久々の快勝(9/9 山形戦)
先週土曜(9/9)はホーム・アイスタ日本平での山形戦でした。前日に台風が東海地方に上陸するかもという事で天候が心配されましたが、幸い清水の方には影響はなく(被害にあわれた房総半島の皆様にはお見舞い申し上げます)、晴れて気持ちの良い天候の中での試合となりました。
試合の方も3-0で勝利。複数得点差をつけての勝利は7月の仙台戦以来という事で、安心して見ていられる試合でした。尤も山形相手に前半3点リードしての折り返しという展開はどうしても2015年GW頃の悪夢を思い出させるので、正直それに伴う不安もちょこっとありましたけどね(汗。
<明治安田生命J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 3ー0 モンテディオ山形
エスパルスのスタメンは以下の通りです。
SUB:大久保、北爪、吉田、宮本、神谷、西澤、ベンジャミン コロリ
2試合出場停止から明けた乾がスタメンに復帰。一方でカルリーニョスが出場停止でしたが、代役として右サイドハーフの中山が左に回り、空いた右には岸本が入りました。
ここ2試合ドローに終わっている事に対し、前日の練習後に秋葉監督は「秘策を用意している」と仰っていました。試合後のコメントを見た限りでは明確にわかるものではなく微妙な調整程度の事だったようですが、ボール保持時の微調整のポイントは
・ボランチが後ろに落ち過ぎない事
・アタッキングサードでサイドにボールが入った時に誰かがポケットを狙う事
の2つじゃないかな、と感じました。
CBがビルドアップする時、これまではボランチが2人ともCBのラインまで下がる場面が散見され、それによって前が手薄になってボールを前に運びにくくなる弊害が見られました。が、この日は白崎もホナウドもなるべくCBの前の位置を保つようにして、それによりCBからSBにボールが入った時に素早くSBに寄ってボールを引き取るようにしていました。とはいえ、山形も当然こちらのボランチをケアしているのでそれだけならやりやすいでしょうが、この日のエスパは乾がこちらのボランチとSBの間まで落ちてSBからボールを引き取る役割をボランチと一緒になってやってたし、SBもしくはCBから内側に入ったサイドハーフにパスを入れる場面もあったりしたので、山形としてはなかなか前でのボールの奪いどころがない状態だったのではないかと思います。
そうやってアタッキングサードまでボールを運ぶと、山形は4-4のブロックを敷いて人数をかけて守ってきたので、最初は前節と同じ展開になる事を懸念していました。が、これまでと違ったのはエスパの選手達が足を止める事なくボールを引き出す動きを繰り返していた事。特に両SBの後ろをとる動きとポケットを狙う動きは多く見られました。それが実ったのが先制点の場面ですね。山原が左サイドでボールを持った時に乾が相手のSBとCBの間からハーフスペースに侵入してボールを受け、サイドの奥までボールを運んでから後ろの山原にパス。山原は中にいた白崎にパスした後、相手右SB川井を引き連れながらポケットの位置へフリーラン。それらの動きに山形のCBが気をとられたのを横目にサンタナがCBから離れ、白崎からのパスをダイレでゴール右隅へ流し込んでエスパが先制に成功しました。やはりサイドからの単純なクロスよりもゴールにより近いポケットをとられてのクロスの方が相手としたらイヤですからね。この場面ではそうした動きを2度行っており、それにより相手の注意を左に引き付けてその分中央のスペースを空けさせる事で生まれた見事なゴールでした。この日は他にも岸本が右サイドのウラをとって侵入しハーフスペースに走り込んだ原テルへパスを入れたり、中山が左サイドのウラをとってそのままポケットに侵入してシュートを放ったりという場面がありましたが、これらの場面でもチームとして狙っていた事がしっかり実践できていたのではないかと思います。
ただこの日は守備(ボール非保持時)のやり方が機能していた事が一番大きな勝因だったと思ってます。山形はボール保持時は最終ラインのうちどちらかのSBが前に出て残りの3人でビルドアップをスタートさせ、一方で両ウイングがサイドの高い位置に張り出して、中盤の3人プラス1人でボールを繋いで真ん中の藤本に差し込むかサイドにボールを渡して前進させる形でした。これに対してエスパはサンタナと乾が両CB、サイドハーフが対面のSBというようにある程度選手ごとに相手を決め、その上で最終ラインやボランチも高い位置をとってなるべく中盤でのパスコースを限定し前でボールを引っかけてカウンターを狙う形をとりました。エスパのこの圧に対して最初山形はなかなかパスコースを見出せず、両ウィングやCFの藤本をウラへ走らせるしかない感じでした。
