラガのドリブルとか矢島が落ちてきてボールを引き取るとかいった形でないとボールをアタッキングサードへ運べなくなり、何とか相手を押し込んでも相手は5-4-1で守っているから出すところがないし、前述の蓮川みたいな相手のブロックを崩すための動きもなかなかないので、シュートチャンスすら作れなくなりました。

 そうなってしまった要因として、勿論徳島の守備の堅さもあるのですが、こちらが久々に3バックで戦ったからというのが大きいように思います。と言ってもエスパは4バックの時もボール保持時はCB2人とSBのどちらか(ボランチが落ちる時もアリ)の3人でビルドアップをスタートするのでいつもと同じイメージで戦えばいいと思うのですが、実際には両WBの位置も低かったし時にボランチもいつものクセかわかりませんが落ちてきたりしてて、結果として後ろが重くなってしまっていたと思います。また通常はダブルボランチと乾の3人が後ろからボールを引き取って前にボールを運ぶ事が多いですが、この日は乾がいないのでいつものようにスムーズにボールを運べなくなった感じでした。矢島が乾の代わりをやって欲しいところですが、矢島は自らボールを運ぶよりいろんなところに顔を出してボールを引き出すタイプなのでちょっと違うのが影響したと思います。とはいえ矢島にも出来る能力はあると思いますし、前述したボール保持時の形は3バックでも4バックでもそんなに変わらないというのをもっとイメージ出来れば問題なく出来ると思うのですが、この試合に関しては前節の山口戦から中3日しかなく十分な準備期間がなかった事も影響したと思います。今後3バックを使う時はそのへんの意思統一をすれば良いのでは、と思います。

4.選手交代でムードが変わった後半の開始から18分

 後半は両チームともウラへのボールを増やすなどして攻撃のギアを上げてきて、徳島が51分の渡のオーバーヘッド、53分の柿谷のシュートとチャンスを作ります。負けじとエスパも55分に矢島とアジズに代えて乾と北川を入れてきて、殆ど同じ時間に徳島も3枚替えを敢行して、それによりオープンな展開になってきた63分、徳島がブラウンノア賢信のヒールパスを村上がキープしてスペースに落とし、そこに走り込んだ鹿沼がシュートを決めて1-0。エスパルスが先制を許してしまいました。

 まず55分にエスパが乾、北川を入れた事自体は予定通りだったと思うのですが、何かそれによって前の選手と後ろの選手に微妙な意識のズレが生まれちゃった気がします。前の選手は「よし、点獲るぞ」という意識になりますが一方で後ろの選手がそれについていってないというかむしろ徳島が3枚替えしてきた事で「ちょっと相手のやり方を見た方がいいんじゃないか」という意識になって、それで少しバタついたんじゃないかなという気がしています。で、その時間帯で吉田が横パスを2回かっさらわれる場面があり、その中の2度目で押し込まれて失点したので吉田を批判する声が多かったと思います。僕もそういうニュアンスのポストをしました。ただよく見ると吉田のパスミスの後は守備陣がしっかり戻ってブロックを形成出来て、徳島の攻撃のスピードを抑える事が出来ているんですよね。だからむしろ問題はブラウンノア賢信の落ちる動きに対して高木が中途半端に付いていってギャップを作ってしかもヒールパスを後ろに出された事、ヒールパスを受けた村上に高橋が付いて高木も戻って2人で対応したのに振り向かせてパスを出された事、そして鹿沼の前への動き出しに宇野が全く対応していなかった事の3点の方だと思います。横パスをかっさらわれて「ヤバい」と思って戻った結果相手の攻撃を遅らせる事が出来た事で何かホッとしちゃったのかもですが、軽率でした。吉田も反省はして欲しいですが、よりしっかり修正すべきはこの3つの問題点の方だと思います。なお鹿沼のシュートに対して権田は動けませんでしたが、よく見ると蓮川が何とか防ごうとスライディングした事でディフレクトしてシュートのコースが変わってましたね。そうした不運まで重なっての失点でした。

