« 連敗阻止(5/26 水戸戦) | トップページ | 首位でリーグ戦折り返し(6/8 藤枝戦) »

2024年6月 7日 (金)

またアウェーで完敗(6/2 山口戦)

 先週日曜(6/2)はアウェーでの山口戦でした。エスパサポが土曜から前乗りして山口県のいろいろな観光地(秋芳洞や下関、萩など)に行かれたみたいでTLから楽しそうな感じが伝わってきました。

 結果は0-2で完敗。山口が4試合負け無しで6位につけているのは知っていたので相当苦戦するだろうとは思っていましたが、ここまで酷い結果になるとは思いませんでした。山口の好調さとウチの不甲斐なさがはっきり表れた試合でしたね。

<明治安田J2リーグ 於 維新みらいふスタジアム>

 エスパルス 0ー2 レノファ山口FC

1.エスパルスのスタメン

20240601

 SUB:沖、北爪、吉田、宮本、松崎、成岡、千葉

 前節の前半終わり頃に腿の違和感を訴えて交代したカルリーニョスに代わって乾がスタメンに復帰。これによりシステムは4-2-3-1となりました。CBには高木に代わって住吉が復帰しました。サブには北爪、成岡、千葉が入りましたが、これは恐らくはTMで調子が良かったのと特に千葉に関しては戦力となるメンバーを増やしたいという意図があったんじゃないかと思います。

2.山口の戦い方

 昨季残留争いに巻き込まれ、最終順位20位とギリギリでJ2に生き残った山口ですが、今季を迎えるにあたっては残留に貢献したエスナイデル氏から監督を代える事を選択し、2023年にJ3へ初挑戦したFC大阪を終盤まで上位争いに加わるチームにした志垣良氏を招へいしました。新加入もJ3で活躍した選手が多く(新保、板倉、相田他)、これは恐らく志垣新監督の希望が入っているんじゃないかなと思います。

 システムは4-4-2。わりとロングボールを多用してきて実際ボール支配率もそれほど高くないから前節の水戸みたいなチームをイメージしていました。ただ実際に戦ってみると確かにロングボールは使いますがそれはあくまでボールを前進させるための手段であって、相手を押し込んだら左SBの新保を上げて3-5-2に変化し、両サイドからきっちり繋いで崩してきました。また守備も非常にしっかりしていて4-4-2のブロックをコンパクトにした上で最終ラインに2トップがプレスをかけてボールをサイドへ誘導し、サイドに入ったところでブロックを圧縮してボールを奪いにいき、奪えなかったらリトリートして真ん中をしっかり締めて中に入れさせないというやり方を徹底してきました。エスパはこうした戦いを仕掛ける山口に大いに苦戦する事となりました。

3.試合経過

 試合の入りは互角でした。エスパは3分にFKから住吉がシュートを放つなどして山口ゴールに迫り、山口も7分に吉岡がミドルシュートを放つなど一歩も引かない構えを見せました。しかし14分、山口の左サイドでの繋ぎから新保のポケットへの侵入を許し、折り返しを吉岡に押し込まれて山口に先制を許しました。エスパもすぐ反撃し、24分のCKからの乾のボレーなどの場面を作りましたが、逆に27分、右サイドでボールを回されてスペースを開けられたところで佐藤に見事なシュートを決められ、2点ビハインドとなってしまいました。何とか1点返そうと32分に山原のミドル、35分に乾のヘッドとチャンスを作りましたが山口の堅いブロックを崩すには至らず、逆に44分に山本にシュートを撃たれるなどの危ない場面も作られ、結局0-2で前半を折り返しました。

 エスパは後半開始から千葉、松崎を投入する事で事態打開を図り、開始早々の47分に中村がミドルシュートを放って反撃への意欲を見せましたが、2点リードを持っている山口も落ち着いて対応し、56分に吉岡がシュートを放つなどしてエスパゴールを脅かします。流れがあまり変わらないと見た秋葉監督は53分に白崎に代えて宮本を投入。その宮本がボールを真ん中付近で引き取ってはボールを左右に散らす役割を担った事でようやくエスパに流れが移り、60~75分のエスパのボール支配率は65%となって、その中で70分にCKからの中村のヘッド(DFがクリア)、71分に原の左足ミドル(クロスバー直撃)といった惜しいシーンも作りました。しかし山口も75分にシステムを5-4-1に移行してサイドのスペースを埋め、その中でも83分に山原の直接FK(ポスト直撃)、86分に北川のヘッド、90+3分に松崎のミドル(GK関がセーブ)といったチャンスを作りましたが最後まで得点には至らず、0-2で敗れました。

