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2024年8月29日 (木)

難しい試合でした(8/24 鹿児島戦)

 先週末は鹿児島へ行って来ました。前に2度ほど来た事はありますが、サッカー観戦で行くのは初めてです。今季もJ2で戦う事になってから考えていた事で、試合日程が決まってからはこの日を待ち望んでいました。当日は以前から鹿児島県内に住んでいる友人と合流して試合前に豚しゃぶを食べたり、翌日も市内観光を楽しみました。鹿児島は食事は美味しいし焼酎も安くて美味しいし、何より現地の人が気さくな人だったのが好印象でした。

 試合当日には南九州最大クラスの花火大会が行われましたが、白波スタジアムにも地元の方が多く訪れ、クラブ史上3位の観客動員数だったとか。その声援に刺激を受けた鹿児島の選手達の身体を張ったプレーに苦しめられましたが、何とか1-0で勝利。やはり楽な試合はないなと痛感させられましたが、それでも勝ち試合を観て良い気分で鹿児島を離れる事が出来て良かったです。

<明治安田J2リーグ 於 白波スタジアム>

 エスパルス 1ー0 鹿児島ユナイテッドFC

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1.エスパルスのスタメン

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 SUB:沖、北爪、高木、宮本、矢島、西原、アブドゥル アジズ ヤクブ

 原テルがこの日も間に合わずベンチ外で、前節接触プレーで途中交代の高橋もベンチ外でした。代わってスタメンに入ったのは右SBが吉田、CBは蓮川となりました。北爪でなく吉田をチョイスしたのはアウェイである事を意識したのかもしれません。またボランチには宮本に代わって中村が入りました。

2.鹿児島の戦い方

 昨季J3で2位に入って念願のJ2への復帰を果たした鹿児島。開幕当初はホームで徳島、千葉に勝ち存在感を見せましたが、次第に勝ち点を伸ばせなくなり、第17節の藤枝戦を最後に大島監督が解任されて以前鹿児島を率いていた浅野監督に交代となりました。交代後の4試合は2勝2敗と効果が出ていましたが、第22節以降は1分5敗とまた苦しい状態に戻っています。夏の移籍ウィンドウで山形から有田稜、岡山から河野、町田から沼田と稲葉、東京Vから永井と5人加入させて何とかJ2に生き残ろうと頑張っていますが、加入させた選手をどうチームに組み込むかで試行錯誤している感じのようですね。

 基本システムは4-2-3-1。前回対戦した時は凄くアグレッシブなチームという印象で、ボール保持時は左SBの外山を中盤まで上げての3バックにして人数をかけて崩そうとし、非保持時も積極的に前プレをかけるとともにボールがサイドにある時は同サイドにブロックを圧縮させて複数でボールを奪いにいく感じのチームでした。浅野監督になってからは守備の立て直しを図って、その分前プレはそれほど強くはいかなくなったみたいですが、ボール保持時に3バック気味にして前に人数をかけるところは変えてないようでした。で、この試合は浅野監督になってからの守備のスタイルをより鮮明にした感じで、前プレにはさほどいかず中盤もしくは自陣でブロックを作ってこちらをブロックの中に引き込んでボールを奪う形をとってきました。

3.試合経過

 試合開始直後は鹿児島が積極的な入りを見せ、2分にCKから鈴木がヘッドを放ち、6分には流れの中から有田稜がヘッドを放つなど良い立ち上がりを見せました。一方のエスパも8分に乾のパスからブラガがシュートを撃って「撃ちあい?」と思える展開となりますが、次第にエスパが優位に立ち、15分に山原のクロスから北川のシュート、19分には後ろから繋いでブラガのパスを受けての北川のシュートと立て続けにチャンスを作ります。27分にはCKからの中村のヘッド、31分には乾のスルーパスから北川のシュートとチャンスを量産し、37分には中村からのタテパスを北川が潰されながらも乾にはたいて、乾がそこからドリブルで持ち出してシュートを放ちますが、これも枠外。更に45+2分には中村からのパスを受けた北川が乾にスルーパスを送り、乾が右からペナ内に侵入したブラガへラストパスを送りますが、ブラガのシュートはポストに当たって弾かれてこれも得点ならず。エスパが再三チャンスを掴んだにも関わらず得点には至らず0-0で折り返しました。