5.タンキ、山原投入でもぎ取った2得点

 先制点でイケイケになった徳島はより勢いを持って攻めかかり、65分にブラウンノア賢信、68分に村上と立て続けにシュートを放つなどして追加点を狙いに来ます。これに対してエスパは何とか流れを押し返そうと69分に吉田、ブラガに代えて山原、タンキを入れて、交代直後にゴールキックからのボールを繋いで、北爪が右サイドへ仕掛けてCKを得て、この流れから同点ゴールが生まれます。山原からのCKははね返され、そのこぼれ球を拾っての乾から高木へのクロスもパンチングされ、更にそのボールを拾ってからの乾からポケットへ走り込む宇野へのパスもはね返されますが、こぼれ球を高木が回収して、ゴール前に斜めのクサビのパス。これを北川がトラップでDF2人をかわしてシュート。これはカバーに入った岩尾にカットされてこぼれ球がクロスバーに弾かれますが、それをタンキが押し込んでエスパが同点に追い付きます。高木のクサビのパス、それを受けての北川のフェイントとGKが対応しにくいところを狙ったシュート、こぼれ球に反応したタンキの3人はいずれもお見事でしたが、3度はね返されても粘り強くボールを回収して続けざまに仕掛けていった全員の粘り強さが生んだゴールじゃないかと思います。逆に徳島からすると、3度目のはね返りはブラウンノア賢信がボールを奪えそうなところにいたのですが、反応が遅れたために高木にあっさり回収されちゃっているんですよね。試合後の増田監督は「ミスによる失点」と仰ってましたが、1失点目はこの部分を指しているんじゃないかと思いました。

 これで逆にイケイケになったエスパは73分に山原のクロスからのタンキのヘッド、74分には自陣でボールを奪ってから蓮川が自らゴール前にボールを持ち出してのパスから北川のシュートと立て続けにチャンスを作ります。そして77分、北爪からウラへ抜け出したタンキにパスが渡り、タンキはボールをキープして乾へパス。乾は落ち着いてゴール深くまでボールを運んでクロスを送り、そのボールを外から走り込んだタンキがヘッドで押し込んで、エスパが逆転ゴールを決めました。タンキのウラ抜けとボールキープ、そしてゴール前への動き出し、そのタンキへ「決めて下さい」と言わんばかりの丁寧なクロスを送った乾の2人のプレーが見事でした。北爪のパスも見事でしたし、北川がゴール前で地味に相手DFをブロックしていて交代で入ったばかりの中村もゴール前に走り込んでいたのもDFの注意をタンキから逸らす効果をもたらしたと思います。見事なゴールでした。この後エスパは徳島の反撃に合いましたが追加点のチャンスも作り、結局2-1でエスパルスが今季2度目の逆転勝ちとなりました。

6.まとめ

 こうして振り返って見ると、やはりサッカー選手を元気にするのはゴールなんだなというのがよくわかります。どちらも1点とって勢いを掴みましたからね。で、どちらの1点目もミスによって生まれたところは同じですよね。じゃあ勝負を分けたのは何かというと、やはり勢いのあるうちに追加点をとれたかどうか、かなと。やはりウチの方が交代選手のクオリティが高く、そのクオリティを活かして得点出来たのが勝敗を分けたのではないかと思います。エスパとしては90分通して見ると決して全てが良かったわけではなく、反省すべきところは多いと思うのですが、収穫は大きかったと思います。この日スタメンを7人入れ替えてシステムも変えた中で決してゲームプラン通りではなかったと思いますが相手にも点を与えず、後半代わって入った選手が活躍して勝てたのは今後に向けて大きいでしょう。また先制された時には熊本戦を除けばなかなか立て直せず逆に追加点を食らって完敗する試合が続いてましたが、8月のアウェイの仙台戦では1度は追い付く事が出来、先日のホームの長崎戦はドローに持ち込み、今回久々に逆転勝ちする事が出来た。つまり先制されても3試合続けて取り返せているというのはチームにとって自信になると思います。このように先制されても落ち着いて対処できるメンタリティが昇格、優勝に向けて必要だと思っていたので、今の感触を忘れないで欲しいと思います。

 これで首位横浜FC、3位長崎と消化試合数が同じになり、3位の長崎には勝ち点差11を付けて2位の座を盤石のものにするとともに、首位の横浜FCにも勝ち点差1と肉薄してきました。来週末の横浜FCとの試合に向けて絶好のシチュエーションが出来たと言えます。が、その前に藤枝との対戦が控えています。ここを勝たないと意味がありません。難敵ではありますが、是非とも勝ち点3をもぎ取って欲しいです。

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