4.失点シーンに表れた守備時の問題点

 後半押し気味に進めながら最後まで得点できなかった事から、どうしても攻撃面に意識が行きがちだと思います。しかしながら山口は17節までリーグ戦で失点がリーグ2位と少ない守備に定評があるチーム。ですからいかに先に失点しないで90分間でゴールをこじ開けるかがこの試合のポイントだったはずです。にも関わらずあまりにも早い時間に先制を許し更に2失点目も食らった事で、ゲームプランは完全に崩れてしまったわけです。しかも失点シーンは、確かに山口の個々の選手のプレーは良かったですが、エスパのプレーがあまりにルーズというか杜撰極まりないものでした。この試合で出た課題を考える際にはこの失点シーンが良い題材になると思うので、それを書きます。

①1失点目

 まず山口は前述したようにボール保持時は左SBの新保が上がって3-5-2のような形に変化します。そして押し込んだ時にはこちらの4枚の最終ラインに対して5枚をぶつける形にしてきました。この形は敗れた横浜FC戦や大苦戦したいわき戦でもやられた形です。

 で、まず自陣でのエスパボールのスローインから始まったのですが、原テルから斜めのクサビを入れようとしたのですが前の選手(恐らく中村)と合わずにカットされてしまいます。ボールは新保に渡り、新保はサイドへ行くふりをしてペナ内のハーフスペースへ入った田邊へパス。田邊は白崎と乾を引き付けてからペナ内に入ってきた新保へリターン。新保はブラガ、白崎、乾に囲まれながらもこれを突破してクロス。これを吉岡に押し込まれて先制を許しました。

 まずボールの取られ方が悪過ぎます。これによりこちらがブロックを作る前に攻撃されるハメとなりました。次にブラガの戻りが遅い。まあ攻撃を仕掛けようかというところでとられている分前から戻らなければいけないので大変ですが、対面となるはずの新保がボールを持っていたので乾と同じように早く戻って欲しかったですね。新保から田邊にボールが渡った時に乾、白崎が付きましたが、ペナ内とはいえもう少し寄せてプレッシャーをかけて欲しかったところ。それでもパスを後ろに出させただけまだマシなのですが、ボールを受けた新保にブラガが付いてなかったのが問題。この時には新保には付く事が出来ていたはず。更に乾が何とかボールを奪おうとしたけれど股抜きされる軽い守備。これで突破された時点で勝負ありでした。

②2失点目

 この失点は不用意なボールロストからのカウンターではなく、山口にボールを支配されエスパの右サイドでボールを回された末の失点でした。前からの流れでボランチの佐藤がこちらの右サイドに来ていて、前までボールを運んだところでハーフスペースレーンにいた新保にパスし、新保も後ろにいた田邊にバックパス。田邊はこれをダイレでハーフスペースでよりペナに近いところにいった左サイドハーフの河野にクサビのパス。河野はターンしてあっさり中村をかわした後で真ん中の若月へパス。若月がダイレで落としたところへ佐藤が走り込んで見事なミドルシュートをどフリーで撃たれてしまいました。

 まず新保から田邊にボールが戻された時に白崎が田邊にチェックにいったのが意味不明だし、寄せが甘過ぎ。ポジションを崩して寄せにいったのなら前に出させないようにしないと。これで真ん中の広大なスペースを中村が1人でケアしなければならなくなり、結果として山口のパス回しに翻弄され続けた末にフリーでシュートを撃たれてしまっています。そもそもこの失点の前の1~2分間エスパは山口に押し込まれボールを回され続けていましたから、きっちりブロックを組んではね返す方が適切だったと思います。それがブロックを崩した挙句に一番自由にやらせちゃいけないバイタルエリアを空けてしまったのでは話になりませんよ。

 以上の内容から問題と思われるところをまとめるとこんな感じかと思います。

 ・ボールの取られ方が悪過ぎるしそこからの切り替えが遅い
 ・ブラガが新保に付ききれなかった
 ・白崎が人に引っ張られ過ぎるし、その割に寄せがルーズ
 ・乾が一発でボールを奪おうとしてあっさりかわされてしまった

 特に3点目の白崎が人に引っ張られ過ぎるのは問題だったと思います。何故なら彼はボランチで真ん中のスペースを埋める役目だからです。以前観た秋葉監督と松原良香さんとの対談動画の中で守備時の考えについて話をされているのですが、ゴール前のゾーンをシュートを撃たれた時の危険性に応じていくつかに分けていて、特に真ん中のゾーンはシュートを撃たれたら決められる確率が高くなるから出来るだけそこにボールホルダーを行かせないようにさせているといった話をされていました。そこから考えるとボールに釣られて真ん中から出ていった白崎の動きは今のチームのプレー原則から外れているし、仮に真ん中から離れてボールホルダーに寄せるんだったら確実に潰すかせめてボールを前に出させない、最低でも内側のパスコースは切って外に追い込まなければならなかったと思います。

