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2024年7月 4日 (木)

アイスタで連敗ストップ(6/30 岡山戦)

 日曜はホーム・アイスタ日本平での岡山戦でした。事情があって今回もDAZNで観戦しました。

 直近のアウェーでの2試合で惨敗してホーム・アイスタ日本平に戻ってきて、「ここで負ける事は許されない」とチームに関わる人の誰もが思っていたでしょうが、その思いが実っての3-1での勝利。みんなホッとしたと思いますし、僕も勝利を見届ける事が出来てホッとしました。

<明治安田J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>

 エスパルス 3ー1 ファジアーノ岡山

1.エスパルスのスタメン

20240630

 SUB:沖、北爪、吉田、白崎、矢島、ルーカス ブラガ、ドウグラス タンキ

 前節は対秋田対策としてシステムを4-4-2にしたと思いますが、今節はリーグ戦開幕時から主に使用している4-2-3-1に戻しました。また前節はCBを務めた原テルを右SBに戻し、アタッカーには乾、松崎を入れて来ました。CBに関しては蓮川、住吉が戻るかもという話もありましたが、高木を起用しました。まだ2人ともコンディションが万全ではないのでしょうね。

2.岡山の戦い方

 オフ期間中の積極補強で注目を集め、昇格の有力候補と目されていた岡山。開幕後第7節まで無敗を続け予想に違わぬ戦いを見せましたが、第8節で横浜FC相手にリーグ戦初黒星を喫したあたりから勝ち点を思うように積み上げられなくなりました。が、直近の2試合は持ち前の粘り強さを発揮していずれも終盤に勝ち越し点を上げて勝利し、第21節時点で勝ち点47で4位に付けています。

 システムは3-4-2-1。ボール保持時は1トップのルカオに長いボールを入れてそのこぼれ球を2シャドウが拾って相手を押し込む形が基本ですが、後ろから繋いで攻める時もあります。ボール非保持時は前からガツガツプレスをかけるよりは中盤でコンパクトなブロックを組んで、長身のCB3人がはね返すというのが基本で、攻守通して言えるのはどちらかというと手堅い戦い方を志向している印象です。更にGKには名手ブローダーセンが控えており、そのおかげで失点は第21節時点で16と少なく、粘り強く戦って失点を許さずセットプレーやシャドウの選手のコンビネーションから得点をあげて勝ち切るという感じかなと思っていたので、この試合もロースコアの争いになるだろうと思ってました。

3.試合経過・前半

 試合開始直後の1分に原テルのウラ抜けに合わせての宮本の見事なパスからの原テルがシュートを撃つという決定機がありましたが、その後は互角の展開になりました。岡山はアウェイの時と同様に1トップのルカオに長いパスを入れ、そのこぼれ球を拾った岩渕、田中の2シャドウを起点にエスパを押し込もうとし、ボール非保持時はこちらの最終ラインに1トップ2シャドウの3人と両WB(ただ右の柳貴博はカルリーニョスが気になるのかプレスに行ったり行かなかったりしてました)でプレスをかけ、更に竹内、藤田の両ボランチも高い位置を取る事でエスパを前に嵌めにいき、それにより前半はなかなかボールを前に出せませんでした。ただ乾が相手ボランチの間に落ちてボールを引き取ったり権田がロングフィードを入れたりして何とか前へボールを運ぼうと工夫して、ようやく岡山を自陣に押し込んだ20分、原テルの右からのクロスが流れてボールがカルリーニョスに渡ると、カルリーニョスは相手DFが寄せて来ないのを見て右足を一閃。ボールはブローダーセンの頭の上をぶち抜いてサイドネットに突き刺さり、エスパが先制点を奪いました。

 これで勢いの出たエスパは選手個々の前への推進力が出始め、22分に乾のシュートなど惜しい場面を作りましたが、岡山も負けておらず、24分に原テルが空けたスペースを竹内に使われての田中のシュートでエスパゴールを脅かし、それにより得たCKでファーサイドからの柳育崇の折り返しを柳貴博にフリーで押し込まれそうになり(枠外)、その数分後には同じくCKからの柳育崇の折り返しからの混戦から鈴木(?)にシュートを撃たれ(権田がファインセーブ)、そのこぼれ球を柳貴博に押し込まれそうになる(クロスバー)など立て続けに決定機を作られてしまいます。ホームの後押しを受けたエスパも松崎が山原との連携からポケットに入るなど惜しいシーンを作りますが、岡山は42分、田中のウラへのスルーパスに反応した岩渕がゴールを決めて同点に。前半はこのまま1-1で折り返しました。

