« 天皇杯初戦快勝(6/12 天皇杯三菱重工長崎SC戦) | トップページ | 夏の移籍ウィンドウの動きその1 »

2024年6月19日 (水)

無様な惨敗(6/16 愛媛戦)

 日曜(6/16)はアウェーでの愛媛戦でした。松山は行きたい街ではあったのですが、日曜のナイトゲームでは行けるはずもなく、DAZNで観戦しました。

 アウェー戦で2連敗した事を受けて「アウェーでの戦い方を見直す」と秋葉監督が仰っていたので、それによりどう変わるかを注目したのですが、結果は0-3で惨敗。何を見直したのかわからなかったし、あまりにも無様な負け方に怒り心頭に発したし、昨日までずっと機嫌が悪いままでした。

<明治安田J2リーグ 於 ニンジニアスタジアム>

 エスパルス 0ー3 愛媛FC

1.エスパルスのスタメン

20240618

 SUB:沖、吉田、矢島、松崎、カルリーニョス ジュニオ、郡司、ドウグラス タンキ

 前節の藤枝戦の出来に手応えを持ったのか、同じシステムを採用しました。アウェーという事で押し込まれたりカウンターを食らったりする事も考慮して後ろに枚数を多くしたかったというのもあるかもしれません。ただ左CBは住吉ではなく高木をチョイス。試合前のインタビューで秋葉監督は「機動力を重視した」と仰ってましたが、実際のところはよくわかりません。サブには水曜の天皇杯で結果を残した選手を多く起用しました。またカルリーニョスが怪我から復帰したのは好材料だと思いました。

2.愛媛の戦い方

 愛媛は昨季J3で優勝してJ2へ復帰してきたチーム。ウチとのホーム開幕戦で見せた非常にアグレッシブな戦い方には好印象を持ちました。その後少し足踏みしましたが、第4節あたりから順調に勝ち点を積み、一時はプレーオフ圏内もうかがう勢いでした。第13節から6試合勝てない時期がありましたが、前節水戸相手に久々の勝利をあげ、水曜の天皇杯では岡山相手に7-1と大勝をおさめ、自信を取り戻した状態でこの試合に臨みました。

 この試合に向けても十分な対策を施してきました。愛媛は通常4バックの4-2-3-1で戦うイメージなのですが、この日はエスパと同じ3-4-2-1を採用。誰が誰を見るかを明確にしてきました。一方でボールを保持したら右WBの茂木がサイドハーフの位置まで上がり、右CBの尾崎がSBに移って4バックの形に移行。左はシャドウの窪田が基本的には左サイドハーフとなりますが、サイドで張っていたかと思えば中に侵入したりと捕まえずらいポジションをとってきました。窪田だけでなく他の前の選手も流動的に動いてきて、それに対してエスパの守備は大いに混乱してしまいました。

3.試合経過

 エスパの選手達は気合が入っていました。キックオフからいきなり相手陣にボールを持ちこんで原テルのクロスから北川が惜しいヘッドを放つなど愛媛を押し込みました。しかし8分、愛媛のゴールキックから真ん中をタテパスで繋がれて、左から入ってきた窪田に決められていきなり先制を許しました。エスパも負けじと9分に北川とのワンツーからの乾のシュート、それで得たCKのこぼれ球を乾がポケットまで運んでシュート性のボールを入れてもう少しで押し込めるかという場面と立て続けにチャンスを作りましたが、愛媛もウチの両サイドのウラ、特に右サイドのウラを執拗に突いてきて、それを起点にして押し込んできました。エスパはそれに対して無理に前プレに行き過ぎずに中盤でブロックを作って相手の攻撃の勢いを削ぎ、ボールを奪ったらロングカウンターを仕掛けて何度か惜しいチャンスを作りました。が、決め切る事は出来ず0-1で前半を折り返しました。