  後半に入ると、更にギアを上げたエスパが鹿児島を押し込み、53分に住吉、56分にカルリーニョスが惜しいシュートを放ちます。が、鹿児島もハーフタイムを経てエスパの真ん中での繋ぎをよりケアするようになり、そこで引っかけたボールからカウンターを狙うシーンが増えていきました。中でも64分のシーンは一番危なかった場面で、GK泉森からのフィードのこぼれ球を有田稜が拾って自らペナ内まで持ち込んでシュートを放ちました。何とか権田が止めましたがヒヤッとさせられたシーンでした。その後もエスパはボールは握り続けはしましたが、全体的に疲れが出て来た感じで前半ほどは決定機を作れなくなり、途中交代の西原とアジズの突破が頼みという状況でした。しかし83分にCKを得て、2度はね返されたもののこぼれ球を拾った中村がウラへ抜け出そうとした住吉へフィード。そのこぼれ球を拾おうとした住吉が有田光希に倒されてPKの判定。これをアジズが落ち着いてゴールへ沈めて待望の先制点をあげ、直後に高木を入れて5バックにしたエスパルスが鹿児島のパワープレーを凌いで1-0で貴重な勝ち点3をあげました。

4.苦戦した要因

 アウェーですので簡単な試合にはならないとは思っていましたが、88分まで得点できないとは思いませんでした。そうなった要因として以下の点があげられるかなと思います。

①鹿児島の健闘

 まず鹿児島の健闘をあげないといけないでしょう。4-4のコンパクトなブロックをなるべく高めに保ち、ブロックにボールが入ったところでしっかりと寄せてボールを引っかけるという守りが徹底されてました。押し込まれて自陣でリトリートした時もゴール前の危険なエリアでは身体を張って相手を自由にさせないようにしてきたし、それによりシュートの精度を狂わされたところもあったと思います。ホームの声援を受けて気持ちも入っていたし、やりにくい相手でした。その鹿児島の戦いを無視して「何だよ。PKの1点だけかよ。」と文句を垂れるのは失礼かなと思います。

②攻撃が真ん中の崩しに偏り過ぎた

 ではエスパの方に問題がなかったかというとそんな事はないです。ボールを運ぶところやアタッキングサードでの崩しが真ん中に偏り過ぎだったように思いました。今夏から狭い所で前を向ける宇野が入った事でボールを前進させる時に真ん中を使う事が増えたと思うのですが、この日は中村とのコンビだったので更にその傾向が強まり、この2人から北川にバンバンタテパスが入りました。で、その時にカルリーニョスとブラガが中に絞って更に乾が加わって4人で自在にパス交換して相手を崩しにかかるのが今のエスパの大きな武器であり、この日もそれで鹿児島守備陣を混乱させる事が出来ていました。が、前半の終わりくらいからちょっとそれに偏り過ぎて鹿児島にボールをひっかけられるシーンが増えていきました。15分の北川のシュートに繋げた山原のクロスのようなサイドからの攻めをもう少し増やしていけば相手はサイドにスライドしなければならずもっと早く疲弊させる事が出来たのではないかと思います。また単純にウラを狙うパスも少なかったですよね。そうしたタテとヨコの揺さぶりがもう少しあれば良かったように思います。

③右サイドの攻撃の機能不全

 ②に付随する話ですが、右サイドからの崩しが物足りなかったですね。これは吉田が右SBに入った事が要因でしょう。守備では本当に頼りになる吉田ですが、攻撃のビルドアップの開始のところの前へのパス出しがそれほど得意ではないので、寄せられると詰まっちゃうんですよね。尤もこれは吉田を起用した時点では想定できる事なので、この試合に関してはブラガに時にはサイドに張らせるように事前に指示しておく必要があったかなと思います。あと吉田にも相手を押し込んだ時はより前にポジションをとらせるとか、ね。

