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2024年5月15日 (水)

富士山が綺麗で試合も良かった日(5/11 鹿児島戦)

 先週土曜(5/11)はアイスタ日本平での鹿児島戦でした。当日はブラジルデーと銘打って数々のイベントが行われ、僕もシュラスコを美味しく頂いたりサンバの生演奏を楽しんだりしました。

 またこの日は富士山が非常に綺麗に見えたんですよね。この時期はどちらかというとあんまりはっきりとは見えないイメージだったのですが、この日は日没までくっきりと良く見えました。大昔に日本平で行われた天皇杯の試合で試合に勝ったはいいけど内容が悪かったのを受けて当時のレオン監督が「富士山は美しかったけど」というコメントを試合後していたのですが、この日は美しい富士山が見えて試合も良かった非常に満足度の高い日となりました。

<明治安田J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>

 エスパルス 4ー0 鹿児島ユナイテッドFC

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1.エスパルスのスタメン

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 SUB:沖、北爪、原、西澤、松崎、西原、ドウグラス タンキ

 システムは前々節と同じ4-4-2に戻す一方、右SBは原テルではなく吉田を起用しました。それ以外は栃木戦と全く同じメンバーです。

2.鹿児島の戦い方

 鹿児島は今季3年ぶりにJ2に復帰してきたクラブです。昨季は浮き沈みの激しいシーズンで一時は5位に沈み8月下旬に大嶽さんが監督を解任されてしまいましたが、ヘッドコーチから昇格した大島監督がチームを立て直し、最後まで富山と争った末に得失点差でJ3の2位を勝ち取りました。

 持ち味は、この日見て改めて感じましたが、非常に攻撃的なサッカーで、前プレもしくは中盤でのプレスでボールを奪い、それを出来るだけ早く相手陣へ運んでゴールを奪い取るというサッカーを志向しています。非保持時はブロックの縦幅だけでなく横幅も狭めてその中でボールホルダーにチェックをかけてくる一方でボールを奪ったら横幅を広く使って両サイドから攻撃を仕掛けてきました。そのサッカーで序盤は千葉に勝つなど結果を残していましたが、5節に大分に0-3で敗れたあたりからなかなか勝てなくなり、12節からの3連戦でも1分2敗と調子を落としている状態でした。またここまで先制点を奪われる事が多く、特に試合開始15分以内での失点が多いのが課題となっていました。

3.電光石火の先制点

 そんな鹿児島との試合でいきなり試合が動きます。キックオフから繋いだボールをブラガが前に運んだところで藤村に倒されてファウル。この直接FKで矢島がゴール前に入れたボールを中村がヘッド。これが決まってエスパルスが1分に先制点を奪いました。矢島のボールの質が非常に高かったし、これに合わせた中村のヘディング技術やゴール前への入り方も見事でした。一方の鹿児島としては試合の入り方には注意していたはずですが、またしても試合の入りに失敗した格好となりました。

 これで勢いの出たエスパは優位に試合を進めます。CBやSBが持ったボールをボランチの2人+矢島が上手く引き取って前線の北川、ブラガ、カルリーニョスに繋ぎ、アタッキングサードに入ったところでは両SBも上がって両サイドから攻撃を仕掛けていきます。で、この試合で特徴的だったのはサイドから逆サイドのポケットにクロスを入れる場面が多かった事です。3分のカルリーニョスから逆サイドに飛び出した宮本へクロスが入った場面がその典型例ですね。恐らく鹿児島がブロックの横幅を狭めて圧縮して守備してくる分逆サイドが狙い所になるのを見越しての事ではないかと思います。エスパはその後も7分のブラガへのクロス、11分の吉田へのクロスと惜しい場面を作っていきました。