4.試合経過・後半

 どちらもハーフタイムで指示を受けて臨んだ後半、最初は岡山が押し込みますが、逆にエスパ陣内でのエスパの最終ラインでのボール回しに前プレをかけてきたのを剥がしてのカウンターで逆にエスパがチャンスを作り、それにより得たCKのこぼれ球を乾がシュート。これはブローダーセンに弾かれましたがこぼれ球をカルリーニョスが押し込んで、エスパが勝ち越しに成功しました。

 これ以降は勢いの出たエスパが優勢に試合を進めます。ボールホルダーに対して必ず誰かがサポートに入る事でボールを前に運び、それを後ろからサポートし時に追い越して本来の後ろから湧き出るように選手が出てきて相手を押し込むサッカーを展開します。岡山も何とか反撃すべくルカオを下げて1トップ2シャドウを機動力重視のメンツにしたり、斎藤を入れて高さでも勝負できるようにしたりしますが、危なかったのは73分の岩渕が真ん中でタテパスを受けてからヒールでウラへ抜けようとした早川へ出したシーン(原テルがクリア)くらいで、あとはエスパ守備陣にはね返されます。逆にエスパは79分、藤田がボール処理を誤ったのを白崎が見逃さずに奪ってのカウンターから矢島がゴールを決めて3点目。その後も危なげない戦いを見せたエスパルスが連敗をストップし、3試合ぶりの勝利をあげました。

5.改善されたところ・攻撃編

 ここからはこの試合の勝因、というかエスパルスのどの部分が良くなったのかについて書いていきます。

 まずは攻撃(ボール保持時)から。前半に関しては直近の2試合に比べて幾分選手間の距離が改善されたものの、前述したように岡山が前から嵌めてきたのに対してなかなか剥がしきれず、乾など個々の選手の頑張りやロングボールで強引に前にボールを運ぶ場面が多いように感じました。が、ハーフタイムに秋葉監督からの

 ・サイドハーフはもう少し内側にいていいよ
 ・まだ距離が遠いよ

という2点の指示(大雑把な記憶ですが)を受けて、後半になってボールの運び方が改善されました。それが如実に表れたのが49分のカルリーニョスのゴールに繋がった後半開始早々のビルドアップです。

 この場面、北川が接触プレーで倒れたためにプレーが止まり、エスパ陣の奥でのドロップゴールから再開したところから始まります。エスパは最終ラインでボールを回し始め、それに対して岡山は1トップ2シャドウの3人が高橋、高木の両CBに対して、藤井、柳貴博の両WBが原テルと山原に寄せていきます。これに対して中村、宮本が最終ラインからボールを受け取るべく近付いていって、更に松崎、乾、カルリーニョスの二列目の3人も両ボランチからのパスを受けられるようエスパ陣内に入っていきます。そして権田から高橋、高木の間まで落ちた宮本へパス。宮本はターンして、落ちてきた松崎へパス。松崎は近くにいた中村にダイレで落として前へ。これを受けた中村は同じく自陣へ落ちてきた北川にタテパスを入れると、北川はフリックして斜め後ろに落とし、これが松崎に繋がって数的優位の状態に持ち込んだわけです。松崎が一番パスを通すのが難しそうな乾へのパスを選択しちゃったのでクリアされてしまいましたが、ここで得たCKがカルリーニョスのゴールに繋がりました。

 エスパの最終ラインでのパス回しに対して岡山が前から嵌めようとしたおかげで岡山のブロックが間延びした(そのように仕向けた)部分はあるのですが、ハーフタイムでの指示が効いた部分も大きいと思います。特に選手間の距離を近くしようという指示がこの最終ラインからのスムーズな繋ぎに繋がったのではないかと。で、この後も同じような繋ぎが見られるようになります。

・53分頃 ゴールキックから山原→カルリーニョス→乾と繋ぎ、乾のところで突かれたものの中村が拾ってそこから山原、宮本を経由して逆サイドの原テルへ

・55分頃 権田から原テルへ。原テルは一拍置いて松崎へパス。松崎がこれをフリックして斜め後ろへ送るとそこへポジションを取っていた宮本へ渡り、宮本がフリーで岡山陣へ侵入

