会心の勝利(3/16 大分戦)
1.エスパルスのスタメン
SUB:沖、高橋、北爪、矢島、白崎、松崎、千葉
スタメンでは右サイドをそっくり変えてきましたね。住吉は前々節までスタメンだし吉田も右サイドは久々ですが守備は問題ないと思ってましたが、ルーカス ブラガをスタメンで使ってきたのは意外でした。長崎戦を見る限りまだトップコンディションではなさそうだったので、試合前は不安でした。サブでは報道通り千葉が入りました。ユース時代の映像はアウェーでの青森山田戦とか見ていましたが生では初めてなので、楽しみでした。
2.大分の戦い方
大分は2016年から6年間監督を務めた片野坂さんを再び監督に招聘しました。この6年間の大分は後ろからのビルドアップが非常に上手いチームで、前任の下平さんの時も同様のサッカーを志向していたのでてっきり後ろからしっかりビルドアップするチームを作るのかと予想していましたが、就任してからのチーム作りの中で片野坂監督がキャッチフレーズにしたのが「シームレスサッカー」。恐らくサッカーの4局面をよりスムーズにするという事だと思うのですが、開幕してからの3試合では前プレを今まで以上に仕掛けてきたそうで、恐らくは現代サッカーの要素を取り入れたサッカーを作ろうとしているのだと思います。
エスパは愛媛戦で厳しいプレスに晒されて苦戦したし、今季の大分は長いボールも入れてくるらしく、前節はそれに対応できずにミスを繰り返してしまったので、今節も苦戦するだろうと思っていました。
3.エスパルスが修正したポイント
ただエスパも前節の大敗を受けてきっちり修正してきました。主なポイントは3つあると思います。
①権田から両サイドハーフへのロングフィード
まずビルドアップで相手の前プレで詰められた時にCFの北川だけでなく両サイドハーフのカルリーニョス、ルーカス ブラガへのロングフィードを多めに入れてきた事です。前節までは後ろから繋ぐ事を優先させていて長いボールを入れる事は殆どなかったと思うのですが、この試合では相手のプレスを回避するためにこうしたフィードを多用するようにしていて、そのためにカルリーニョスとルーカス ブラガにはサイドの高い位置を保つようにさせてました。
松崎でなくルーカス ブラガをスタメンにしたのはこのためでしょう。まあ通ったのは多くなかったですが、大分が前プレに連動して後ろ、特に両SBとボランチを上がらせない効果を生んでいたと思います。また後ろから繋ぐのを諦めたわけではなく、SBにボールが渡った時はボランチの中村、宮本がきっちりフォローにしてボールを引き取って前に繋いでいました。この時もカルリーニョス、ルーカス ブラガが両サイドで高い位置を保っている効果が出ていて、大分のダブルボランチとしてはこちらの両サイドハーフも気になるし、乾も時折落ちて顔を出してくるのでそちらも気にしなければならないという事でなかなか中村、宮本に寄せられなくなり、それにより上手くボールを運ぶ事が出来ていたと思います。
②プレスに関する意思統一
前節の長崎戦の1失点目は山原と権田のミスによるところが大きいと思いますが、簡単にフィードを出させてしまった事も問題でした。それを受けてのこの試合では、プレスに行くときのタイミングが整理されていて、特に大分がボールを下げた時は北川、乾だけでなくカルリーニョス、ルーカス ブラガが迷う事なく前にプレスをかけにいってました。またそれに連動して全体が高い位置を保ち、大分の選手が苦し紛れに前にボールを出した時は前に出てボールを奪う事が出来ていました。プレスそのものの強度も高くボールロスト時の切り替えも早かったので、特に前半は大分に攻撃らしい攻撃をさせてませんでした。
③相手のロングフィード対策
そうやって前プレによって相手に自由に蹴らせないようにしたとしてもウラへボールを出される事はあります。が、それへの対策も施されていました。まず右CBに住吉が復帰。更に右SBに対人に定評のある吉田を入れ、ボール保持時は両SBにそれほど高い位置をとらないようにして相手にスペースを与えないようにしました。その上で蓮川、住吉にカバーリングの意識をしっかり持たせていて、サイドにボールが出た時は足の早い2人がきちんとカバーに入って穴を埋めていました。更に住吉はその身体能力を活かして空中戦も制圧し、大分の伊佐のポストプレーを起点とした攻撃を許しませんでした。
4.試合経過
以上の3つの修正が見事にハマったエスパは前半大分を押し込み続けましたが、大分GK濱田のセービングも素晴らしくなかなか得点出来ません。しかし26分、混戦から最後は宮本が押し込んでエスパが先制しました。この場面もいったんボールを取られたところでルーカス ブラガが寄せてパスコースを限定し、それに連動した乾が相手のパスをカットしたところから始まっています。このゴールにより勢いを増したエスパは更に大分を攻め立てますが前半は追加点を奪えず1-0で前半を終えました。