 後半、エスパは開始からブラガに代えてカルリーニョスを入れて、戦い方も攻撃にシフトしてきました。しかし愛媛も全く負けておらず、46分、ゴール前でのエスパのパスミスからロングカウンターを仕掛けて最後は窪田がシュート。そのすぐ後にはバイタルでの繋ぎから深澤のシュートと立て続けに決定機を作り(いずれも権田がファインセーブ)、後半開始からいきなりノーガードの殴り合いの様相となりました。その後はエスパが少しずつ攻撃の圧を強めて押し込んでいきましたが、59分、また愛媛のゴールキックから綺麗にエスパの左サイドを繋がれ突破されて、最後は曽田にシュートを決められて0-2となりました。その後エスパはシステムを4バックに移行し攻撃的な選手をどんどん入れていきましたが、愛媛は5-4のブロックを崩さずにはね返し、その一方でボールを奪ったらカウンターを仕掛けてダメ押し点を狙っていきます。そして90分、またまた愛媛のゴールキックから途中出場の浜下に見事なロングシュートを決められて0-3。エスパルスが惨敗となりました。

4.愛媛は強かった

 この試合のエスパルスの戦いを振り返る前に、まず愛媛FCから。強かったですし、対エスパ対策が完璧だったと思います。リトリート時に5バックにするのは数試合前からやっていたみたいで、そうなるとボールを奪ったら4バックに移行するというのも同じ頃だと思いますが、それへの移行がスムーズだし、何よりボール保持時は前の選手が流動的に動いてスペースを空け、そのスペースに誰かが入るというのが徹底されていました。基本的に人を捕まえる守備を行うエスパとしては非常にやりにくかったと思います。また押し込まれても5-4のブロックが頑強で、崩されそうになっても誰かがカバーに入ってきて、要所では身体を張るというのも徹底されていました。特に後半はエスパが押し込み続けてはいたので「守備的なサッカーにやられた」というコメントも散見されましたが、いざボールを持った時には攻撃に人をかけて分厚い攻めを仕掛けてきましたし、何より3失点とも相手のゴールキックを繋がれてやられたものである事も考慮すると恥ずかしくてそんな事は絶対に言えないと思います。更に言えばこの試合の愛媛の良かったところってウチが良い試合をした時によく言われる事でもありますよね。つまり愛媛に自分達がやりたいサッカーをやられたって事なので、この事を僕達は認めないといけないと思います。

5.失点シーンの振り返り

 一方、エスパルスは前述した通り自分達が本来やりたいサッカーをやられるという非常に恥ずかしい負け方をしました。その要因は守備のガタガタさにあると思ってます。以下、山口戦と同じく1、2失点目がどんなやられ方だったのかを振り返ります。

①1失点目

 愛媛のゴールキックから始まったのですが、ボール保持時のCBである小川と森下、そしてGKの徳重の3人でビルドアップをスタート。それに対して北川、ブラガ、そして宮本がけん制をかけますが、ここでGKの徳重がトップからボランチの位置まで落ちた松田へパス。松田はボールを収めてから横にいたボランチの谷本へパス。谷本がこれを右SBの位置へ上がってきた尾崎へ繋ぎ、これでエスパのトップと中盤の2つのプレスラインを突破され、3対4の状態とされました。そして尾崎がフリーでボールを運んだ後左から真ん中へ上がってきた窪田へスルーパス。窪田が落ち着いてシュートを決めて先制、となりました。

 ゴールキックからのプレーなので、ある程度前の選手の寄せが甘いのは仕方ないとは思います。一応パスコースは消せてますし。ただ深澤に付いていった宮本の奥のスペースを松田に使われてしまったのがまずかったかなと感じます。ただそれよりまずかったのは松田から谷本に楽に繋がれてしまった事。高橋は本来のポジションを離れて松田に付いていったのですが、ファウルしてでも止めるべきでした。それか中盤に残っていた中村にマークを受け渡すか。ただ中村は谷本を見ていたと思うので受け渡されても辛かったかもしれません。その割に中村は谷本へ全然寄せる事が出来てなくて、右から入ってきた尾崎に楽々とパスを通されているんですよね。ここも非常にまずかった。結果として3対4の数的不利。ウチが藤枝相手に先制した時と同じです。カウンターどころか綺麗にビルドアップで崩されてるんですよ。愛媛は上手いですが、ウチが無様です。