・60分 エスパ陣内でのFKから最終ラインでゆっくり繋いで山原へ。そこへ乾が寄ってボールを引き取ってサイドで張っていたカルリーニョスへパス。カルリーニョスは内側のレーンに寄ってきた中村へパスを出すと中村はカルリーニョスを追い越してフリーになっていた乾へパス。乾が前へ持ち出してウラへ抜け出そうとしていた北川へスルーパス

 いずれも味方のボールホルダーに対して適切な距離をとり続ける事で生まれたパス回しだと思います。連勝していた頃も見られていましたが、少なくとも直近2試合ではなかなかこのようなスムーズな繋ぎは見られませんでしたから、連勝していた時の選手間の距離の間隔を特に後半表現できたのは復調へ向けての大きな成果ではないかと思います。あとはこれを更にスムーズに再現性を持って行えるようになればもっといいんですけどね。

6.改善されたところ・守備編(含課題)

 次に守備(ボール非保持)時について。この試合に向けては改めてプレスをかけるタイミングの意思統一を図ったみたいで、そのおかげかむやみに前プレをかけて全体が間延びする時間帯が少なかったと思います。まず4-4-2のブロックを作って、北川が相手3バック真ん中の柳育崇にけん制をかけ、左右のCBに渡ったら松崎、乾、カルリーニョスが同じようにけん制をかけてまず真ん中に入れさせないようにし、ボールがブロック内に入ったところでボールホルダーに寄せて前進を許さないという守り方をしてました。この形も調子が良かった時にやっていたもので特に新たなやり方を取り入れたわけではないのですが、だからすんなりこの守り方が出来たとも言えるのではないかと思います。

 ただ90分間ずっとこのやり方を遂行して相手に隙を見せなかったわけではありません。それが崩れてしまったのが42分の失点シーンです。この場面、まず権田から松崎へのフィードを松崎が受け損ねた際に足を痛めてしまったという不運がありました。で、そのボールを拾った岡山にエスパから見て右から左へパスを繋がれ、右WBの柳貴博にボールが渡ります。これに合わせて田中が山原のウラへ出てボールを貰おうとしますが柳貴博はボランチの藤田へボールを預けてゆっくりと田中と入れ替わりに山原のウラへ動きます。代わりに田中が山原の前に出て藤田からパスを貰って少しボールを持った後再び藤田へパスを出して真ん中へ走り出し、藤田は北川と競り合いながらボールを田中へ戻します。この時点で田中がフリーになって、高木のウラへ走り込む岩渕に絶妙のスルーパスを出し、これで失点を喫してしまったわけです。

 確かに田中のラストパスは見事でしたし、それをダイレでゴールへ流し込んだ岩渕も見事でした。が、エスパの側に立って考えると何とか防げなかったかなという思いは残るんですよね。特に柳貴博が藤田にボールを預けた後ゆっくりと左サイドのウラへ動いた時に、釣られて中村とカルリーニョスの二人がブロックを崩して左サイドへ行ってしまうんですよ。それにより内側のレーンが手薄になって、そこを田中に使われちゃったんです。藤田に寄せた北川に加えて中村かカルリーニョスのどちらかが残っていたら防ぐ事が出来たと思うんですけどね。まあシロート考えですが。

 同じような場面は24分にもありました。まあウチはゾーンとマンツーマンの併用でやっているので、人に付いていく事で陣形が崩れるのはある程度は仕方ないとは思います。ただその時間はできるだけ少なくする必要がありますし、山口戦も愛媛戦も秋田戦も不用意に相手に釣られて陣形を崩した結果失点しちゃってるので、陣形を保つのと人を捕まえるのとのバランスを整える作業がまだ必要だなと感じました。とはいえ、直近2試合に比べればだいぶ良くなったとは思いますが。

7.まとめ

 これまで書いた通り守備に関してはまだ課題が残るものの、全体としては連勝中の良かった頃を基準にする事で上手く立て直してきたなと感じました。この試合に向けてのプレッシャーは相当きつかったと思いますが、よく修正してくれたと思います。ただこの試合でカルリーニョスと乾が4枚目の警告を貰って次節は出場停止となってしまいました。相手が調子を上げてきた千葉なので、それにあたってかなり厳しい試練を与えられてしまった感じです。が、だからといってホームであり僕達の要塞であるアイスタ日本平で負けるわけにはいきません。せっかくこの岡山戦で多少なりとも取り戻した自信がまた無くなってしまうのも良くないです。是非とも最善の準備をして勝ち点3を再びもぎ取って欲しいと思います。

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