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2024年8月13日 (火)

完勝(8/10 群馬戦)

  先週末(8/10)は群馬戦を観にアイスタ日本平へ行って来ました。ホームでのリーグ戦生観戦は5月の鹿児島戦以来だったのですが、やっぱり楽しかったです。暑さにはウンザリしましたが。

 相手の群馬は今季こそ低迷していますが昨季のアイスタ日本平での試合で完敗したイヤなイメージが残っているので油断は禁物と思ってましたが、終わってみれば4-0で勝利。試合後の勝ちロコから花火まで楽しむ事が出来、大満足の生観戦となりました。

<明治安田J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>

 エスパルス 4ー0 ザスパ群馬

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1.エスパルスのスタメン

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 SUB:沖、北爪、吉田、矢島、松崎、西原、アブドゥル アジズ ヤクブ

 両SBに原テル、山原がスタメンに復帰した以外は前節と同じメンバーとなりました。またサブにも千葉戦で負傷した松崎が復帰しています。それによりタンキがサブから外れたあたりにチーム内の競争の激しさが伺えますね。

2.群馬の戦い方

 一昨季の20位から昨季上位争いに加わってクラブ史上最高の11位に躍進した群馬でしたが、今季は思うようにいかず最下位に低迷しています。第14節にホームでエスパに0-3に敗れた後に大槻監督が事実上解任されてヘッドコーチだった武藤氏が監督に昇格したもののチーム状態は上向かず最下位に沈んだ状態が続いています。ただ第23節にアウェイで愛媛に4-0と大勝し、翌24節には同じくアウェイで鹿児島相手にATで同点に追い付いてドローに持ち込むなど少しずつ持ち直してきている印象もありました。

 システムは3-4-2-1。大槻前監督の時はボール保持時は両WBを高い位置に上げて5トップ気味にしたところからショートパスを繋いでいくビルドアップが特徴でしたが、武藤監督になってからはそれほどショートパスによるビルドアップにはこだわらなくなりウラへのロングフィードも織り交ぜるようになっています。実際この試合でも最終ラインから1トップの河田へロングフィードを入れたり両サイドのウラへボールを入れる場面が多かったです。これは昨季からのビルドアップが研究され封じられているため守ってからのカウンターに活路を見出そうとしているのだろうと思います。愛媛戦ではそれが功を奏したのでしょう。ただ相変わらず得点は少なくともその得点の半分以上がセットプレーからのものであるあたりに厳しい現状が表れてますし、更にこの日はセットプレーのキッカーを務め攻撃の中心でもある佐藤亮が不在だったのも群馬としては痛かったでしょうね。

3.試合経過

 試合開始早々に右サイドの原テルから相手最終ラインのウラへのボールをカルリーニョスが受けて前へ持ち出してGK櫛引と1対1になる場面がありましたが、その後は群馬が5-4のコンパクトなブロックを高く保ってそこからタイミングを見て前プレをかけるようになり、それにより試合は一進一退の展開となりました。しかし北川、ブラガらが交互にウラ抜けを試みて群馬を揺さぶると、20分に宇野からのパスを受けた乾がウラ抜けしようと走り出したカルリーニョスへスルーパス。これを受けたカルリーニョスが落ち着いてゴールへ流し込んでエスパが先制に成功しました。

 これでエスパがペースを握り、24分に原テルのミドル、26分にウラ抜けした北川のニアを狙ったシュートといった決定機を作り、それで得たCKで宇野がミドルシュートを決めて2点目をゲット。その後も手を緩める事なく攻め続け、40分にカルリーニョス、42分に乾がいずれも際どいシュートを放ち、45+1分にはショートコーナーからの乾のクロスを原テルがヘッドで押し込んで3点目を奪い、3-0で前半を折り返しました。

 後半何とか点差を縮めたい群馬は開始から2枚替えを行い、後半開始早々に代わって入った和田がフリーでシュートを放ちましたが、その後はエスパが再びペースを握って、何度もあったセットプレーでカルリーニョス、住吉、高橋が立て続けに決定的なシュートを放つなど群馬ゴールを脅かします。61分にカルリーニョス、ブラガに代わって西原、松崎、70分に北川、乾に代わってアブドゥル アジズ、矢島とフレッシュな選手を入れて群馬への圧力を緩めず、75分には代わって入った矢島からアブドゥル アジズへのスルーパスから4点目。その後も攻め続けたエスパルスが4-0で勝ち点3をモノにしました。

