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2024年7月31日 (水)

意義深い試合でした(7/27 スタッド・ランス戦)

 先週土曜(7/27)はフランスのスタッド・ランスのJAPANツアーの2試合目となるエスパルスとの試合が、アイスタ日本平で行われました。チケットが通常よりお高いのでどうしようかなと思っていたのですが、ここ数カ月事情があって生観戦出来てなかった分「やっぱり行きたい!」という気持ちの方が勝って、久々にアイスタ日本平に行って来ました。

 この試合はエスパルス主催というわけではなくあくまでスタッド・ランスのJAPANツアーの一環という位置付けでしたから試合の運営の仕方が微妙に違うし、事情は知りませんがいつものサンバ隊がいなかったし、伊東純也や中村敬斗目当ての客が結構多かったので、いつものアイスタ日本平とは違ってましたが、試合中は西サイドスタンドの人達が自然発生的にいつものチャントを歌ってくれて、それに合わせてバックスタンドの人達が手拍子したりしていたので(勿論僕もしました)、やっぱりここはエスパのホームスタジアムだなというのを感じました。一方で相手のランスはいつも対戦するJリーグのチームのサッカーとは違っていてそれを見るのは新鮮でしたし、そんなランスとガチガチやり合った結果3-0で勝ってくれたし、観に来て良かったと思える試合でした。

<スタッド・ランス Japan Tour 2024  於 IAIスタジアム日本平>

 エスパルス 3ー0 スタッド・ランス

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1.スタッド・ランスについて

 スタッド・ランスはフランスのリーグ・アン所属。2023-24シーズンは9位に入りました。1911年に前進のクラブが創設され、1931年に現在の名称に改称したという歴史のあるクラブです。過去リーグ・アンで6回優勝し、1956年と1959年にはUEFAチャンピオンズカップの決勝にも進出したという輝かしい歴史を持ちます。が、1978-79年シーズンにリーグ・ドゥ(2部)に降格し、その後はなかなかリーグ・アンに戻れず、1990年代には財政危機のためプロとしての活動を停止しアマチュアでの活動を余儀なくされていたそうです。しかし2002年に再プロ化を果たし、2011-12シーズンにリーグ・ドゥで2位となって念願のリーグ・アンへ復帰。2015-16シーズンにまた降格してしまいますが、2017-18シーズンにリーグ・ドゥで優勝して再びリーグ・アンに戻り、今に至っています。現在は2022-23シーズンに加入した伊東純也と2023-24シーズンに加入した中村敬斗の2人の日本代表選手を擁するため、日本における知名度はフランスのクラブの中では高い方じゃないですかね。主力選手としては伊東、中村以外にはコートジボアール代表のDFのエマニュエル アグバドゥとFWのオマー ディアキテ、マルタ代表のインサイドハーフ テディ テウマ、元U-19スペイン代表のDF セルヒオ アキエメ、元ベルギー代表のDF トマ フォケなどが在籍しています。

 そんなスタッド・ランスがエスパルスと試合をする事になったのは、ランスのJapan Tourのスポンサーであるヤスダグループの最高マーケティング責任者である谷川烈さんの存在が大きかったようです。谷川さんは現コーチの市川さんと同じくエスパルスのジュニアユースの1期生で、トップチームに昇格しプレーした経験を持っています。残念ながらプロ選手として花開く事はなかったもののその後大学を経てビジネスマンとしてのキャリアを積み、今の地位を得るに至りました。で、スタッド・ランスのJapan Tourをスポンサードする際にエスパルスとの橋渡しをして下さったそうです。アカデミー時代は市川、平松らと共に期待されていた方ですが、その時の縁がこのような新しい縁を作ってくれた事は感慨深いです。改めて谷川さんには感謝したいです。

2.スタッド・ランスと戦っての印象

 で、エスパルスとの試合を観ての物凄くざっくりした印象を言うと「フランスのチームっぽいなぁ」です(汗。「そんなん当たり前やろ!」と突っ込まれそうですが、先日までやっていたEURO 2024で観たフランス代表と同じイメージを持ったからそう思ったんです。ボール保持時には両SBが高い位置を取りインサイドハーフも時にトップの位置まで出て伊東、中村の両ウィングと連携して動くなどある程度組織化されてるんですけど、相手を押し込んだらドイツ等のチームのように更に組織的に動いて崩す事まではせず、どちらかというと個の能力、スピード、身体能力でどんどん押し込んでいく事でゴールを狙い、ボール非保持時も数人で挟み込んで奪うよりも1対1で負けないようにするのを優先しているように感じました。

 じゃあ見るべきものがないかというとそんな事はなく、それで押し切れるだけの能力を持っているのが凄いなぁと感じました。アフリカ系の選手が多いから身体能力が高いしその上身長もあるので、振り切ったと思っても追い付かれたり抜いたと思ったら足が出てきてボールを突かれるという場面が多かったです。それに身体能力だけではなくて技術、特にキック力も凄く高かったです。ショートパスでも早いのをどんどん入れてくるし、ロングキックも正確で、特にCBのアグバドゥやインサイドハーフのテウマから出てくる早くて正確な斜めのサイドチェンジのパスには唸らされました。磐田と試合をしてから中2日で臨んだ事や日本の暑さに慣れていない事、それ以前にまだ8月のリーグ開幕に向けての準備期間である事から本調子からはほど遠かったと思うのですが、それでも普段のJリーグのチームとは違ったスタイルのチームとの試合を観る事が出来て良かったです。