4.イヤな流れを変えた追加点

 しかし時間がたつにつれて鹿児島もエスパの攻撃のリズムに慣れてきてボールを奪えるようになり、少しずつ自分達の攻撃的なサッカーを見せるようになっていきました。鹿児島はCBに加えてSBもしくはボランチの3枚でビルドアップをスタートするのですが、その時にボールサイドのサイドハーフはサイドに張る一方でSBは内側のレーンをとってボランチのサポートに入る立ち位置をとってきます。それに対してエスパは基本的には2トップ+ブラガが後ろ3枚にプレッシャーをかけて後ろも連動して前にハメていくのですが、SBとしては自分の対面になるサイドハーフがサイドで張っているから前に出にくいんですよね。特に右はブラガが前にけん制をかけるのでその分ボランチの位置に上がった左SBの外山が空くわけです。更にトップ下の田中もイヤらしい動き出しをするのでこちらも捕まえにくく、30分頃のエスパは自陣に押し込まれる時間が長くなってしまいました。

 しかし自陣に押し込まれてからのブロック守備は堅かったと思います。鹿児島はポケットを取るのが上手いチームと聞いていましたが、それに対しては宮本、中村の両ボランチがしっかり付く事で侵入を許さず、サイドからのクロスも高橋、住吉がきっちりはね返す事で鹿児島にシュートを撃たせませんでした。またイヤなボールロストをする場面も散見されたのですが、そこからの所謂ネガトラが非常に早いために鹿児島のチャンスにさせなかったのも大きかったと思います。

 そうやって鹿児島の攻撃をはね返したエスパは38分、最終ラインの高橋から斜めのロングフィードを左サイドのスペースに入れ、これに山原が追い付く事で相手を自陣に戻らせました。これも鹿児島が横幅を狭めたブロックを作る事を知っていたからこそのボールですが、高橋が後ろからの組み立てにも貢献するようになったのは頼もしいですね。それによりペースを引き寄せたエスパは40分に山原が相手陣中央付近でファウルを受けて直接FK。山原のFKはGKの泉森のファインセーブに防がれましたが、これで得たCKで矢島が蹴ったボールを中村がニアでフリックし北川が押し込んで、エスパが2点目を奪いました。もう練習通りのゴールだったんじゃないかと思います。前半はこのまま2-0で終了しました。

5.選手交代による鹿児島の反撃

 後半、鹿児島はより攻撃に特長のある選手を2人入れて反撃に出ようとしましたが、入りはエスパの方が良かったです。引き続き両サイドから攻撃を仕掛け、更に前半よりもサイドチェンジの回数を増やして鹿児島のブロックを揺さぶって57分の吉田のクロスからの北川のヘッドといったシーンを作り、かと思えば62分にはバイタルエリアで矢島、ブラガ、北川と繋いで北川からカルリーニョスへのスルーパスといった惜しい場面も作って前半以上に鹿児島に圧力をかけていきました。

 一方で鹿児島も後半開始からトップに入れた鈴木が後ろからのロングフィードをよく収めて起点となり、そうしたロングフィードを前進させる手段を加える事で、試合を一進一退の展開に持ち込みました。エスパは後半開始にあたって前述した鹿児島のビルドアップにどう制限をかけるかを確認したはずですが、そこにロングフィードも織り交ぜられてきたので前半同様プレスを嵌められず、60分に千布にシュートを撃たれたり63分に危険なクロスを入れられたりと、ストレスのかかる時間が続きました。

6.反撃を封じた選手交代と追加点

 そこで秋葉監督が打った手が矢島に代えての原テル投入とそれに伴う3バックへの移行ですね。秋葉監督が試合後に仰った通りで、プレスが嵌らないから後ろのスペースを埋めにきたわけです。一方で3バックにしたからといってドン引きする策をとったわけではなく、「戦術原輝騎」と仰ったように原テルがボール保持時は右SBとも右インサイドハーフともとれる動きをするから前への圧力が落ちないのが今季の強みですね。エスパはこの交代後から再び鹿児島を押し込み始め、67分のカルリーニョスの強烈なミドルはまたもGK泉森に防がれましたが、それにより得たCKで山原が蹴ったボールを住吉がヘッドでねじ込んで3点目。山原のボールもさることながら住吉の身体能力の高さが光ったゴールでしたね。

