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2024年3月 7日 (木)

17年ぶりの開幕連勝(3/2 愛媛戦)

 先週土曜(3/2)はホームでの開幕戦となる愛媛戦でした。チケットの売れ行きは良く、好天にも恵まれて、約1万6千人もの観客がアイスタ日本平へ訪れました。

 試合は2-0で勝利。ホーム開幕戦での勝利は2015年以来で、更に開幕から2連勝したのは2007年以来17年ぶりとの事。これにはビックリしました。2007年といえばジェジン、フェルナンジーニョといった頼れる外国人選手がいて、和道、テルらの中堅、ベテランから兵働、淳吾、枝村などがいた好チーム(偶然にも先日引退を発表した岡崎が台頭してきた年でもありますね)でしたが、そこから17年もくずぶってしまったのかと思うとちょっと考えてしまいますね。

<明治安田J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>

 清水エスパルス 2ー0 愛媛FC

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1.エスパルスのスタメン

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 SUB:沖、北爪、吉田、矢島、西澤、西原、ルーカス ブラガ

 スタメンは前節と全く同じ。サブも白崎に代えて矢島を入れただけという布陣でした。

2.愛媛の戦い方

 昨季、J3で最終的に2位の鹿児島に勝ち点11もの差を付けてJ3優勝、J2復帰を果たした愛媛FC。「ノンストップ・フットボール」を標ぼうし、攻守に足を止めないアグレッシブなサッカーを築き上げてきました。前節は秋田の戦い方を踏まえてシステムを4-4-2と秋田と同じシステムで戦いましたが、本来の基本システムは4-2-3-1で、ボール非保持時は4-4-2の形から前プレをかけてサイドへ誘導し、誘導したサイドへブロックを圧縮してボールを奪い切り、そこから前に早くボールを運んでゴールを狙う。攻めきれずボールロストしても即時奪回を狙って前プレをかけるというスタイルとの事。要は志向するサッカーのスタイルが割と今季のエスパと似てるんですよね。その上J2同様魔境となりつつあるJ3をぶっちぎりで優勝した分チームの完成度はエスパより高いでしょうから、「難しい試合になるかも」と思ってました。

3.大苦戦した前半

 そうは言ったものの、前半の苦戦は予想以上でした。愛媛の前プレの圧は前節の熊本より上で、権田ですら試合開始直後は何本かフィードをミスるほどでした。更に厄介だったのはシステムが同じだった事。前節の熊本は3バックだったので、サイドで数的優位が作れて、3バックの両脇にもスペースがあったので中盤でのプレスを回避する事が出来ましたが、この日はサイドで同数になります。その上でサイドにボールが入ったら愛媛のSBがこちらのサイドハーフ、サイドハーフがこちらのSBをがっちり捕まえてボランチと連携しながらボールを奪いにきました。特に狙われたのが右サイドで、まだ原と松崎との連携が完全ではなく右CBの住吉も蓮川ほどには気の利いたパスが出せないので、原や松崎にボールが入ったところを狙われて奪われる場面が多かったです。また愛媛も右にボールが渡るように制限をかけていたと思います。勿論真ん中はガッチリ締められているし、それに対して何とかボールを持ち出そうと中村や宮本、更に乾が落ちてくるのですが、そうなると北川が完全に孤立してしまうという事で、なかなか攻め手が見いだせませんでした。

 エスパもボール非保持時、特に相手のGK等でセットした状態からは前からけん制をかけてボールを自由に前に出させないように出来ていましたが、その場合は愛媛は割り切ってウラ狙いのボールを出す事でこちらのブロックを押し下げてきて、その上で前プレをかけるといういやらしい戦いをしてきたし、それでイヤなボールの奪われ方をしてピンチになる場面が多かったです。ただ今季はネガトラになった時の対応が早くなっていて、少なくとも前半は対応出来ていたし、ボール保持時もサイドでカルリーニョスがボールを受けてから中へボールを持ち出すなどしてチャンスを作れるようになり、愛媛が同サイドに圧縮して守ってくるのを逆手にとってのサイドチェンジからカルリーニョスがシュートを放った43分の決定機も作れるようになって、一進一退のまま前半を終了しました。

4.北川覚醒

 試合後の秋葉監督のコメントでは、後半に入るにあたってポジションの修正を指示したとありました。詳細は不明ですが、恐らくSBにもう少しハーフスペースのレーンを意識させる事と、ボランチの一方が下がった時にもう一方が下がり過ぎないように(あと乾も)というところじゃないかと思います。ただ後半の入りも愛媛が積極的なプレーを見せ、試合は一進一退の展開になり、55分には窪田に決定的なシュートを撃たれるなどどっちに転んでもおかしくない展開でした。

 が、58分に均衡が破れました。

 最終ラインの左でボールを受けた山原がサイドへ張っていたカルリーニョスへパス。カルリーニョスがそのボールを横に入ったた中村へダイレで渡すと、中村はダイレでリターン。そのボールをハーフスペースのレーンへ走り込んで受けた山原がフリーで持ち出して、左の前で張っていた乾へパス。乾は自ら持ち出すフリをして逆サイドの松崎へサイドチェンジ。松崎が左足で早いクロスを入れると、ここに走り込んだ北川が薄く合わせてゴール。山原のハーフスペースを使った持ち出し、乾のサイドチェンジ、松崎のクロスの精度と北川のシュート技術が融合した見事なゴールでした。

