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2024年6月26日 (水)

またも惨敗(6/23 秋田戦)

 先週日曜(6/23)はアウェイでの秋田戦でした。秋田も行きたい街ではあったのですが、事情によりDAZNでの観戦でした。

 結果は1-3で負け。後半の残り20分では1点返すなど攻勢を仕掛けましたが、90分トータルで見れば秋田に思い通りやられた惨敗といっていいでしょう。2週続けてあんな負けを見させられたのはショックでしたね。DAZN観戦組の僕がそうなのですから、2試合とも現地で応援した人達の悔しさは相当なものだったでしょう。

<明治安田J2リーグ 於 ソユースタジアム>

 エスパルス 1ー3 ブラウブリッツ秋田

1.エスパルスのスタメン

20240623

 SUB:沖、北爪、高木、白崎、松崎、乾、ルーカス ブラガ

 秋田が4-4-2で来る事を想定してか4-4-2で臨みました。ただ住吉が別メニュー調整中だったらしく、CBには原テルを入れ、空いた右SBには吉田を入れました。そしてトップにはタンキを入れてきました。これは前で起点を作れる選手を入れたかったのだろうと思います。

2.秋田の戦い方

 今季も秋田は堅実な戦いを続け、第20節まで6勝7分7敗と着実に勝ち点を積み上げて中位に付けていました。ここ4試合は勝てずにいましたがそのうち負けたのは1試合だけで失点も少なく、調子が明らかに落ちていたわけではなかったようでした。

 秋田の戦い方の特徴は非常にシンプルなところ。守備では4-4のコンパクトなブロックを作って、前から圧力をかけてボールをサイドへ誘導し、サイドにボールを寄せたところでブロックを同サイドへ圧縮してボール奪取を狙い、ダメならリトリートしてボールをはね返す。ボールを奪ったらサイドチェンジなどの迂遠な手段は使わずにシンプルかつ早くタテにボールを入れてサイドからクロスを入れ、そこではね返されてもロングスロー、CKなどのセットプレーでゴールを奪う。戦い方は基本的にはこれだけですが、これを愚直に繰り返し、その中でのデュエルでも厳しく当たって相手に競り勝つ事で安定した成績を残してきたのが秋田で、ウチも昨季は大いに苦しめられたわけです。そして今季のアウェーゲームでもそれが再現される事となりました。

3.試合経過

 試合開始直後はエスパが積極的な仕掛けを見せましたが、その後は風上をとった秋田が次第に優勢に試合を進めるようになり、13分、大石に左サイドのウラのスペースに入り込まれ、そこからのマイナスの折り返しをどフリーの梶谷に見事なシュートを叩き込まれてあっさり先制を許してしまいます。慌てたエスパはタンキにボールを当てて起点を作ろうとしますが、風下のせいもあってボールが思うように収まらず攻撃の糸口を見出せません。逆に23分、CKから小柳にフリーでシュートを撃たれるなど秋田にペースを握られる時間帯が続きます。時間とともにタンキがボールを収められるようになって少しずつエスパが秋田を押し込む時間が増えますが、逆に42分、右サイドから蜂須賀がファーサイドへクロス。SBの村松が頭で折り返して梶谷がフリーで押し込んで、秋田が2点目。前半はこのまま0-2で終了しました。

 後半、エスパは開始から中村と吉田に代えて乾と高木を入れて流れを変えようとし、48分に北川がシュートを放つなど意欲的な入りを見せます。が、50分、CKから青木にドンピシャヘッドを決められ決定的な3点目を献上。この後何とか挽回しようと選手「個々は」奮闘するものの秋田に簡単にあしらわれ、逆に危険な場面を作られるなど全くいいところがありませんでした。

 が、69分にカルリーニョスに代わって右サイドハーフに入った松崎がウラへ抜け出す動きを見せて権田からのロングフィードを呼び込み、蜂須賀と競り合いながら右サイド深くでボールをキープして内側のレーンに走り込んだ原テルにパス。そのボールを原テルがラッキーな面はあったもののゴールへ叩き込んでエスパが1点を返します。これで生気を取り戻したエスパが秋田を押し込み、71分のブラガのヘッド、77分の乾のミドル、81分の原テルのヘッドと惜しいチャンスを立て続けに作ります。が、得点には至らず、エスパルスが1-3で敗れ今シーズン初の連敗を喫してしまいました。

