完敗(3/30 山形戦)
1.エスパルスのスタメン
SUB:沖、高橋、北爪、成岡、西澤、西原、千葉
前節怪我で試合開始早々に交代した乾に加えて北川も別メニュー調整だった事は聞いていましたが、カルリーニョスまでが不在。乾の代わりに松崎、カルリーニョスの代わりに松崎がスタメンとなったところまでは予想通りでしたが、北川の代わりにルーキーの郡司を大抜擢した事には驚きました。SUBには成岡が今季初めて入り、アカデミー出身選手が18人中5人を占めました。
2.山形の戦い方
昨季プレーオフ準決勝を戦った山形。4-2-1-3というウィングを置いたシステムで、後ろから丁寧に繋ぎつつ最後の崩しのところではウィングによるサイド攻撃を使ってくるスタイルは前任のクラモフスキーさんの頃から一貫しています。オフ期間中は強みとなるサイドのプレーヤーを中心に補強し、昇格に向けたライバルと目されていましたが、今季は開幕2連勝したもののその後4試合勝ち無しという状況となっていました。
その状況を打開するためでしょう。山形はメンバーとやり方を少し変えてきました。まず最終ラインで西村と共に不動のCBを担っていた熊本を右SBに入れてきました。おそらくウチのストロングである左サイド対策、特にカルリーニョスを抑えるためでしょう。で、熊本の代わりにCBに入ったのが前節左SBで今季初スタメンとなった安部。彼は今季徳島から移籍してきた選手で、本来のポジションはCB。ここ数年スペイン人監督の下でポゼッション主体のサッカーをしてきた徳島でCBとしてビルドアップのスタート役を担ってきた選手です。この安部に加えてCBの西村、右SBの熊本の3人でビルドアップをスタートする事でエスパの前プレに対して数的優位を保ちつつ前にタテパスを入れられる体制を作って来ました。
もう1つ変えたところは山形の攻撃の要であるはずのサイド攻撃。昨季までのイメージだとウィングの氣田、杉山がサイドに張ってSBと連携しながらサイドを攻略する事が多かったと思いますが、この日は左ウィングの氣田が中に入って来て空いたスペースをSBの吉田泰に使わせ、トップの高橋潤、右の杉山、更にトップ下の國分の5枚でこちらの4枚の最終ラインにぶつける攻め方をしてきました。
3.翻弄された前半
山形のこれまでとは異なる攻め方にエスパは大いに戸惑ったようで、5分には高江にポスト直撃のシュートを撃たれ、6分にはオフサイドになったものの杉山のシュートがゴールに入れられるといった決定機を続けて作られてしまいます。その後も何とか相手最終ラインに圧力をかけようとするも、安部から國分、高江へのパスで簡単にプレスラインを突破されてボランチと最終ラインが晒される事を繰り返し、ボールを持った時も山形がしっかり後ろを限定しながらプレスをかけてくるし、それに対してこれまでであれば両サイドハーフにロングフィードを送る事で相手を押し下げる事が出来ていましたが、この日は左のカルリーニョスがいない上に本来CBの熊本が待っているので右のルーカス ブラガに送るしかないけれどルーカス ブラガもそんなにヘディングが上手い選手ではない上に、山形の攻撃に圧されて最終ラインやボランチが上げられない状態なのであっさり回収される事の繰り返し。殆ど攻め手がありませんでした。
これに対して秋葉監督は26分頃から中盤のポジションを入れ替えました。白崎をトップ下に入れて松崎を右サイドにスライド。右のルーカス ブラガを左にスライドさせました。恐らく相手を背負った状態でもボールを扱える白崎を真ん中にして起点を作るとともに、ボール非保持時の前プレを強化するのが狙いだったのだろうと思います。が、これにより左で今まで組んだ事がないルーカス ブラガと山原が配置される事になり、2人の連携の悪さにより空いたスペースを山形に執拗に突かれるようになってしまいました。先制を許した場面がその典型で、山形が最終ラインの3人で回しているのに焦れたルーカス ブラガが中途半端に前に出ていた後ろのスペースに國分が入り込み、高江からのダイレからのパスを受けてボールを前に持ち出して氣田に繋がれています。こういう不用意なスペースを与えているようでは失点するのは言ってしまえば当然でしょう。前半終了間際に惜しいシーンがあったものの、エスパにとってはなすすべなく過ぎた前半でした。
4.及ばなかった後半
