首位でリーグ戦折り返し(6/8 藤枝戦)
先週土曜(6/8)はホーム・アイスタ日本平での藤枝戦でした。事情があってこの試合もDAZNでの観戦となりました。
1点を争う好試合となりましたが、エース北川のゴールで先制したエスパルスが1-0で勝利し、リーグ戦を首位で折り返す事となりました。ここのところ高くなった鼻を折られるような試合が2つほどありましたが、それでも首位でリーグ戦を折り返す事が出来たのは良かったと思います。(というか首位で折り返しというのは何か慣れないですね(汗)
<明治安田J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 1ー0 藤枝MYFC
1.エスパルスのスタメン
SUB:沖、高木、吉田、矢島、白崎、郡司、ドウグラス タンキ
先週の練習で3バックを使ってのトレーニングが行われたという事で「3バックもあるかも」という予想もありましたが、その予想通りに3-4-2-1の布陣で臨みました。それに伴って右WBに北爪が入り、シャドウにはブラガと乾が入りました。またボランチには白崎に代わって宮本が起用されました。サブも結構入れ替えてきましたが、中でも注目されたのは郡司ですね。
2.藤枝の戦い方
昨季J2初挑戦ながら旋風を巻き起こし、夏に渡邊りょうなどの主力を引き抜かれて苦しみながらも最終的に13位でフィニッシュした藤枝。しかしオフに攻撃の要だった横山を引き抜かれた影響からか開幕5試合勝ち無しとリーグ戦の入りでつまずきました。熊本、山形に連勝したもののその後勝てない時期が続き、一時は最下位にまで沈みました。しかし少しずつ守備に軸足を置いて相手を自陣に引き寄せてカウンターで仕留めるという戦い方が機能し始め、第12~18節までの戦績を5勝1敗1分とし順位も10位まで上げてきました。
システムは昨季と同じく3-4-2-1。ボール非保持(守備)時は5-3-2もしくは5-4-1にしてスペースを埋め、ボールを奪ったら隙を見てロングカウンターを仕掛けてきて、仕留められなかったとしてもセットプレーで仕留めるという戦い方で結果を残して来ました。一方で須藤監督が掲げる「アタッキングフットボール」の下で磨かれてきたパスワークも健在で、ボール保持時は3バックのうちの左右のどちらかがサイドに上がって、残ったCB2人とGKでビルドアップをスタートし、両WBをサイドに張らせる事で相手ブロックを広げてその間を繋いだりサイドに付けたりしてボールを前進させる事も出来るという相手にとっては戦いにくいチームになっているなと感じました。
3.システム変更の狙いが嵌った前半
この藤枝に対抗するために秋葉監督がとった策が3-4-2-1へのシステム変更でした。狙いは簡単に言えばシステムを藤枝と同じにしてミラーゲームにする事で、個の優位性を活かして殴り倒すというものです。で、このシステム変更の効果を高めるためと前節の反省を踏まえて全体をコンパクトにする事を意識させていて、これによりボールロスト後のゲーゲンプレスやセカンドボール回収をやりやすくしようとしました。
この対藤枝対策の効果が出て、25分頃まではエスパが優勢に試合を進めました。両サイドの北爪、山原が積極的に仕掛け、真ん中では北川、ブラガ、乾がコンビネーションで崩そうとし、そこに時折宮本が絡んで分厚い攻撃を仕掛けました。後ろでは原テルがボランチとも右SBともとれる役回りをして中村とともにボールを左右に散らす役割をこなす事で後ろから攻撃を支えていました。まあ15分までは殆どシュートが撃てなかったのですが、17分に左からカットインした乾がシュートを放ちこぼれ球を北川が押し込もうとした場面を皮切りに何度かシュートを撃つようになりました。