 と、ここまで書いておいてアレですが、僕は白崎をスケープゴートにして戦犯扱いしたいわけではないです。白崎がボランチでスタメンとなって2試合目ですが、人が変わっただけで狙っていたはずの守備が出来なくなるのは自分達のプレー原則をチームに落とし込み切れてないという事ですし、それは監督コーチの責任です。そもそもこちらの4枚の最終ラインに対して5人をぶつけられたのは山口が初めてではないのにそうした相手への対処法が十分にチームに落とし込めてないから白崎もブラガも混乱してしまった部分は多分にあると思いますので、前述のそもそもチームの守備時の原則も含めて今一度整理して落とし込む必要があると考えます。

5.攻撃時の課題と光明

 前述したようにエスパの試合の入りは決して悪かったわけではなく、先制を許した事で山口が更に勢い付きエスパは時間がたつ毎に焦りからミスが増えてしまったという印象を持っています。だから何故先制を許したのか、何故追加点まで与えてしまったのかについて深掘りしてみました。

 ただ攻撃面に問題がなかったとは思いません。特に前半は山口の術中に嵌ってしまって思うように攻める事が出来ませんでした。というか山口のエスパへの対応は横浜FCと似ていて、2トップが最終ラインにプレスをかけてサイドへ誘導し、ボールがSBに入ったところでブロックを同サイドに圧縮してスペースを消してボールを奪い切るというものでした。それに対してエスパはSBとサイドハーフが同じように外側にいる事であっさりパスをカットされるし(特に左サイド)、乾がボールを引き取りに来てもすぐチェックを入れられる上に北川との距離が開いて北川を孤立させてしまうし、北川への斜めのクサビもケアされているし、止むを得ずウラに出したとしても最終ラインとトップが間延びしているからあっさり回収されるし、で、なかなかアタッキングサードへボールを送る事が出来ませんでした。こうやってブロックを同サイドに圧縮してくる相手に対してなかなか攻め手を作れないのは前から引き続きの課題だと思います。

 しかしながらこれを打開するヒントはあります。というか、後半、特に宮本が入ってからの攻撃がそうじゃないかなと思います。まず乾は左サイドに入って、最初は矢島と同じように外側に寄り過ぎてボールをカットされたり奪われたりしてましたけど、途中から内側のレーン(というよりもっと中に入って)にポジションをとって相手に捕まえられにくくするとともに山原に外側のスペースを使わせるようにしてました。右の松崎と原テルの関係もそうだったと思います。そして宮本が後ろでボールを引き取って左右に散らす事でボールを空いたサイドから前進させていました。

 要は相手が片方のサイドにブロックを圧縮したのなら空いている逆のサイドを使っていけばいいし、圧縮してきたとしても選手間の隙間はあるのだからそこを突いていけばどこかで穴は空くわけです。そういう狙いで後半はプレーする事で後半はかなり山口を押し込む事が出来ていました。残念ながら得点出来ませんでしたが。だからこの日の後半のプレーをし続ければ打開出来るんじゃないかと思います。

6.アウェーでの戦い方?

 という事で、守備に関してはプレー原則の徹底と5トップ気味で来られた時の対応の整理、攻撃に関してはこの試合の後半のプレーをし続ける事が今後に向けての宿題かなと思っています。だから秋葉監督が試合後に仰った「アウェーでの戦い方を見直す時が来た」という発言には「?」マークが付いています。特に守備時の原則の徹底が不十分なままでアウェーでの戦い方を新たに考えるのは違うと思いますし、その結果ホームでも勝てなくなったらどうするの?と思ってしまうので。まあ「アウェーでの戦い方の見直し」が守備時の原則を今一度落とし込む契機になるならそれでも良いとは思いますが。これについては見守りたいと思います。

7.まとめ

 ここに来てちょっと壁にぶち当たっている感じはします。ただシーズンを通して好調を維持し続けるなんて不可能ですし、どこかでこうした状態になるのは予想できる事です。この状態から如何に早く抜け出せるかが重要ですし、ましてや連敗など許されません。次の相手の藤枝は調子を上げてきていますから苦戦は必至ですが、ホーム・アイスタ日本平での試合ですから何としても勝ち点3をもぎ取って欲しいです。

※ブログランキング参加中です。

にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

|

« 連敗阻止(5/26 水戸戦) | トップページ | 首位でリーグ戦折り返し(6/8 藤枝戦) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 連敗阻止(5/26 水戸戦) | トップページ | 首位でリーグ戦折り返し(6/8 藤枝戦) »