後半開始時、秋葉監督はいくつかの修正を施します。トップを郡司から千葉に代え、中盤のポジションも試合開始時の状態に戻しました。その上でまず後ろからしっかり繋いで攻める事と、その上で松崎に真ん中だけでなく両サイドに流れてボールを引き出す事を指示したと思われます。一方で非保持時はまずブロックをコンパクトに保つ事と、前プレに出る時は後ろも連動するようにしました。そのような指示を受けて入った後半早々の47分、ルーカス ブラガのウラへのスルーパスに反応した松崎が前に出ていた相手GKの後藤雅のポジションを見てシュートを放ち、惜しくも防がれましたが早くも決定機を作りました。これで自信を得たエスパは50分に左サイドからポケットまでドリブルで侵入した千葉のパスからの松崎のシュート、53分には松崎のクロスから千葉のダイビングヘッドと立て続けに決定機を作りました。この3つの決定機のうちのどれかが決まっていれば試合はわからなかったかもしれません。
秋葉監督は更に相手に圧力をかけるべく66分にルーカス ブラガに代えて西原を投入。しかし山形も69分にイサカ ゼイン、加藤の2人を前に入れて前プレの圧力を取り戻して次第にペースを引き寄せ、88分に高橋潤がダメ押し点を奪取。蓮川のプレーは軽率でしたが、加藤にフリーでクロスを入れさせた西澤の対応も問題でしたね。この後エスパは1点でも返そうと攻撃を仕掛けますがGK後藤雅を中心とした山形の守備を最後まで崩せず0-2で敗れました。
5.敗因
負けた直後は「やはり乾、北川、カルリーニョスの代役が郡司、千葉、松崎では辛かったか」という印象をずっと持っていたのですが、Xでフォローさせて頂いている方のnoteや動画を見て、加えて先程この試合の前半と後半の15分間だけ見直して、印象が変わりました。
一番の敗因は、山形がこの試合に向けてしっかり策をたてて準備をしてきたのに対して、エスパの方があまりに準備不足だった事ではないかと思います。まあエスパの方は乾に加えて北川も怪我で出場が難しくなり、更にカルリーニョスまで出場できなくなってしまった。特にカルリーニョス不在で戦わなければならなくなったのは試合の前日くらいだったのではないかと思います。そんな状況では準備もクソもなくてまず「誰をスタメンにするか」に意識が向くでしょう。だから準備不足の事で監督、コーチを責めるのは酷だと思います。
それでもスタメンの選手達にスカウティングに基付く対山形対策は伝達していたと思います。が、山形がこれまでと異なる戦い方をしてきて情報が殆ど役に立たなくなった。こうなるとどうしても後手になりますよね。前の選手はどこにプレスしたらいいかわからないし、後ろは自分達より多い人数で攻めこまれるわけですから。だから山形にしてやられたというのが一番の敗因だと思います。
ただ何とか巻き返そうと26分頃にポジションを変えたわけですが、これは失敗でしたね。二番目の敗因だと思いました。ルーカス ブラガの戦術理解を高く見ていたのかもしれませんが、結果として後ろが吉田なので上手くコントロール出来ていたけど、山原だと連携が出来ていない事もあって危険なスペースを作る事になってしまったわけです。まあまだ来日して3カ月たってませんから我慢しながら使っていくしかないですが、難しいところですね。
という事で試合が終わった直後は「郡司ガー、松崎ガー、千葉ガー」とついつい考えてしまってましたが、見直してみて実は別のところに問題があった事がわかったので、彼らに謝りたいです。松崎と千葉は後半開始15分の決定機に絡んでいるわけですし、前半あまりボールに触れなかった郡司ですがボールを持った時のプレーは結構良かったので、オフ ザ ボールの動きや非保持時のプレスのかけ方を身に付けてくれればと思いました。むしろ郡司と同じく今季初スタメンだった白崎の動きがどうにも緩慢だった事の方が気になりました。特に先制を許した場面では熊本から高江へのパスコースを消せなかっただけでなく、氣田のシュートに対する対応も緩慢でしたから。直前に宮本が身体を張ってブロックしようとしたのと比べてあまりに対照的でした。
6.まとめ
こうして厳しい結果となってしまい、更に3日後の明日(4/3)にまた試合が控えています。乾ら3人が復帰する可能性は低いように思うので、また若いメンバーに頑張ってもらわないといけないでしょう。準備期間が3日しかないので大して修正は出来ないと思いますが、ホームのアイスタ日本平で同じような負け方をする事は許されません。相手の徳島がどういうメンタル状況にあるかなんて関係ないです。とにかく全力で潰すつもりで戦って欲しいと思います。
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