3.エスパルスの戦いぶり

 そんなスタッド・ランスと戦ったエスパルスですが、非常に収穫の多い試合だったんじゃないかと思います。ランスにボールを持たれる時間は長かったですが、4-4-2のコンパクトなブロックを高めに設定して真ん中のスペースを消し、タテパスを入れさせない事を徹底していましたし、それによってサイドに誘導したところでSBとサイドハーフがボールホルダーにチェックにいって容易に前進させない守り方が出来てました。それでも押し込まれてリトリートする場面もありましたが、辛抱強く守って最後のところはやらせないという守り方が出来ていたと思います。特に吉田、北爪の両SBが伊東、中村というランス自慢の両ウィングをほぼ完封したのは見事でしたね。あとリトリートした時にサイドより内側のレーンを埋めるのを今まではボランチがやっていたと思いますが、この試合ではそれを変えたように見えました。これについては仙台戦で再度確認しようと思ってます。

 一方攻撃に関しては2トップにタンキとアブドゥル アジズ、両サイドハーフにブラガとカルリーニョスと、前4人に外国籍選手を並べる布陣で来ましたが、これが結構機能したのも収穫だったと思います。タンキはランスの屈強なCB相手にもポスト役として機能してましたし、アブドゥル アジズもボスト役をこなしたりサイドに流れてボールを受けたりして前で起点を作ってくれてました。カルリーニョスの献身的な働きは見事でしたし、ブラガも前への突破力と決定力でチームに貢献してくれました。まあどちらかというと来季J1で戦う時には十分相手に脅威を与えられそうな面子だなと思ってましたが、よくよく考えると苦手なアウェイへの対策の1つとして機能しそうな気がしてます。J2でも自分達のホームでは攻撃的に来るチームはありますから(残りの対戦相手にもいますよね)。

 大分戦が終わった後、8/3からのリーグ戦再開に向けていろいろ準備してきたと思いますが、この試合では準備してきた事の多くでポジティブな結果が得られたと思うので、繰り返しになりますが収穫の多い試合だったんじゃないかと思います。

4.個々の選手に対する雑感

 この試合ではリーグ戦でなかなか見る事の出来ない選手や移籍後初めて生でプレーを観た選手がいるので、出場した選手について1人ずつ書いていこうと思います。

 GK 沖 :セービング、フィードとも非常に安定していました。やはり能力は非常に高いですね。
 GK 梅田:2度の被決定機をいずれもビッグセーブしました。大怪我からの復帰戦としては上々でしょう。
 GK 猪越:1度やらかしそうになりましたが、ビッグセーブも1度。沖、梅田、権田と良い競争をして欲しいです。
 DF 北爪:中村をほぼ完封しましたし、足の速さはランス相手でも十分通用してました。
 DF 住吉:ディアキテに全く引けを取らない身体能力で最終ラインを支えました。
 DF 蓮川:強気なライン設定とカバーリングの上手さで最終ラインを支えました。彼と住吉の復帰はデカいです。
 DF 高橋:途中から3バックの真ん中に入ってランスの攻撃の勢いを抑えました。尤も黙ってスタメンを渡す気はないでしょうね。
 DF 高木:途中から右WBに入って相手の左サイドの攻撃を抑えました。どんどん伸びてますね。
 MF 宮本:相変わらず危ないスペースをいち早く埋め、ボール保持時もいろんな所に顔を出して潤滑油になってました。
 MF 宇野:ボールホルダーへの寄せの早さやパスコースを消す上手さ、ボール奪取後の積極的な顔出し等想像以上の出来でした。
 MF ブラガ:キレキレでした。この好調さをこのまま最後まで維持して欲しいです。
 MF カルリーニョス:ボールを持った時はキレキレだったし、守備時は吉田と組んで伊東を封じてくれました。
 MF 矢島:途中から右サイドハーフとボランチに入りました。安定したプレーぶりでしたがループシュートは決めて欲しかった・・・。
 MF 乾 :途中からトップ下に入って3得点目をアシスト。随所に流石と言わせるプレーを見せてくれました。
 MF 西原:2人連続での股抜きは見事。ボールを持ったら何かしてくれそうな空気を作ってくれますね。
 MF 中村:途中から矢島とボランチを組んで確実にスペースを埋めてくれました。
 MF 成岡:屈強な相手選手に物怖じせずにガツガツいってました。3点目のゴールはそのご褒美でしょう。
 FW タンキ:ポスト役を精力的にこなして相手にとって厄介な存在になってました。今まで観た中で一番の出来かもです。
 FW アブドゥル アジズ:まだトップコンディションではないと思いますが、先制点のアシストなど良いプレーを随所でしてました。
 FW 北川:攻撃ではあまり見せ場を作れませんでしたが、守備では相変わらず献身的でそれが3点目に繋がりました。

5.まとめ

 まだ本調子ではないとはいえスタッド・ランス相手に3-0で勝てたというのは自信に思っていいと思います。今週末からはいよいよリーグ戦が再開し、エスパルスはアウェーで仙台と対戦します。仙台は第34節で徳島に完敗していますが、その分相当気合を入れてくると思います。簡単な試合にはならないでしょう。ただエスパもこの試合を含め入念に準備してきたはず。この試合と同様仙台戦でもここまで準備してきた事を活かして是非とも勝ち点3を奪って欲しいです。

P.S 海外でプレーしている選手をアイスタ日本平で観るのはなかなかないので撮ってしまいました(汗。

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