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2024年5月21日 (火)

上位対決で完敗(5/18 横浜FC戦)

  先週土曜(5/18)、ニッパツ三ッ沢まで見に行ってきました。ニッパツ三ッ沢での試合観戦は2021年夏以来3年ぶりです。日差しは強いものの本当に良い天気で、雰囲気も最高でした。

 4位の横浜FCと1位のエスパルスとの対戦という事で双方のサポはもちろん気合が入っていたし、普段からJ2を見ている人からも注目されていました。実際試合前の雰囲気は最高でしたね。しかしながら結果はエスパが0-2で敗戦。内容的にも何もさせてもらえなかったので、試合後は悶々としてしまいました。

<明治安田J2リーグ 於 ニッパツ三ッ沢球技場>

 エスパルス 0ー2 横浜FC

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1.エスパルスのスタメン

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 SUB:沖、北爪、原、西澤、松崎、乾、ドウグラス タンキ

 スタメンは右SBに原を入れた以外は前節と同じでした。サブでは乾が4月のアウェイでのいわき戦以来のメンバー入りを果たしました。いかに良い状態で乾を投入できるかがカギかなと思ってました。

2.横浜FCの戦い方

 横浜FCとの対戦は3年ぶりとなります。2021年にJ2に降格した横浜FCは2022年に札幌でヘッドコーチをしていた四方田さんを監督に招聘し、現在NEC(オランダ)でプレーする小川の活躍もあって1年でJ1で復帰しました。しかし2年ぶりのJ1では開幕直後から苦戦を強いられ、途中戦い方を守備的な形にシフトした事で少し持ち直したものの残留争いで生き残るまでには至らず最下位に終わり、1年でJ2に戻る事となりました。オフにはブローダーセン、マルセロ ヒアンといった主力が抜けたものの、FWに森や櫻川を補強し、更に札幌で活躍した福森も獲得して昨季とほぼ同レベルの戦力を揃えてきました。

 システムは昨年守備的な形にシフトした時から採用している3-4-2-1。売りは15節時点でリーグ最少の9失点を誇る守備の堅さで、これをリーグ最多得点を誇る攻撃力を持つエスパがどう攻略するかがポイントの1つ。もう1つは総得点20点のうち9点をセットプレーからとっている事。今季加入した福森のプレースキックの精度の高さを最大限に活かしているわけで、システムや監督が四方田さんである事もあわせて考えると2016年にJ2で対戦した時の札幌が思い出されて、難しい戦いになるなと思ってました。

 実際に戦ってみて「2016年の札幌に似ている」という事前の予想は変わりませんでした。が、あのチームよりも厳しく前プレをやってくるという点は違いました。

3.試合の入りに完全に失敗した開始~17分

 横浜FCの戦い方はいたってシンプルでした。ボールを持ったら両サイドのウラへロングフィードを入れて1トップ+2シャドウ、更にはWBのうちの誰かを走らせ、前でボールをキープしたら残りの選手も上がる事でこちらの4バックに対して5トップをぶつけてきました。その上でこちらのCBとSBの間を狙ったり、片方のサイドへ寄せたところで逆サイドへサイドチェンジをしたりしてこちらの守備ブロックを揺さぶってきて、そこで崩しきれなくてもCKをもらってゴールを狙う。ボール非保持時はまずこちらの最終ラインに猛然とプレスをかけ、ボランチとSBもしっかり捕まえてチェックをかけて、こちらのミスを誘ってボールを回収し、そのボールを再び両サイドのウラへ送る。まとめるとこんな感じでした。

 このシンプルな戦いを高い強度で仕掛けてきた横浜FCに対し、エスパは完全に出遅れてしまいました。基本的にはいつも通り後ろからしっかり繋いでいく戦いでいった感じだと思うのですが、最終ラインや中盤でガツガツプレスをかけてきたのでビルドアップはままならないし、ボールを奪われたらシンプルにウラに送られて後ろに走らされ、5トップ気味で来る相手を捕まえられず、深いところからクロスを入れられるのでCKに逃げざるを得ない。そんな感じで、特に10分頃のカプリーニのシュートを皮切りに一方的に押し込まれるようになってしまい、最終的に17分にショートコーナーからガブリエウにヘッドで押し込まれて9試合ぶりに先制を許してしまいました。ガブリエウのシュートもさる事ながら福森のボールが見事でしたね。で、副審が最初オフサイドと判定したのを取り下げた事で(それだけではないでしょうが)審判にやたら文句を言うエスパサポが多かったですが、それ以前から15分にはニアですらされたボールをガブリエウにフリーで合わされ(シュートミス)、16分にはクリアボールを拾われてフリーでシュートを撃たれて、これが3度目だったんですよ。その意味では失点は時間の問題だったと言えるので、審判にあれこれ言うより自チームの状況を問題視すべきだと思います。(全体的にジャッジの基準がわからなかったという不満は僕も持ってますけどね)