後半、大分は開始から野村のポジションをトップ下に移して真ん中での起点を増やし、60分には長沢など3人の選手を入れて攻撃の圧を強め、それによりエスパ陣内でのセットプレーを増やしていきました。エスパもカウンターから何度も決定機を作りますが追加点を奪えず、71分にはショートコーナーから藤原にどフリーでヘディングシュートを撃たれてしまいます。が、今度は権田が見事なファインセーブでゴールを死守。逆に73分には自陣からボールを運んだ山原が見事なシュートを叩き込み待望の追加点。これで気持ちに余裕の出たエスパは落ち着いて大分の攻撃をいなし、2-0で勝利しました。
5.反省点はあるけれど
これまで書いてきた通り、この試合のエスパルスは前節の長崎戦での大敗に対して気持ちを切り替え、修正点を話し合ってトレーニングでそれを落とし込んで、その成果を見事に見せてくれました。文句なしに今季一番の出来だったと思います。
ただ反省すべき点もあります。一つは追加点をなかなか奪えなかった事。26分に先制した後のエスパは更に勢いが出て、その中で決定機を何度も作りました。32分に山原がポケットに侵入してのクロス、44分のカルリーニョスが北川とのワンツーで抜け出してのシュート、45分には宮本から北川へのスルーパス。後半も63分にボール奪取からカルリーニョスがフリーで抜け出してのクロス、66分には北川から乾へのパスで乾がGKと1対1になった場面がありましたが、そのどれも得点に結びつける事が出来なかったんですよね。1点リードしてても決定機をモノに出来ないのが続いたら雰囲気がおかしくなるし、前述したように71分には大分に決定機を作られてます。そこで失点して慌てる事がないように、決めるべき時はきちんと決めないといけません。勿論相手のある事ですから簡単ではないですけどね。あとこれはシュートを撃った選手だけの問題ではなく、例えば66分の場面では北川のパスがちょっとだけズレて乾の足元に入り過ぎた事で少なくともダイレでは撃てなかったんですよね。だからシュートを撃つ選手だけではなくパスを出す方もより細心の注意を払う必要があると思います。そうした所に練習からこだわって欲しいですね。
あと前述の71分の大分の決定機も反省点の1つです。確かに大分のプレーが見事で、ショートコーナーにしてこちらの目線をズラした上にボールが入った時にそれまで少し後ろにいた選手が3人ほど前に飛び出してエスパDF陣の前に出て来ました。それに対してエスパの選手達はショートコーナーをして来た時に不用意にラインを上げてしまい、一方でボールが入ってきた時にボールウォッチャーになってしまって大分の選手の動きを見る事が出来てませんでした。まあ横から来るボールと前の選手を同時に見るのは非常に難しいので対応は簡単ではないのですが、ショートコーナーの時のゾーンを上げるタイミングを見直す事とボールを持つ選手への寄せをもっと厳しく行う事が必要ではないかと思います。
更に言えばこの試合では修正が上手くいきましたけど、これを受けて次の対戦相手も対策をとってくるので、更に精度を上げていく必要があります。とはいえ、1-4と大敗して1週間しかたっていない中でこれだけ見事な戦いを見せてくれたのは賞賛に値します。この日の戦い方をベースにして精度を上げていけば簡単に負ける事はないと思います。この試合ではそうした手応えを感じる事が出来ましたし、今後が楽しみになりました。
6.個人の寸評
MOMをあげるならボランチの宮本、中村のどちらかになると思います。2人ともBox to Boxを動き回って攻守に貢献してくれました。ただあえて1人に絞るなら先制点をあげた宮本ですかね。後ろのCBの住吉、蓮川の働きも見事でした。この4人が真ん中をがっちり固めているからこそ前の乾らが安心して自分達の能力を発揮できるのだと思います。初スタメンのルーカス ブラガについては賛否が分かれていると聞きますが、僕はまだコンディションが上がりきってない中でも十分役割を果たしてくれたと評価してます。特に守備で献身的に動いてくれた事に好印象を持ちました。ドリブル突破についてはまだまだ本領発揮までは至ってないと思いますが、それでもリーチを活かしての取られそうで取られないドリブルは松崎とはまた違った魅力を持っているなと感じました。
7.まとめ
前節のイヤな流れはこれで払拭できたと思いますが、この後中3日で千葉、秋田との連戦があります。次に対戦する千葉は今節鹿児島に4失点を食らって敗れていますが、その分ネジを巻き直してくると思います。それにホームですしね。また難しい試合になると思いますがメンタル面では再び良い流れにのってきたと思うので、その流れを途切れさせないような戦いを見せて欲しいです。
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