 これで勢いの出たエスパは、ちょうど愛媛が飛ばし過ぎで足が止まってきたのも重なって、エスパが優勢に試合を進めるようになりました。61分からの15分間はエスパが73%ものボール支配率となり、67分の山原と北川の連携からの決定機を作りました。が、愛媛もやられっ放しで終わらず、68分と75分に選手交代を行って再び前プレを行えるようにし、69分に蓮川のミスから窪田がシュートを放つなどのチャンスを作ります。更に78分にもベン ダンカンと窪田が連続でシュートを放つという最大の決定機も作られるなど、終盤の15分は逆に愛媛にボールを持たれるようになりましたが、89分、サイドでボールを受けた山原が途中出場の西原にボールを預けてすぐハーフスペースのレーンを走り出し、西原からのリターンを受けて持ち出すという先制点と同じ形で愛媛を裏返させ、フリーの乾へパス。乾はタメを作ってから右足アウトで絶妙なラストパス。走り込んだ北川が合わせて2点目を奪取。こうして決めるべき人である北川が決めるべき時に点をとったエスパルスが愛媛を下し、連勝を飾りました。

5.課題・反省点

 こうしてエースである北川の覚醒によって勝つ事の出来たエスパルスですが、決して楽な試合ではなかったのは誰もが一致する事だと思います。その要因の1つは愛媛が良いチームだったからなのは確かでしょう。前プレの圧力は相当なものでしたし、これでこの日は途中から出場しましたが昨季は不動のトップ下として攻撃のタクトを振るった石浦が最初から出場できるコンディションだったらと思うとゾッとします。前述の78分の決定機に至る場面で狭い所を通す見事なスルーパスを出してますからね。

 同時にエスパの方にまだまだ整備不十分な部分が多かったというのも大きな要因ですよね。まずボール保持時、いくら愛媛の前プレがきつかったからといってあれだけバタバタしているようではJ1に復帰した時を考えると頭が痛いところです。それでも左はカルリーニョスと山原がお互いの立ち位置を見てサイドに張るかハーフスペースに立つか判断して動ける関係を作れている(前半は上手くいってなかったけど)ので何とかボールを持ち出せる時もあったんですけど、右の原と松崎に関してはまだそこまでの連携は出来ていない感じですし、そもそも松崎が相手SBの山口にきっちり付かれたからかポジション取りに苦労していた感じだったので、それらを整理して右からもボールを持ち出せる形を作って欲しいです。

 ボール非保持時に関しては、前半はボールの取られる場所が悪かった割にはネガトラの意識が高かったおかげで決定機を作らせませんでしたが、後半の55分、69分、78分と3回決定機を作られたのは不満です。まあ69分は割と単純なミスからなので、ある程度致し方ないと思ってますが。55分のやつは愛媛の後ろからの繋ぎに対してエスパが2トップに加えてカルリーニョスまでがけん制をかけて、相手が前にボールを入れたところでボールを奪おうとしたんですけど、蓮川が窪田にプレスを外され、そのボールを拾った松田が蓮川の後ろのスペースにパスを出されてるんですよね。まあ蓮川がチャレンジして外されたのはある程度覚悟の上だと思うので、むしろ松田がボールを拾ってパスを出すまで時間があってかつ宮本と中村が近くにいたので、彼らが松田にもっと圧をかけてボールを出させないようにしないといけなかったかなと思ってます。あと78分の決定機については、石浦のパスが素晴らしかったのもあるのですが、ちょっと全体が下がり過ぎたと思います。ちょうと愛媛のゴール前でカルリーニョスが倒れていて数的不利だったのでそれで下がっちゃったのかもしれませんが、そこは一歩踏み止まってより前でチェックにいくべきだったかなと思います。カルリーニョスがいたサイドとは逆のサイドからでしたので。

6.まとめ

 他にも相手がこちらのブロックへ入った時の守備など整備すべきところは多々あると思います。ただ前節の熊本戦の記事でも書きましたが、この時期に100%の状態である必要はなく、むしろ課題はあって当たり前だと思います。それにこの日は相手の前プレを剥がすのに大変苦労しましたが、それを剥がした時に一気に相手ゴール前に人があふれ出てきて数と質で相手を殴り倒すという形は熊本戦同様表現されていました。プレスの剥がし方についてもハーフスペースのレーンを有効活用する形は作られつつあります。何より一番点をとって勢いに乗って欲しかった北川が点をとって勝利に繋げる事が出来たのは今後に向けて非常に明るい材料です。更に権田も後半の再三の決定的なシュートを悉く止めてクリーンシートに貢献してくれました。ここ数年ではかなり良い部類のスタートである事は間違いないので、そこは自信を持っていいと思います。

 次節はアウェーでの長崎戦。リーグ戦では2試合勝ちがない状態である分、この試合では気合を入れてくるでしょう。この試合も厳しい試合になるでしょうが、アウェーとはいえ何とか勝ち点3を持ち帰って欲しいです。

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