一方、藤枝はエスパがここのところ相手のウラへのロングフィードに苦しんでいたのを見てかいつもより最終ラインかGKから前線にロングフィードを入れてくる事が多かったのですが、いかんせん藤枝の前線で高さで勝負できるのが矢村とアンデルソンしかいなかったのと、エスパがロングフィードへの対策をきっちりとっていたために、思うようにボールを前進させる事が出来ませんでした。そこで藤枝は20分くらいからロングフィードを入れるフリをして両サイドに付けるボールも織り交ぜてきて、更にシャドウの杉田やトップの矢村がサイドに流れたりする事でウチが捕まえにくいようにする対応をとってきました。これにより16~30分の藤枝のボール支配率は60%まで上がったし、43分には中盤で後ろ向きでパスを受けた乾からボールを奪ってのカウンターから矢村が強烈なミドルを放ちました(権田がファインセーブ)。エスパは負けじと45+3分にブラガ、45+4分にCKから北爪が惜しいシュートを放ち、互角の展開のまま前半終了となりました。
4.更に攻勢を強めて先制した後半25分間
HTに「もっと緩急をつけるように」等の指示を受けて後半に入ったエスパは、いきなり46分に乾からウラへの絶妙なパスを受けた北爪がシュートを放つなど前半以上にぶ厚い攻撃を仕掛けてきました。ボールをテンポ良く繋ぎながら機を見て北爪、山原、北川らが相手最終ラインのウラをとって52分の乾、59分の北川(山原が乾とのワンツーでポケットをとってクロスを入れたやつ)などの決定機を作り、更に何度もセットプレーをとって圧力をかけました。この時間帯はエスパの方は「絶対先制する!」という気迫すら感じたし、藤枝としたら窒息寸前の状態だったと思います。ただこの時間で先制出来なかった事で、エスパが選手交代に出ます。64分にブラガに代えてタンキをトップに入れ、北川がシャドウの位置に移りました。
その3分後の67分、藤枝がボールを保持しているところからGKの北村が前線にロングフィードを送りますが、高橋が余裕で対応してヘッドで山原にボールを付けます。山原は間を置いてから左サイドのウラへ流れた乾へパス。乾はウラ抜けしようとしたタンキへボールを送る素振りを見せた後でその奥にいた北川へパス。北川はニアへ撃つ素振りをしてから落ち着いてファーへ流し込み、エスパが待望の先制点を奪いました。
この場面、直前まで藤枝がボールを保持していたのがポイントでした。前述したように藤枝はボール保持時は3バックのどちらかが前に上がる仕組みにしていて、この時も右SBの川島がエスパ陣まで上がっていました。で、山原がボールを持った時は横に近寄った中村にパスを横パスを出すのではと読んだのか同じ位置に留まっていました。が、そうなると本来川島がいるべきところは広大なスペースが出来ているわけで、それを見逃さなかった乾がそのスペースに流れ、それを見た山原が乾にパスを出したわけです。乾がパスを受けた時点で3対2の状態が出来ていて「勝負あり」の状態でした。乾と山原の機転が見事でしたね。勿論北川の落ち着き払ったシュートも見事でしたし、ウラ抜けを仕掛けてDFの中川創を釣り出して北川にスペースを与えたタンキの献身性も忘れてはなりません。本当に見事なゴールでした。
5.相手の攻勢も受けながら凌ぎ切った残り20分
先制点をとって優位に立ったエスパは、基本的にはボールを持つ時間を長くして時間を使いながら機を見て追加点を狙う形をとり、70分には山原のシュート性のクロス、85分には山原がシュートを放ちこぼれ球を矢島がもう少しで押し込めるかという場面を作りました。対する藤枝も前の方にフレッシュな選手を入れて対抗し、なかなか効果が出なかったものの、87分に吉田のクリアボールを西矢がヘッドで前に送って、これを矢村がダイレクトでボレーシュートを放ってエスパを慌てさせ、そこから90+1分に前田が吉田との競り合いに勝ってポケットに侵入した場面や90+3分に中川風が矢村とのワンツーでペナ内へ侵入した場面といったエスパにとっては危ない場面を作りますが、何とか凌ぎ切ったエスパルスが1-0で勝利をおさめました。
6.勝因と課題