ただそれで引き下がる山形ではなく、先制してからはSBから前の選手に対して斜めのパスを差し込むようになりました。これに対してはエスパも最初はなかなか対応出来ず、何度か相手にチャンスを作られてしまいました。特に先制した直後のイサカゼインがこちらの左サイドを突破してクロスを入れあわやチアゴアウベスが押し込むかという場面(原テルがチアゴアウベスと競り合いながらクロスをカットし、こぼれ球を権田がクリア)と、サイドチェンジのボールを受けたチアゴアウベスのカットインしてからのシュート(権田がファインセーブ)の2つはやられてもおかしくない場面でした。この2つの場面で失点していたら勝てたかどうかもわかりませんでしたが、2つとも失点しなかったのは大きかったですね。更に良かったのはこうした場面があった都度、試合が止まったところで選手達同士でコミュニケーションをとって修正していった事。飲水タイムで指示もあったでしょうが、最終ラインを簡単に下げない事とそのためにも相手最終ラインへの圧を強める事がより徹底されて、それにより山形の攻撃の勢いを少しずつ削ぐ事が出来ました。そしてその流れを決定付けたのが30分の2得点目。乾から中山へのパスがカットされたのですが、カットした川井からパスを受けたCBの熊本がボランチの高江にパス。そこへ猛然とプレスをかけた乾が高江がトラップでもたついたところを逃さずにボールをかっさらってドリブルし、シュートブロックに入ろうとしたCBの西村を引き付けて走り込んだ岸本へパス。岸本はGKのニアサイドの空いたところへ流し込むシュートを決めたというものです。なるべく前でボールを奪って仕留めるというのはチームとして狙っている形ですから、これまた狙い通りのゴールですよね。この場面での乾の所謂ネガトラの早さと相手がもたつくのを逃さずボールを奪う技術は秀逸の一語ですね。他の選手達もポジトラ、ネガトラを早くやるというのは徹底されてましたし、そうした意識を持ってかつ全体をコンパクトにして戦う事が出来れば、チームとして主導権を握る事が出来ますよね。終了間際にはセットプレーから高橋が移籍後初得点を決めるし、チームとしてやりたい事がかなり高い割合で具現化できた前半だったのではないかと思います。
後半、山形は後藤と藤田を入れて、特に後藤の前への動き出しを上手く使って再びボールを前に運べるようになりました。それによりエスパは押し込まれる展開が続きましたが、やはり3点をリードしているという事でまずは安全運転というのを意識しつつ失点は許さないという戦いが出来ていたと思います。サスペンションにリーチがかかっているサンタナとホナウドは早めに下げ、時間帯に応じて3バックにして相手の攻撃をはね返し、ボールを奪ったらカウンターを狙うけど、相手が早く帰陣したら無理をせずにボールを握る時間を増やす事を優先するという、何と言うか「成熟した大人のサッカー」というのを見せてくれたと思います(褒め過ぎかなw)。そんな中でも途中から左サイドハーフに入った西澤がボールを上手く散らして攻撃にアクセントを加えてくれたし、右の北爪、左の吉田もさすがの安定感を見せ、結局エスパルスが3-0で3試合ぶりの勝利を飾りました。
反省点がないわけではないです。前述した山形が後ろから斜めからパスを差し込んでくるのに対して最初は手間取ったのが1つありますし、2得点目の少し前に起きた相手陣でボールロストしてから一気に前にボールを運ばれて1対2と数的不利な状態になった場面(チアゴアウベスからのパスがイサカゼインに渡る直前にノリさんがカットして事無きを得た)については、何故そうなったのかをチーム内で議論して修正する必要があると思います。また個人に目を向けると山原は1対1の応対に関してもう少し修行が必要ですね。試合直後には「山原は思ってたより頑張ってた」とXに投稿したのですが、見返すと前述した前半の2つの大ピンチの両方に絡んじゃってるので(汗。とはいえ秋葉監督が「秘策」と仰った微調整の部分をしっかり吸収し試合の場で表現した上で勝てたというのは大いに評価すべき事だと思います。個人に目を向けてもノリさんの安定感は流石だし、チアゴアウベスをきっちり抑えた原テルも見事。両サイドハーフの中山、岸本はカルリーニョスの穴を感じさせない働きをしてくれましたし(特に岸本)、久々復帰の乾も大いに存在感を見せつけてくれました。34試合目にこのような狙い通りの戦いが出来た事は自信になると思いますし、残り8試合に向けて弾みが付くんじゃないかなと感じました。
次節はアウェイでの金沢戦。このところ元気がないようですが、ベテラン監督の柳下さんが降格阻止のために思い切った策を用いる可能性もありますし、何よりアウェイですから油断は禁物です。勝ち点3を奪うべく最善の準備をして欲しいと思います。
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