4.失点シーンの振り返り

 秋田は昨季と同様に非常にやりにくいというか戦いにくいチームでした。ただホームという事で今季のアイスタでの戦いから見違えるほど選手達がアグレッシブに戦ってきたし、選手個々が走って自分達のサッカーを愚直に続ける姿は好感が持てますね。

 ただ秋田はエスパに対して何か特別な策をとってきたわけではないです。勿論細かいところでは、左からクロスを入れる時は山原の上を狙うとか、エスパのSBにボールが入った時は厳しくチェックをかけてボールを奪うとかいった事はやってきましたが、フォーメーションを変えたとかポジションを入れ替えたとかいった事はやってきてないです。じゃあ何故ここまで惨敗したかというと、試合後に原テルが語った通り要所で「自分のところさえやられなければいい」という他人任せのプレーを複数の選手がしてしまったという「自滅」の部分が大きいと思ってます。という事で、また失点シーン、特に流れの中からやられた1、2失点目を振り返ります。

①1失点目

 まず秋田GKの圍のキックから始まり、それは原テルがヘッドでクリアするもののそれを秋田ボランチの藤山が拾って、サイドに開いた大石へパス。大石は下がってきた梶谷にボールを預け、梶谷はダイレで藤山へ戻しますが、この時大石が梶谷が下がったウラのスペースへ走り出していて、藤山はダイレでそこへボールを出します。大石はフリーでボールを受けてゴールライン近くまでボールを持ち出してからマイナスのクロス。これに合わせて走り込んだ梶谷に豪快なシュートを決められてしまいました。

 まず試合直後のポストで梶谷にボールが入ったところにチェックに行った山原はおかしいと批判してしまったのですが、よく考えると今季の守り方からするとあれでOKだと思います。人を捕まえてボールホルダーにアタックするのが今季のウチの守り方なので。ロティーナ元監督の時のようにまず陣形を維持する事重視ならNGですけどね。もっとも山原が前に出た事で陣形は崩れるので、本来は誰かがこのスペースを埋めないといけなくて、この場合であればサイドハーフの矢島がそれをしなければならなかったと思います。ましてや矢島は大石が藤山からボールを受けた時に大石に付こうとしていたのに大石がボールを梶谷に出した時に足を止めてしまっているんですよ。で、大石は梶谷にボールを預けると同時に走り出してるからまんまと置いていかれたわけです。これは非常に拙かったですね。

 もう1つのカバーの仕方として、同サイドのCBがスライドしてスペースを埋める手段もあります。が、この時原テルはラインを下げるのに手いっぱいでスペースを埋める動きを全然してないんですよ。まあ恐らく殆どやった事がない(少なくともウチに来てからは見た事がない)左CBだからというのはあるでしょうが、仮に住吉や蓮川だったらカバーに行っていたと思うのでこれも拙い判断だったと思います。

 という感じで2人やり玉にあげましたけど、他にも緩慢な選手はいましたよ。中村は梶谷にボールが入った時に近くにいたのに山原と呼応した動きもなく見てるだけだし、おまけに戻りも遅かったです。逆に最終ラインの高橋、吉田は相手の佐藤、青木の動きに釣られたとはいえ下がり過ぎ。宮本も同様。結果として最終ラインの前に広大なスペースを空けてしまっていて、そこを秋田に思いきり使われてしまったわけです。誰かが陣形を崩してスペースを空けたら誰かがそのスペースを埋めるとか、最終ラインと中盤のラインの間をコンパクトに保つとか、そうした基本的な約束事の通りにプレーをしていたら絶対に防ぐ事が出来た失点だったと思います。

②2失点目

 まず秋田のスローインを高橋がクリアして、そのボールが北川の近くにこぼれてきて、これを何とかタンキへ繋ごうとしたのですが奪われて、そこから逆に秋田のトップの青木にボールを入れられたところから始まります。青木は原テルに寄せられながらもボールをキープして佐藤へパス。佐藤は仕掛ける素振りを見せて吉田を引き付けてから後ろからフォローに入った蜂須賀へバックパス。蜂須賀は右足でファーサイドへクロスを入れ、それを右SBの村松が山原の頭の上からヘッドで折り返し、権田がそれを後ろに逸らしてしまい、フリーの梶谷に難なく押し込まれてしまいました。