繰り返しになりますが、この試合に向けてエスパはシステムを藤枝と同じ3バックにし、個の優位性を前面に出す事で勝ち切ろうとしました。なのでこの試合の勝因はその狙いがハマった事と、選手達がこの試合のゲームプランをしっかりと理解して戦い抜いた事だと思います。試合開始からどんどん前に出てテンポ良くボールを繋いで藤枝DFに圧力をかけ続け、ボールロストしても素早い切り替えと高橋、住吉の落ち着いた対応からボールを回収して再度攻撃をかける場面が何度もありました。特に後半の45~60分頃の攻撃は非常に迫力がありました。欲を言えばこの時間帯で得点出来ればなお良かったのですが、藤枝も非常に粘り強い守備をしていましたし、ああやって藤枝に圧力をかけ続けたから得点の場面で藤枝の方にわずかなスキが生まれたのではないかと思います。
一方でシュート数に見られるようにエスパが終始優勢に試合を進めたわけですが、藤枝が放った枠内シュート2本がいずれも非常に危険なシュートだったので、そこが反省点になるかと思います。特に取り上げたいのが前半のシュートですね。あの場面、まずボールロストの場所が悪く、奪ったボールを西矢にフリーで持ち出されたのが1つ目の反省点だと思うのですが、西矢から矢村がパスを受けた時、矢村と高橋、住吉の間は結構空いていてそれにも関わらず2人とも矢村に寄っていかなかったため矢村にフリーでシュートを撃たれてるんですよね。横を中川風がフリーランしていたのでそれに釣られたのはわからなくはないのですが、どちらか1人はいかないとダメですよね。そりゃ権田も怒りますよ。
それに派生しての気になるところなのですが、この場面のように相手ボールホルダーがフリーの時には最終ラインは相手のトップのウラ抜けの動きに合わせて下がっちゃう事が多いんですよね。そういう決まり事のようなのですが、下がり過ぎるとその分スペースを相手に与えてしまうのでもう少し我慢してラインをなるべく高く保った方がいいんじゃないかというのをずっと思っています。まあやり過ぎるとウラにボールを出されて失点しまくる恐れが出てしまうので難しいんですけどね。
この他にも課題はありますが、前述したようにこの日はほぼゲームプラン通りにプレーを遂行し、1点とって勝ち切る事が出来ました。ここ最近は横浜FC、山口にしてやられ、ホームの水戸戦も相手のアグレッシブさの前に苦しみました。そこから考えると狙い通りに勝ち切る事が出来たのは素直に讃えるべきだと思います。個人に目を向けても北川、乾、北爪らが攻撃で躍動していたし、矢村の危険なシュートを2本ともファインセーブした権田も見事でした。前半戦の折り返しとして良い試合が出来たんじゃないかと思います。
7.まとめ
これで前半戦が終了しましたが、勝ち点を43まで伸ばし、首位での折り返しが確定しました。とはいえあくまで後半戦に向けて優位なポジションをとれただけの話であり、気を抜く事は出来ません。ましてや次節からはアウェーでの試合が2試合続きますからね。次の愛媛FC戦も難しい試合になると思いますが、何とか勝ち点を積み上げて帰って来て欲しいと思います。一方で明日(6/12)は天皇杯の初戦がアイスタ日本平で行われます。週末の愛媛FC戦に向けて勢いを付ける勝利を期待したいです。
8.おまけ(この日の審判団)
この試合は審判交流プログラムで来日した主審のダミアン シルヴェストジャク氏ら3人が担当しましたが、判定の基準や試合を止める判断基準がしっかりしていて、ストレスなく試合を観る事が出来ました。驚くのはこのシルヴェストジャク氏の年齢が32歳である事。権田、乾、吉田より年下ですよ。そんな若くて優秀な審判をどうやって育成しているのかが非常に興味がありますし、せっかくの機会ですからそうした審判育成の部分も学んで欲しいなと感じました。
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