4.狙い通りだった前半

 以上の通りエスパルスが4-0で勝利をあげましたが、特に前半はほぼ狙い通りの完璧な内容だったと思います。前述した通り群馬はボール非保持時は高い位置で5-4のブロックを作って迎え撃ってくるので、これをどう剥がすかがポイントでした。ただ一方で群馬はボール非保持時において「ウラ狙いに弱い」「3人目の動きに弱い」という攻略ポイントをスカウティングで掴んでいるようでした。これを受けてエスパは開始から群馬が高く設定した最終ラインのウラを盛んに狙ってきました。

 例えば10分頃のシーン、櫛引からエスパ最終ラインのウラを狙ったキックを回収した後に高橋にボールが渡ります。高橋は前へボールを持ち出して原テルにパス。原テルは北川がサイドのウラを狙って走り出しているのを見てサイドライン沿いにパスを出し、北川はそれを受けて相手ゴール付近までボールを持ち出してからクロスを入れ、そこに乾が走り込んでボレーシュート。残念ながら上手くヒットしなかったために枠を捉える事は出来ませんでしたが、この日2度目の決定機でした。

 原テルが同サイドのウラ狙いのパスを出したのは他にもありますし、北川が真ん中からウラへ飛び出す場面もありました。群馬の最終ラインとしたらこうやってウラを狙われ決定機まで作られてはどうしてもラインを上げられなくなり、結果として中盤と最終ラインの間にスペースが生まれてきます。そこを突いたのが20分の先制点でした。

 この場面、エスパが群馬の最終ラインにプレスを掛け、それを剥がそうと櫛引がエスパから見て右サイドの菊地へロングパスを出したのですがそれを原テルが回収したところから始まっています。原テルはこのボールを高橋に預け、高橋は相手の中盤のラインの前まで落ちてきた宇野へパス。宇野はすぐターンして相手最終ラインと中盤のラインの間にいた乾へパスを出し、乾も見事なターンでプレスバックした仙波をかわして、ウラへ走り出していたカルリーニョスへスルーパス。カルリーニョスがこれを受けて冷静にゴールへ流し込みました。群馬がこちらの前プレをかわすためにサイドへロングフィードを送ったものの再び回収されたものの群馬の中盤のラインはこれを合わせて前に出ています。ただ最終ラインはそれほど上げる事が出来てなくて、そのため中盤と最終ラインの間にはスペースが出来ていました。これはエスパがウラ狙いを何度も行った事で群馬にウラ狙いを警戒させた事が大きく作用したんじゃないかなと思います。勿論宇野と乾のターンしてからのパスもカルリーニョスの動き出しとシュートも見事でしたけどね。

 これでエスパが完全にペースを掴み、26分にはセンターライン付近でボールを受けたブラガがウラへ走り出していた北川へロングパスを出して北川がニアを狙ったシュートを放ち、これにより得たCKから宇野がシュートを放ち2点目。44分には群馬に攻め込まれ際どいクロスを入れられますが、それを回収してから山原から前に走り出したカルリーニョスへスルーパス。カルリーニョスがこれを前に持ち出した後にウラへ走り出した北川へパスを出し、北川のこれを受けてのシュートはDFにブロックされますが、それで得たCKから原テルが3点目を決めています。他の場面でも北川を中心にウラ抜けの動きを何度も繰り返しており、それにより相手のブロックを揺さぶって、それで中盤にスペースが出来たらそこを突いて更に穴を開けさせる事に成功していました。群馬の守備ブロックが脆かったのもありますが、エスパの選手達が休む事なく相手の弱点を突いていったからこそあれだけ一方的な展開になったのではないかと思います。ボールロストしてからの守備も集中してましたし、本当に狙い通りの前半でした。

5.少し緩んじゃった後半

 後半も全体としてはエスパペースで進み、後半だけで16本ものシュートを放っています。ただそのわりには1得点に留まっており、逆に2度ほど群馬に決定機を作られました。2度とも権田がファインセーブをしてくれた事で失点はしませんでしたが、この2つの場面を振り返ります。

①45分30秒頃

 右サイドからの群馬のスローインを河田が受けて、前に入っていた天笠にパス。高橋と原テルが付きますが天笠は内側へ走り込んだ河田へパスを出し、河田は更に真ん中のスペースへパスを送って、フリーで走り込んだ和田にシュートを撃たれました。