 「山原もっと競れよ」と言いたいところですが無理でしょうね。村松の他に藤山も上がってきて2人に挟まれてましたから。完全に狙われた感じなので、その前にああしたクロスを入れさせないようにしないといけませんでした。だから佐藤から蜂須賀にボールが戻された時には側にいた矢島がもっと蜂須賀に寄せないといけなかったと思います。また蜂須賀にボールが戻った時には少しでも最終ラインが上げるべきだったと思うのですが、高橋が青木を捕まえるのに精いっぱいで全然ラインを上げてないんですよね。あれじゃ狙い通りにクロスを入れられちゃいますよ。クロスを入れられた時点でみんなボールウォッチャーになって誰も梶谷を見てないし。あとは村松からの折り返しを権田が外に出してCKに逃げられれば良かったのですが、ボールの質を考えると難しかったかもしれません。

③失点から見えてくる守備時の問題点

 以上、1、2失点目の振り返りとそこでの問題と思われるプレーをあげてみましたが、まとめるとこんな感じだと思います。

 a)誰かが陣形を崩した時のカバーリングが出来ていない
 b)最終ラインが下がり過ぎだし、相手がボールを戻した時にラインを上げる事が出来てない
 c)ボールホルダーへのチェックが甘い
 d)戻りが遅い、緩慢

 まずa)に関しては前節の愛媛戦と通じるところがありますよね。ゾーンとマンツーマンをどう使い分けるかという話です。今節も同じで誰かが陣形を崩してマンツーマン気味に相手に寄せた時、それによって生まれたスペースを誰が埋めるのかの約束事の共有が出来てないんですよ。b)にしても前節も最終ラインが下がり過ぎて相手にスペースを与え過ぎていたのに今節もそれを繰り返してしまった。前節から今節までの間の練習で何をしてたの?という怒りは沈める事が出来ません。

 c),d)に至ってはボール非保持時にやるべき基本的な事でしょ?特に秋田相手にこんな緩慢なプレーをしていたらそりゃやりたい放題やられますよ。特に1失点目に絡んでしまった矢島と何もしなかった中村には猛省を促したいですが、こうした他人任せの緩慢なプレーは全員が何かしらやっているんで、チーム全体で猛省して欲しいです。

 まあ横浜FC戦で完全に対策された結果敗れた事を受けていろいろと修正を加えたのでしょうけど、その結果本来の自分達の守備のやり方を見失ってしまったのが今の状態だと思います。横浜FC戦の前まではアウェイでも接戦をモノにして勝ってきたわけで、その時は1月のチーム始動から叩き込んできた形で戦っていたはず。ですからあれこれ考えるよりも今一度原点というか自分達の守備の形に立ち返ればいいんじゃないかと思います。c),d)はそれ以前の話ですけどね。

5.ボール保持時(攻撃)の問題点とその処方箋

 愛媛戦の記事ではボール保持時の話をしなかったのですが、今回はそれについても書こうと思います。

 秋田戦は愛媛戦以上に攻撃が機能しなかったわけですが、風向きが前半不利に働いた事は考慮してあげないといけないかなと思います。この試合のプランとしてタンキにボールを当ててそこを起点にして攻め込もうとしたと思うのですが、前半は風下だったのでタンキ目掛けて蹴っても風でボールが戻ってしまう事が多くて、それにアジャストするのに時間がかかってしまったようなので。

 ただそれ以外の攻め手がなさ過ぎましたね。後ろから繋ごうとしても秋田のブロックはコンパクトでタテパスを差し込もうとしてもスペースがなく、そのため仕方なくSBにボールを預けるわけですが、秋田は「待ってました」とばかりに猛然と寄せてきてボールを奪取しようとしてきました。山原、吉田としては何とかボールを奪われないようにしようとしますが、ボランチがフォローなどプレスを回避する先がないため、仕方なく後ろに戻すか前に蹴りだすしかなくなるわけです。そんな感じで後ろでボールを持ったままになるからボランチに加えて矢島やカルリーニョスまでボールを貰いに落ちてきて、それで後ろがどんどん重くなるわけです。こんな状態でまともに攻撃できるわけがありません。前述したように前半途中から少しずつタンキが前で起点として機能するようになって、そこからタンキのクロスバー直撃のヘッドに繋がったわけですが、攻撃としては単発で非常に厳しい状況でした。

