3連勝(3/24 秋田戦)
1.エスパルスのスタメン
SUB:沖、高橋、北爪、西原、白崎、松崎、千葉
3連戦の最後という事でスタメンを少し入れ替える事も考えられましたが、前節と全く同じメンバー。それだけ今のチーム状態に自信を持っているのでしょう。サブでは西澤に代わって久々に西原が入りました。
2.秋田の戦い方
秋田の戦い方は吉田謙監督就任以降一貫しています。ボール非保持時は4-4のブロックをコンパクトに保ち、ボールホルダーがブロックの中に入ったところで人数をかけて奪う事を狙い、奪えなければ撤退して自陣で人数をかけ身体を張ってはね返します。一応前プレもかけますが、ブロックの中に入ってきた時が勝負、という感じで、そこで奪い切れるようにブロックの幅を圧縮して、ボールホルダーに複数の選手がチェックをかけやすくしているようです。一方でボールを奪ったら手数をかけずにタテに早くボールを運び、サイドからどんどんクロスを入れ、防がれたとしてもCKやスローインを獲得して、そこからボールを中に入れて得点を狙い、それを辛抱強く何度でも繰り返すという独特のスタイルを持つチームです。その過程ではボール保持の時間やアクチュアルプレーイングタイムにはこだわらず、とにかく真ん中で高さと強さで勝負を何度も仕掛けてゴールを奪い、ボール非保持の時はしっかりブロックを保ちつつボールホルダーに厳しくチェックをかけ、最後のところでも自由にやらせないというエスパからすると非常にやりにくいチームという印象ですね。
3.試合経過・前半
その秋田との昨季の試合には乾が1度も出ていなかったので、彼がどれだけ違いを出せるかがカギだと思っていたのですが、腿裏の違和感のため6分に交代しなければならなくなりました。また秋田がこれまでと違って最終ラインへいつもより多くプレスをかけてきたため、開始からの12分間は秋田にペースを握られたのですが、12分に住吉から右サイド裏へのロングボールをルーカス ブラガが才藤と競り合いながらペナ横までボールを前進させたあたりからエスパがペースを奪い返し、15分からの30分間は74%ものボール支配率で秋田を揺さぶり続けます。そして26分、左サイドからのCKは一旦弾かれましたが、こぼれ球を繋いでカルリーニョスが右からクロス。そのボールがファーポストに当たって跳ね返ったところを北川が押し込んで、エスパルスが先制点を奪いました。エスパはその後もボールを握って秋田を揺さぶり続け、41分に小松に危険な形でシュートを撃たれましたが前半の被決定機はそれくらいで、1-0で前半を折り返しました。
4.試合経過・後半
後半もエスパがキックオフのボールを繋いで早々にCKをとるなど前半15分頃からの流れを引き継いだような入りを見せたのですが、49分に蓮川がゴール前でクリアしようとしたボールが吉田に当たって蓮川の顔を直撃し、そのこぼれ球を小松に拾われて再び決定的なシュートを撃たれたあたりから秋田が少しずつ前への圧を強めていきます。秋田は更に56分、61分に選手交代で2トップの一角と両サイドハーフをフレッシュな選手に入れ替える事で攻撃の圧を更に強めてきました。このあたりの60~70分あたりがこの試合で一番イヤな感じになったと思うのですが、秋葉監督もそれを察知してか69分に白崎と西原を入れて両サイドハーフに配置。74分にその2人によって決定機が生まれました。まず白崎が自陣左サイド深くで仕掛けてきた大石からボールを奪って真ん中へパス。そのボールをトップに入っていたカルリーニョスが相手を背にしながらダイレで右へはたいてボールはフリーの西原へ。西原は一気にペナ近くまで持ち出してシュートを放ち、DFの喜岡に見事なカバーリングで防がれたものの、これで試合の空気は一変。終盤ボールこそ秋田に持たれたものの、エスパはカルリーニョス、西原によるカウンターをちらつかせつつ87分に高橋を入れて3バックにして守備ブロックを強固にし、そのまま1-0で勝利しました。
5.終わってみれば盤石でした
秋田は前述した通り自陣ゴール前でも相手ゴール前でも強さと高さを全面に出してガツガツ来るチームです。そういうチームは元来エスパが苦手としてきましたし、この日も試合中は冷や冷やしながら見てましたが、終わってみれば盤石の試合だったなぁと思います。そういう試合に出来た要因を以下にあげてみます。
①狙い通りにボールを動かせた事