②2失点目。

 CKの流れからの北爪のシュートが原テルに当たってゴールラインを割った後のゴールキックからでした。またGKと2人のCBからスタートするのですが、ボランチの深澤と谷本の2人ががCBの近くまで落ちてきていて、そのうちの深澤がボールを受けるのを見て中村が寄せていきます。が、深澤は横に寄ってきた谷本にパスを出します。この時点でカルリーニョスが谷本の近くにいましたが寄せが甘く、さらに宮本はいったんは深澤についていったのですが、2トップの一角である曽田が後ろへ落ちてきたのに気がついて、それをケアするために下がっちゃってました。このため谷本はフリーでボールを持ち出し、右で高い位置をとった尾崎へパス。それに対して山原が寄せにいきますが尾崎は山原のウラへ抜け出そうとしていたパク ゴヌへダイレのパス。これを持ち出したパク ゴヌがグラウンダーのクロスを入れ、高橋が何とか触ったもののそれが不運にもフリーで走り込んだ曽田の前にころがり、それをゴールに叩き込まれてしまいました。

 まずこの場面に至る前段としてポイントだと思っているのが、ハーフタイムで秋葉監督が仰った「パワー解放するぞ!」の一言。要は前半は途中から無理にプレスに行かずにミドルブロックを作って2失点目をやらない事を優先したのを、後半また前からアグレッシブな戦いを仕掛けると宣言したのだと思います。その指示の下、開始直後は愛媛陣内へ迫りましたが、前述の通りパスミスからロングカウンターを食らって決定的なシュートを撃たれていました。要は愛媛の攻撃陣が元気な中でリスキーな選択をしたわけです。

 その上で2失点目の場面ですが、相手のボランチ2人が最終ラインに近付いたのに釣られて中村、宮本も前にいったのですが、これはハーフタイムでの指示通りに動いたという事でしょう。が、深澤がボールを受けた時の中村の寄せが甘過ぎ。前半の高橋と同じで潰さないとダメです。寄せたなら。更に周りにいた北川、カルリーニョス、乾の中村に呼応する動きが無し。乾など浮遊してるだけです。あといったん前に上がった宮本が下がってしまったのも拙かったのですが、これは前述の通り曽田が落ちてきたのをケアするためなので致し方ないかなとも思うのですが、曽田には高木もついていっていたので任せても良かったかもしれません。いずれにしろこのあたりにも守備時の混乱が表れてますね。

 かくして谷本の前には広大なスペースがあったのでやすやすと持ち出して尾崎へパス。山原が何とか自由にさせじと寄せますが、その後ろには曽田が高木を連れて落ちていった事に伴うスペースがあったのでそこへ出し、それを受けたパク ゴヌがこれまた易々と前進して結果失点、って感じです。見事に愛媛に動かされ翻弄されてしまっています。

 3失点目については割愛します。ただこの場面も攻撃に意識が行き過ぎて、どうボールを奪うのかが見えなかったですね。

6.失点から見えてくる課題

 という事で、1、2失点目で何が拙かったかを考えてみましたが、そこから見えてくる課題を整理すると以下のような感じかなと思います。

①人に釣られ過ぎ

 前節の藤枝戦でも書きましたが、エスパの守備って基本的に人をつかまえておいてボールが入ったらガツンと寄せるという感じで、ゾーンとマンツーマンを併用しつつもマンツーマンの色の方が濃いという理解です。それがこの試合では顕著に出ました。1失点目であれば高橋が松田の落ちる動きについていったところ、2失点目であれば深澤に中村が付いていったところや曽田に高木がついていったところがそうですね。まあマンツーマンで守るなら正しい動きですし、一番最初に3バックで戦った群馬戦では殆どマンツーマンみたいな感じでやって快勝しましたから、そのイメージがあったのでしょう。ただついていった相手にボールが入ったならそこで潰さないとダメですよ。せめて楽にプレーさせないようにしないと。何故なら自分が本来いるべきスペースを空けてきているわけですから、そこを使われないようにするためにも楽にプレーさせてはダメです。この試合ではそこが甘かったと思います。