 が、その雰囲気を変えたのが前述した松崎の右サイドのウラへの動き出しを起点にした原テルのゴールでしたね。要するに相手のブロックが堅いならそのウラを狙えばいいんですよ。まあ前半から狙ってはいたのですが、ボールが風で戻されたり前の選手との呼吸が合わなかったりして上手くいかなかったんですけど、やはり相手の最終ラインが高ければそのウラを狙うのが合理的なんですよ。3月にアイスタに秋田を迎えた試合でもサイドハーフのブラガとカルリーニョスに長いボールを入れて、それを粘り強く続ける事で相手のブロックを押し下げる事が出来たのですから。尤も前の選手の状況を無視してただウラへのボールを出すだけでは意味がないので、そこは事前の意識合わせが必要ですけどね。

 あと触れないといけないのがこの時の松崎のプレーですね。蜂須賀と激しく競り合っていったん転んでしまいましたけど、プレーを止めずに立ち上がってボールをキープして原テルにボールを繋ぎましたよね。あれは印象に残りました。今のエスパの選手達に必要なのはこの時の松崎のように目の前のプレーに集中して相手に負けないというファイティングスピリットじゃないですかね。勿論気持ちだけで解決できるものではないですけど、この事は考えて欲しいなと思います。

6.まとめ

 以上、この試合での問題点を守備、攻撃それぞれに分けて書いてみました(攻撃に関しては取り留めのないものになってしまいましたが(汗)。ここで挙げた問題点は、チームの構造的なものもありますが、連勝中は出来ていたのにいつの間にか出来なくなった事の方が多いと思ってます。守備の約束事の部分はその典型例です。だからそれらについては、連勝中はどうやって来たかというのを選手間で意識合わせをするなどして今一度約束事を整理すれば解決できると思いますし、少なくとも愛媛戦や秋田戦のような無様な姿を晒す事はなくなるはずです。まずはそこから見直して、調子を取り戻して欲しいです。

 この試合の敗戦で甲府戦以来守ってきた首位の座から陥落しました。が、リーグ戦の最後に優勝、自動昇格できる順位にいないと意味はないという事を、昨季別の立場から嫌というほど味わってきました。それを思えば今の順位など大した意味は持ちません。勿論今のチーム状態のまま戦ってズルズルと自動昇格圏から離されるのは何としても避けなくてはなりません。幸い次はホーム・アイスタ日本平で戦う事が出来ます。相手の岡山は簡単な相手ではないですが、地の利を活かして何としても勝ち点3を奪取して欲しいです。

7.追記・秋葉監督に対して

 繰り返しになりますが、今の段階であればシーズン開始直後とか7連勝中の頃とかのやり方を取り戻してくれれば立て直す事は可能だと思ってます。が、一抹の不安(というより不信かな(汗)を感じるのが秋葉監督がそれを出来るかどうかです。あれこれ手を加えた挙句に愛媛戦での無様な敗戦を見せられた時点でリーグ戦で結果を出してきた秋葉監督への(僕からの勝手な(汗)信頼は完全に崩れ去った上に今回の連敗ですからね。ガッカリですよ。それにこの2試合で選手達が(特に守備時に)どこか迷ったようなプレーをした要因には、守備時の約束事が曖昧になっているのを秋葉監督が見逃した、もしくは放置した事によるところが大きいと思っていますし。

 秋田戦の試合後に秋葉監督は選手達に「お前達の力はこんなものじゃないはずだ」と問いかけていました。が、それを引き出すのが監督の仕事ですからね。「自分も含めて」と仰った以上、自分の事を棚に上げる事は許されません。ここからのホーム・アイスタ日本平での2試合が名誉挽回のチャンスです。今一度チームを立て直して上昇気流にのせるような最善の準備をして下さる事を期待します。

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