4.システム変更も上手く機能しなかった前半残り28分

 この失点の直後、エスパは矢島を右WBに持っていっての3-4-2-1にシステムを変更しました。誰が誰を見るかを明確にしつつサイドのスペースを埋めるのが狙いと思われ、エスパは守備面においては落ち着きを取り戻し、それまでのように押し込まれっ放しという事はなくなりました。ただそれは横浜FCも同じなわけです。結果としてエスパはボール保持時には必ずボールホルダーにチェックをかけられ、思うようにボールを前に進める事が出来ませんでした。更に横浜FCはこちらの最終ラインのウラを常に狙っており、特に横浜FCがボールを後ろに戻したのに対応してエスパが全体を上げた時に合わせてウラ狙いのボールを入れてきたので、その度に後ろに戻させられてもう1度後ろから作り直すという事を繰り返す事になりました。

 ただボール保持時のエスパの選手達にも問題があったと思います。全体的に動きが少ないんですよ。相手がマンマーク気味に来るのはわかっているのだから誰かが動いてスペースを空けて他の選手がそのスペースを使う事を繰り返せばどこかでブロックに綻びを作る事も可能なはず。なのにそうした動きが少なくて足元にボールを貰いたがるんですよ。更にウラ抜けを狙う動きが少なかったのも不満です。それでは横浜FCのブロックの中で動いてるだけだから守りやすいですよ。そんな感じでしたので前半は何本かセットプレーを得るのが精一杯で、閉塞感を漂わせたまま前半を終了しました。

5.膠着状態を打開できなかった後半開始から25分

 後半開始時は選手交代をしなかったエスパですが、開始早々に北川が右WB山根のウラのスペースへ抜け出してCKを得た場面に見られるように明らかに動きが変わりました。恐らくは「ボールを持ったらタテに早くボールを運ぼう」「もっと相手のウラのスペースを突こう」といった指示や意識合わせがあったんじゃないかと思います。この後も47分には山原がサイドでカルリーニョスにボールを預けた後タテに走り出し、中村からのパスを山根が処理し損ねたのを拾って抜け出してロングシュートを放ったり、48分にはブラガがタテに動き出したのを見て矢島がロングフィードを送り、それをカットしたボールを北川が拾って最終的に宮本がシュートを放ち、相手に当たってCKを貰って、それが49分の中村のボレーシュート(ガブリエウがブロック)と51分のカルリーニョスのヘッド(市川に防がれる)という決定機に繋がっていったわけです。その直後にも自陣から権田→住吉→山原→カルリーニョス→宮本→カルリーニョス→原テルと少ないタッチでパスを回し右サイドでフリーのブラガに渡る場面を作り(ブラガがドリブルをミスして井上に防がれた)、53分に矢島、カルリーニョスに代えて北爪、乾を入れた後も55分に原テルがブラガとのワンツーからウラへ抜け出すなどのチャンスを作り、このあたりはイケイケの時間帯になっていました。

 ただ結果的にはこの時間帯で得点を奪えなかったのが響きました。期待された乾はまだ本調子ではなかったし他の選手も暑さのせいか少しずつ動きが少なくなり、そこへ横浜FCの前からの圧が再び加わって、エスパは17~45分の足元のパスを繰り返す戦い方に戻ってしまい、試合は再び膠着状態となってしまいました。

6.一番ボールを持てたけどゴールを奪えなかった残り20分

 65分にブラガに代えて松崎を入れても膠着状態を変えられなかったのを見て、秋葉監督は75分に原テル、宮本に代えて西澤とタンキを投入し、北川とタンキの2トップで西澤を左サイドハーフ、乾をボランチにしての4-4-2にシステムを変えてきました。まあ乾は殆どトップ下のような位置でプレーしてたので見た目は殆ど4-1-3-2でしたけど。狙いは3-4-2-1の横浜FCにシステムを合わせていたのを再びミスマッチ状態に戻す事で横浜FCを混乱させる事だったと思いますが、これがハマりました。横浜FCは両CBと中村以外の選手がガンガン前に出てくるエスパの選手を捕まえられなくなり、自陣でリトリートするしかなくなり、そこへ乾がバイタルへ侵入したり松崎がポケットまでドリブルで持ち込むなどしてきたため横浜FCとしては相当キツイ時間帯だっただろうと思います。