 これでより優位な立場となったエスパは72分に前の3人を総取り替えして松崎、西原、タンキを投入。更に79分には山原に代えて北爪を入れて最後まで得点を狙う姿勢を崩さず、82分にはそれが実って西原が2点目のゴールを決めてダメ押し。試合は4-0でエスパルスが快勝しました。

7.課題と収穫

 最終スコアは4-0となりましたが、これまで同様終始鹿児島を圧倒したわけではなく、時間帯によっては鹿児島にペースを握られて思うようにいかない時間帯もありました。特に鹿児島の上手い位置取りにピン留めさせられて中盤のプレスが思うようにハマらなかったのは大きな反省点ですね。まあウチの守備は人を捕まえて強くいく形なので、そこを逆手にとってハメにくくされるのは苦手ではありますね。そこをどう修正していくかは考えないといけないでしょう。

 また流れの中から1点しかとれなかった事も課題の1つと捉えていいと思います。まああれだけがチッとブロックをコンパクトに作られると崩すのは簡単ではないですが、次節の横浜FCがリーグ最少失点を誇るチームで恐らく同様にブロックを堅くして守ってくるでしょうから、次節を考える意味でこの試合はどうしたらより良かったのかは考えて修正した方が良いと思います。

 一方で堅いブロックを作って守る相手に対して有効となるのがセットプレーなわけで、それで3得点出来たのは大きな収穫ですね。しかも3得点ともシチュエーション(FK or CK)、キッカー(矢島 or 山原)、決めた選手が全部違いますからね。「もう少しセットプレーでとれるようになるといいな」と思っていましたが、チームもそれを考えていてそれを練習で落とし込んでいたのがわかって嬉しいですし、次節以降の対戦相手には新たな悩みの種になるのではないかと思います。

 チームの戦いぶりとしても、なーんか得点機以外はモタモタしていて良い出来に見えないというわけではなく、チームでボールを動かしながらどこに穴があるかを探し、それを見つけたら一気にそこを突くという戦いが出来ていると思います。この試合に関しては開始1分で先制した分よりボールを持つ時間を長くするのを意識していたと思うのでそれでモタモタしているように見えたかもですが、そこは相手がある事ですし試合全体としてはしっかりゲームをコントロールしていたと見るべきと考えます。何と言うか試合運びが上手くなったなぁという印象を持ちました。(ずっとエスパルスを観ている身としては「エスパっぽくない」とか思っちゃいますけどねw)

 個人に目を向けると、1得点1アシストの中村、得点ランク1位に並んだ北川、ヘッドでホームでの初得点を決めた住吉など得点に絡んだ選手に目がいきがちですが、最終ラインを統率した高橋や攻守に献身的な働きをしたカルリーニョスも見事だったと思います。特にプレスバックから2度相手ボールを奪った場面は唸りました。だからカルリーニョスには点をとらせてあげたかったですね。

8.まとめ

 これで7連勝。2位との勝ち点差は7に広がりました。しかしながら折り返しまでの残り4試合に結構きつい相手が残っているので、油断は出来ません。特に次にアウェイで対戦する横浜FCは現在4位につけており、何とか勝って勝ち点差を縮めようと全力で向かってくるでしょう。こちらも油断する事なく最善の準備をして臨んで欲しいと思います。

9.追記・泉森はいいキーパーでした

 鹿児島は公式戦では今回が初対戦となりますが、失礼ながらウチに在籍した事のある井林と藤本以外は知っている選手はいませんでした。が、この試合でGKの泉森は名前を憶えておくべき選手だなと思いました。特に山原のFKは難しいボールだったと思うのですが完璧に止められたし、後半のカルリーニョスのシュートも強烈だったと思うのですが止められましたし。最終的に4点はとれましたけどいいキーパーだと思いました。他にも左SBの外山やボランチの藤村(考えてみれば彼は昨季金沢でプレーして対戦してたかも)もいい選手でしたね。アウェーでは脅威になりそうです。

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