秋田は前述した通り4-4のブロックをコンパクトに保って、ボールが入ってきたところで人数をかけてボールホルダーにチェックしてくるチーム。だから安易にタテパスを入れようとしても通す事が難しいわけです。なのでエスパは大分戦と同じく両サイドハーフのカルリーニョスとルーカス ブラガにロングフィードを当てる事で相手のブロックの幅を広げようとしました。時にはウラへボールを出してサイドハーフを走らせてサイドで起点を作り、そこへSBやボランチがフォローしてサイドからボールを前進させたり、相手がサイドに人数をかけたところで北川が真ん中から少し下がってボールを受けて逆サイドへボールを回したりして秋田を揺さぶっていきました。更に効果的だったのはサイドチェンジで、前半だけでざっと数えて10回はサイドチェンジを仕掛けてました。秋田は前述した通りブロックの幅が狭く、特にサイドにボールがある時はボールサイドへ寄せてくるのでサイドチェンジは効果的なわけです。特に左のカルリーニョスから右のルーカス ブラガにサイドチェンジして局面がガラッと変わったシーンがあって、それでスタンドが湧きましたよね。そうやってピッチの幅いっぱいを使ってボールを回す事で秋田にボールを容易に渡さなかったのが大きな勝因の1つだと思います。
②試合展開を予測してのリザーブ構成
秋田の攻撃を支えるのは2トップと両サイドハーフの運動量です。だから後半になれば選手交代でフレッシュな選手を入れて圧を強めようとします。秋葉監督はそれを予想して、リザーブに西澤ではなく前への推進力がある西原を入れたのだろうと思います。実際その効果はてきめんで、秋田に大きなプレッシャーを与えました。そうした秋葉監督の狙い通りの働きをしてくれた西原の今後は楽しみですが、その西原のストロングポイントからこの秋田戦で使うのが良いと判断してサブに入れた秋葉監督のゲームプラン作りも冴えていたと思います。
③強さ、高さで負けなかった事
ここまで攻撃の事について書いてきましたが、勝因として一番大きいのは強さ、高さを前面に出してくる秋田に強さ、高さで負けなかった事ではないかと思います。前半は①で書いた通り狙い通りにボールを動かして秋田にボールを与えませんでしたが、後半になると秋田が前への圧を強めてきて、押し込まれる時間帯が結構ありました。そんな時間帯でもサイドにボールがある時はSBとサイドハーフがボールホルダーに強く寄せる事で容易にクロスを入れさせず、入れられても両CBがしっかりはね返し、セカンドボールにボランチが素早く反応して秋田に二次、三次攻撃を容易にさせませんでした。その中で激しいぶつかり合いがあちこちでありましたが、エスパの選手達は決して負けていませんでした。そうした「フットボールの本質」のところで秋田に全くひけをとらなかったのが一番の勝因じゃないかと思います。
6.乾が抜けた影響は?
さてこの試合は開始早々に乾が負傷交代した事が大きなトピックでした。それがこの試合のエスパに影響を与えたかについて少し触れたいと思います。あくまで個人的な印象である事はご承知おき下さい。
まずボール保持時にボールをアタッキングサードに運ぶところまでについては、①で書いた通りまず両サイドハーフのところで起点を作ってそこからボールを前へ運んでいくというやり方をとったので、殆ど影響はなかったのではないかと思います。真ん中はきっちり締められてましたし、乾には相当警戒していたみたいで、2度ほどボールを持ちましたがいずれもすぐチェックを受けてボールを奪われてましたから、もしかしたら乾がずっとプレーしていたらボールロストの回数も増えてピンチになっていたかもしれません。まあそこは乾もわかっているでしょうから、サイドへ流れてサイドでのボール回しに上手く絡んでいたかもしれませんが。
一方でアタッキングサードでの最後の崩しのところでは乾の不在が影響したかもしれません。彼のゴール前でのラストパスやその一個前のパスを出す技術は一級品ですから、その彼がいない事が強固な秋田のブロックを崩し切れなかった要因のように感じます。松崎は間でボールを受けるのが上手い選手ですが、ラストパスの精度については乾と比べるとまだまだですからね。もっとも今回はあまりに突然の交代出場でしたから上手くいかなかったのは当たり前かもしれないです。その意味では今後も乾不在の試合はあるでしょうから、その場合の代役候補(松崎、白崎あたり?)にはしっかり準備しておいてもらいたいなと思います。
7.まとめ
これで3連勝。早くも3位と勝ち点4差をつける事が出来ました。ただまだ6試合終わっただけですし、今週土曜から山形、徳島、甲府といった難しい相手との連戦がありますから、それに向けて更にチーム力を上げていかなくてはなりません。次の対戦相手の山形はここ4試合勝てていないようですがその分ネジを巻き直してくると思うので、これまで同様最善の準備をして試合に臨んで欲しいです。
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