 しかしながらこの時間帯も得点する事は出来ず、逆にATにダメ押し点を奪われる事となりました。原因はTHE REALで秋葉監督が試合後仰っていた通りで、中央突破に固執し過ぎた事です。確かに5-4-1のブロックを組んでいて高さもある横浜FC相手に単純にサイドからクロスを上げるだけでは難しかったでしょうが、だからと言って真ん中を締めている横浜FC相手に中央をスルーパスやワンツーで崩す「だけ」ではどこかで引っかけられてボールロストするでしょ。もっとサイドにも散らして相手のブロックを広げる事をしないと。見返した時には北川、乾、松崎の3人でスルーパスの見せあいっこを見せられているようで腹が立ちました。

 で、相手ブロックを崩すためにもう1つ必要だったのが相手のウラを突く事。でもこの20分間でそれをしてたのってタンキだけだと思うんですよ。で、そのうち2回は上手くボールが入ってチャンスになりかけたんです。どちらもチャンスにはなりませんでしたが(1度目はトラップミス。2度目はパスのタイミングが雑過ぎて北川、松崎に渡らず)横浜FCのダメ押し点が途中から右WBに入った中村拓海のフリーランでパスを受けてのクロスから生まれているのを見ても、そうした動きをもっとしていれば、或いはもっと使っていればと思わざるを得ませんでした。

7.敗因

 以上、試合を振り返ってきましたが、まず横浜FCのこの試合に向けての策の落とし込みとそれを忠実に実行した選手達の戦いぶりに完全に上回られた事があげられます。試合終盤に足を攣る選手が出たあたり相当この試合に向けて気合が入っていたのでしょう。残念ながらそこで完全に上回られました。それは素直に認めないといけないと思います。(その戦いを助ける上でニッパツ三ッ沢のボールが走らない芝が作用したのもありますが)

 しかしながらこうしてみると、エスパ側の自滅の要素も結構あるんですよね。前半動き出しが少なくて足元のパスが多くなって相手に捕まえられやすくしてしまったのはまさにそうですし、後半せっかくシステム変更によってボールを持てるようになったのに中央突破にこだわって横浜FCに守られやすくしてしまったのもそうですよね。で、特に後者に関しては先制を許したのが前回敗戦を喫した山形戦以来で、それによる焦りが生じさせた要素が結構あるのかなと思います。何しろこれまでの15試合で先制を許したのはわずか3試合ですからね。気持ちはわからなくはないです。ただそんなヤワなメンタルで「自分達は強い」などと自慢する事など出来ませんよね。本当に強いチームなら1点ビハインド程度なら動じる事なくこれまでのサッカーを続けて同点逆転を目指してもらわないといけません。それを確実に行えるようにするためには相手にリトリートされた時にどう攻略するか、ミラーゲームにしたけど相手にハメられて上手くいかない場合にどう打開するかをチーム内で意識合わせして欲しいです。ヒントはこの試合の後半直後の相手よりも動いてパスを早く回して相手がリトリートし切る前に攻め込もうとした後半開始からの15分にあると思ってます。あの戦い方が今季のエスパルスのベースだと思うので。

8.まとめ

 横浜FCとの上位対決に敗れ他の上位チームも軒並み勝利した事で、ネットでは「J2もこれから混戦か?」とか言って喜ぶ向きもあります。実際次の水戸戦に負けるような事があれば更にそうした声が強くなるでしょう。しかし次はホーム・アイスタ日本平で戦う事が出来ます。最高の雰囲気の中で、混戦を期待する輩を黙らせる勝利を期待したいです。

9.おまけ・ちょっと負け惜しみ(汗

 ニッパツ三ッ沢球技場は球技専用という事でピッチとスタンドとの距離が近くて非常に見やすいスタジアムでした。が、メインスタンドの出入り口がホーム寄りに1か所あるだけなんですよね。僕はメインスタンドで観戦したのですが、おかげでスタンドの外に出るまでにえらく時間がかかりました。このへんは開場が1955年でその後何度かの拡張を経てのものだからでしょうね。もっと困ったのが回線状態の悪さ。スタジアム開場直後はそうでもなかったのですが時間が経つ毎に繋がらなくなってメール送信すら出来なくなったのには参りました。エコパのように山の上のスタジアムならともかく横浜駅から徒歩でも30分で行ける場所でこのような状態になるとは思いませんでした。

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