④シュートやラストパスの精度

 上記②、③のポイントについてもう少し上手くやれていればもっとチャンスを作れていたと思うのですが、それでも決定機は作れていたんですよね。31分の北川のシュートの場面とか37分の乾のシュートの場面とか45+2分のブラガのシュートとか。あと15分の北川のシュートや56分のカルリーニョスのヘッドの場面はいずれも山原からのクロスが微妙にズレていたのも影響しているので、こうしたラストパスの部分についても精度を上げていく必要があると思います。まあフォローさせて頂いているアカウントの情報では白波スタジアムのピッチは地面の部分が微妙にデコボコになっていたらしいのでその影響はあったでしょうし、GKの泉森は前回対戦時と同様良いセーブをしてましたけどね。

5.収穫もあった

 以上、この試合で苦戦した要因として考えられる事をあげてみました。ただこの試合を「先制するまで88分かかって疲労が残るだけの試合」と評するつもりはありません。収穫もありました。

①蓮川がスタメン復帰した事

 まずずっと怪我で戦列を離れていた蓮川が久々にリーグ戦でスタメンからフル出場した事があげられると思います。これまでは高橋が最終ラインを統率してくれて、得点に繋がるパスを出している事や先日の甲府戦のような身体を張ったプレーでチームに貢献してくれていました。ただ蓮川は高橋よりも強気で高めのライン設定をしてくれるからそれによりブロック全体をコンパクトに保つ事が出来るのと、スペースがあれば自分でボールを運べるという高橋と違う魅力があるんですよね。カバーリング能力も高いですし。だから彼が復帰してくれたのは大きいと思います。勿論高橋の経験も魅力だし、この2人に加えて住吉、高木の4人でCBを争う事でチーム力を上げていって欲しいと思います。(ここに森重が食い込んでくればなお良し)

②宇野と中村のボランチコンビを試せた事

 中断明けからボランチについては宮本と宇野のコンビでしたが、この日は初めて中村と宇野のコンビでした。宮本と宇野のコンビに比べて良いところと「?」と思うところの両方があったと思います。良かったところはボランチからのタテパスがガンガン入った事。2人とも最終ラインの前にポジションをとってどんどんパスを捌いてくれるし、チャンスがあればタテパスをどんどん入れてくれたので中盤でのパス回しが非常にスムーズでした。ただ2人とも宮本に比べると前に、特にポケットに飛び出す動きが少なめなので、それもこの日得点するまで時間がかかった要因の1つかもと思いました。が、このコンビが全くダメだったとは思いませんし対戦相手によってはより機能する場合もあると思うので、そこを秋葉監督がどうかんがえるか、ですね。

 他にもパスが外回しばかりになる時間帯がなかった事なども良かったところとしてあげられると思うので、少なくともダメ出しばかりに終わる試合ではなかったと思ってます。28試合もやっていればこういう難しい試合もありますし、その試合で勝ち点3積み上げた事は評価すべきと考えます。

6.まとめ

 同じ日に行われた試合で長崎が山口に敗れたため、3位の長崎との勝ち点差が9に開きました。残り試合を考えると優位な立場に立ったのは間違いないでしょう。ただ5月頃も勝ち点差が同じくらい開いたのに4節くらいで抜かれましたから、油断は出来ません。これからも目の前の試合を1つ1つクリアしていって目標達成に向けて邁進して欲しいです。

 で、次節は今週末のアウェイでの徳島戦なのですが、どうも台風が日本列島を縦断しそうという予報が出ていて、Jリーグと徳島、エスパの両クラブで対応を協議中のようです。試合は見たいのですが選手・スタッフを台風が来そうなところを行かせるのもどうかなとも思うので、難しいところですね。ここはJリーグと両クラブの対応を待ちたいです。

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