 後半開始早々だったからか群馬の選手へ対応した選手全員のプレーが緩かったですね。CBの高橋と住吉(河田へ寄せようとしてました)が釣り出された分真ん中を空けてしまったのですから、もっと強く寄せないといけなかったと思います。特に高橋の天笠への寄せが緩慢だったと思いますね。天笠はゴールへ背中を向けていて楽な状態ではなかったので、もっと強く寄せるべきだったと思います。まあFKを与えるのが怖かったのかもしれないですけどね。

②68分頃

 それまでの1~2分くらい群馬がボールを握っていて、それに対してエスパが北川、乾を中心にけん制をかけてボールを奪うチャンスを窺っていました。で、左CBの中塩から菊地にパスが出たものの原テルが厳しく寄せたために菊地は中塩にボールを戻しました。チャンスとばかりに松崎が中塩へパスを出したのですが、中塩は前でフリーだった風間へパス。宇野が寄せましたが風間はダイレで前にいた和田へパスを出し、和田は宮本をかわしてフリーで前にボールを運んで、フリーで右サイドに上がっていた天笠へパス。天笠はバイタルエリアにグラウンダーのパスを出して、走り込んだ風間がフリーでシュートを撃ちました。

 群馬が昨季から武器として磨いてきた相手をおびき寄せてからの疑似カウンターでやられかけたわけです。ここは宇野の風間への寄せ、宮本の和田への寄せが甘かったですね。特に宮本はファウルしてでも止めなければいけなかったと思います。あとその前に松崎が中塩へ寄せる時に風間へのパスコースを消す事が出来ていれば良かったですし、そもそもそこまで寄せなくても良かったという考えもあるかもしれないですね。菊地に原テルが寄せた事でボールを戻させたわけですし、一方でそれによりこちらの陣形は崩れていて結果としてそこ(右サイドのスペース)を使われてしまったので、まず陣形を再度整える事を優先した方が良かったかもしれません。

 秋葉監督も試合後に仰ってますが、プレスをガツガツかけるのはいいのですがそれが100%ハマる事はなかなかないです。ましてや後半半ばになれば疲れてきますから尚更です。なのでプレスを掛けるところとセットして守るところをどう使い分けるかというのを引き続き考える必要があると思います。また①で出たようなCBやボランチが釣り出されて真ん中のスペースが空いてしまいそこを使われるという場面は前節もあり、ここも継続課題だと思います。これについてもチーム内で話し合って意思統一を図って欲しいです。

6.でも面白い試合でした

 前項でちょっと粗探しをしちゃいましたけど、試合全体は生観戦に来た甲斐のある面白い試合だったと思ってます。特に前半はゲームプラン通りに群馬の弱点を突いて得点を重ねる事が出来ましたからね。これも1週間かけて良い準備をしてきたからだと思います。後半も守備時は前述した通り気になる点はあるし、あれだけ決定機作っておいて1点だけというのも、という不満はあるものの、あれだけ沢山のチャンスを見る事が出来たら満足ですよ。群馬の状態が悪かったのは差し引くにしても狙い通りの試合が出来た事は評価すべきだと思います。

 個人に目を向けても触れたい選手はいっぱいいますからね。乾がボールを持った時のプレーは本当に一級品ですが、ボール非保持時に戻って相手からボールを奪ったのが何回かあって、それも凄いと思います。その乾がコメントで褒めていた宇野も良かったですね。守備時はもちろん攻撃時のパスを引き出すためのポジショニングや受けてからの判断とプレーの正確さも印象に残りました。久々に復帰した原テル、山原はチームに安定感をもたらしてくれましたし、その前のカルリーニョス、ブラガも良かったです。それと松崎が見通しより早く復帰して良いプレーをしたのと、アブドゥル アジズが来日後初ゴールを決めたのもチームにとって好材料だと思います。ここで触れなかった選手も自分の役割を果たしてくれていて、結果として良い試合を見せてもらったなと感謝してます。

7.まとめ

 ほぼ同時刻に行われていた横浜FCと長崎との試合がドローに終わったため、エスパルスが再び首位に立ちました。とはいえまだまだこの3チームの争いは続くでしょう。一喜一憂し過ぎる事なく課題をクリアしながら目の前の試合を1つずつクリアしていく事が大事だと思います。次の相手の甲府も監督が代わってから調子を上げているようなので簡単な試合にはならないでしょう。まずは次の試合に向けて最善の準備をして欲しいです。

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