②寄せが甘過ぎ

 ①に通じるところがありますね。厳しく寄せてボールを奪う場面が特に前半はあったのですが、大事なところで寄せが甘いところも散見されました。ただそれ以上に前プレでの寄せが甘すぎるなと。EURO2024の開幕戦でのドイツのスコットランドに対する前プレの厳しさに比べるともう甘過ぎでしょ。まあミュンヘンに比べるとこの日の松山は暑かったと思うのでそれを考慮すると「ドイツのように」とまでは言えませんが、だったらあまり前プレにはいかずに後ろのパスコースを切るポジショニングにとどめるという選択肢もあったし、そこをどうするのかが曖昧だったように思います。

③ゾーンかマンツーマンかの認識が共有されてない

 そしてこれが一番致命的だと思うのですが、人につくのかゾーンを守るのかの意思統一が選手間で出来てなかったと思います。1失点目であれば高橋は松田に付いて行ったけど、中村の谷本への寄せは非常に甘かったし、2失点目は中村が深澤についていったのに宮本は谷本のマークを外してしまったところにそれが表れていますね。それによって愛媛のタテのポジションチェンジ、後ろへ落ちていく動きに伴ってブロックが容易に崩れてしまうのです。愛媛の石丸監督が「清水は守備に難がある」と試合後仰ったのはこの事象を指して仰ったのではないかと思います。

 ゾーンとマンツーマンを併用する事によって誰かが釣り出されてその穴を突かれるというのは、ありがちだと思います。それを防ぐために局面毎にどうするかの約束事を整理するのだと思うのですが、この日のエスパはそうした局面に応じてどう守るか、つまり人についていくのか、それともマークを受け渡すのかがすごく曖昧になっていたと思います。特に相手ゴールキックに対してけん制をかけていく場面において。そこへまだ試合開始から使うのが3回目の3-4-2-1だったのが余計に混乱を助長したのだと考えます。

 この辺の整理は監督を中心にしっかりやっておくべき事であり、それがある程度出来ていたからこそ7連勝出来たのだと思います。それがまず横浜FC戦で徹底的にウラを突かれ4バックに5トップをぶつけられて翻弄されたところで人を捕まえる事に重点を移し始め、山口戦でも4バックで上手くいかなかったので藤枝戦では相手のシステムと同じシステムにして上手くいったので、「じゃあこのままやってみようか」という事でこの試合でも3-4-2-1にした。でもその結果局面毎にどう守るか、どうプレスをかけるかが選手間でバラバラになって、逆にエスパと同じシステムをぶつけた愛媛に翻弄されてしまった。

 こんな無様な話はないでしょ?

 対応としては、守備時の約束事をもう1度整理する事。マークの受け渡しをどうするかを中心にして。「アウェーガー」とか言ってパニクってますけど、横浜FC戦より前はアウェーでも勝てていたんですよ。千葉戦にしても甲府戦にしても岡山戦にしても辛抱強く要所で守って、チャンスを見逃さずに先制点を奪って勝ってきたんですよ。それが横浜FC戦でガツンと殴り倒された結果迷走しちゃってるのが今だと思います。まずは守備時の約束事をもう1度整理・徹底する事。それが立て直しの第一歩だと思います。なお攻撃について全く触れていませんが、良い守備なくして良い攻撃なんて出来るわけないです。まずは山口戦、愛媛戦といいようにやられた守備の立て直しが最優先と考えます。

 最後に秋葉監督に対して。試合後に「自分達から崩れるなよ」と選手達に話しかけてましたが、一番パニクって崩れかけているのは貴方だと思いますよ。「アウェーガー」という表面的な事にとらわれず、何が起きているのか、構造上の問題は何かというのを必死で考えて下さい。

7.まとめ

 次節はまたアウェーでの秋田戦。厳しい相手ですがやり方ははっきりしているので、もしかしたら愛媛よりも戦いやすいかもしれません。明日から練習再開だと思いますが、ホームでの秋田戦はどう戦ったかを思い出しながら万全の準備をして欲しいです。

※ブログランキング参加中です。

にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

|

« 天皇杯初戦快勝(6/12 天皇杯三菱重工長崎SC戦) | トップページ | 夏の移籍ウィンドウの動きその1 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 天皇杯初戦快勝(6/12 天皇杯三菱重工長崎SC戦) | トップページ | 夏の移籍ウィンドウの動きその1 »