切り替えの早さ(5/28 金沢戦)
先週日曜(5/28)はホーム・アイスタ日本平での金沢戦でした。アイスタでの試合はここ2試合天候に恵まれなかったのですが、この日は雨の心配の必要が全くない好天で、そうした陽気に誘われたのか1万4千人もの観客が訪れました。
試合は3-0で勝利し連敗を2で止めたわけですが、試合後ゴール裏からはいくつかの横断幕が。どうやら先週発表された夏期限定使用のユニフォームの色に対しての注文のようでした。まあ僕もあのユニフォームを見て「ん?」と思ったので気持ちはわからなくはないのですが、せっかく久々にリーグ戦で勝って気分が良い時に水を差さないで欲しいなと感じました。幸い選手達がゴール裏に挨拶に来た時にはそそくさと横断幕をしまって選手達と喜びを分かち合っていたので、最低限のTPOはわきまえているかなと思ってホッとしましたが。
<明治安田生命J2リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 3ー0 ツエーゲン金沢
エスパルスのスタメンは以下の通りです。
SUB:大久保、岸本、成岡、ベンジャミン コロリ、ディサロ、オ セフン、北川
立ち上がりからエスパルスがペースを握り、5分くらいに乾がペナ内に侵入してシュートを放つなど攻勢を仕掛けましたが、15分くらいから試合は膠着状態に入り始めました。原因は金沢の自陣でマンマーク気味の厳しい守備です。特にサンタナに対しては基本的にCBの孫が見て状況によって庄司も加勢するという徹底ぶりで、それによってサンタナになかなかボールが収まりませんでした。またサイドにボールが入った時は2枚でしっかりスペースを埋めて自由にさせないし、サイドチェンジをかけてもそれに対応してのスライドが早いし、で、攻めあぐねるようになってしまいました。更に金沢はボールを奪ってもまずはリスクをかけずにロングボールを入れてこちらを下げさせてからの攻撃でしたが、チャンスと見た時には真ん中にタテパスを差し込んでくるし、こちらのボールを引っかけてのカウンターも見せてきたので、選手達としては余計にリスクをかけるのを恐れたのかもしれないですね。この時間帯については試合後のコメントを見る限り秋葉監督も不満だったみたいで「パス&ムーブがー」などと仰ってましたが、やはりウチの攻撃はサンタナが前でボールを収めたところから始まっていて、収めてくれる確率の高さが選手達に攻め上がる勇気を与えてくれているので、そこが上手くいかず時にカウンターの起点にもなりかねないとなると上がるのを躊躇してしまうのもある程度は仕方ないかなと思います。リーグ戦で連敗中ですしね。
そんな感じで攻めあぐねていたエスパでしたが、33分に先制に成功します。それは秋葉監督就任後から選手達に求めていた切り替えを早くという事と球際の部分で勝った事によるものでした。
相手の最終ラインからCBが繋ごうとしてボランチの梶浦にボールを預けますが、カルリーニョスがタテを切りながら寄ってきたので藤村に横パスをしますが、これを読んでいた乾がプレスバックして相手のトラップ前にボールをつつき、ボールは白崎の下へ。すかさず白崎がダイレでサンタナにタテパスを入れ、サンタナは右に走り込んでいた神谷に出そうとしますが相手CBに当たってこぼれ、それがカルリーニョスの下へ。カルリーニョスが見事なコントロールショットをサイドネットに突き刺して、エスパが先制しました。カルリーニョスのシュートの美しさもそれを生み出した白崎のパスも見事ですが、何と言ってもその前の乾のプレスバックが効きましたね。ただこれもカルリーニョスがパスコースを限定してくれたからこそですが。またボールを奪った時に全員がパッと意識を攻撃に切り替えてゴールに襲い掛かる事がきちっと仕込まれている事がサンタナや神谷の動きにも見てとれて、本当に良いゴールだなと思います。
で、先制点をとった事でエスパの選手達に余裕が生まれ、金沢は「まずい。追い付かなきゃ。」という気持ちが生まれる事で微妙なスペースが生まれ、エスパが攻勢を仕掛けます。そして41分、その前の白崎から神谷へのパスはカットされて、金沢が攻めにかかろうとしますが、SBの長峰にボールが入ったところへ北爪が寄せてボールを奪い、カルリーニョス、神谷とつないでフリーの乾へ。乾のシュートはGK白井が触った事でポストに弾かれますが、こぼれ球を神谷が見事なコントロールショットでゴールに叩き込んで2点目を奪います。このゴールも北爪がボールを奪ったところから選手達が攻撃に切り替えてゴールに襲い掛かった結果ですが、忘れてはならないのがその前に金沢にボールを奪われてカウンターを受けそうになっていた事。藤村がボールを持ち出そうとしていて、そのまま下がっていたら一気に自陣までボールを運ばれていたところを、まず宮本が寄せてボールを横へ出させ、出された先に吉田が寄せる事で最終的にボールを下げさせているんですよね。このように守から攻だけでなく攻から守の切り替えも早く出来ているのが今のチームの強みだと思います。
後半、柳下監督から喝を入れられたであろう金沢は開始から積極的に攻撃を仕掛けてきて、45分からの15分間のボールキープ率は金沢が68%となっていました。ここでキープレイヤーになったのがトップ下の加藤で、こちらが嫌がる中間ポジションに入ってボールを引き出し、金沢が全体を押し上げるのに一役かっていました。で、これは試合中僕は気がつかなくて、ツイッターでフォローさせて頂いている方のツイートや試合後の秋葉監督のコメントを受けて改めて見返して気付いたのですが、60分前後から吉田を左CB、途中投入の岸本を左WBにした3-5-2にシステムを変更します。これに伴って前述の加藤は宮本が、他の中盤の選手は白崎、神谷(途中からディサロ)が見るようにして中盤の守備も明確にしました。これにより金沢の攻撃の威力は減退し、何本か危ないシュートも撃たれましたが、次第にエスパがペースを取り戻しました。こうした早めのシステム変更は、ルヴァン杯の湘南戦やその前のリーグ戦の町田戦や藤枝戦の反省を踏まえてのものだと思いますが、こうやって状況に応じて早めにはっきりと指示を出して戦い方を変化させて試合の流れを再び掴めるようになるのは今後に向けて良い事だと思います。
試合は78分、相手陣で岸本がパスをカットしてそのこぼれ球を乾がダイレでセフンが持ち出しやすい位置にボールを出し、それをセフンがおちついて沈めて試合を決めたわけですが、3得点とも相手のボールをカットしてのカウンターからです。これに対する見方はいくつかあるわけで、選手達からも「自分達が崩して取ったわけではない」という反省(というより今後に向けての課題)があがってますが、特にこの日の金沢のようにスペースを埋めてマンマーク気味にハメてくる相手を崩すのは簡単ではないです。ただどんなチームにもスキがあり、特に攻守の切り替えの所ではスキが生まれやすいわけです。一方で今のチームは切り替え(トランジション)の早さと守備時の強度の高さという強みが出来つつあり、その強みを活かして相手のスキを突いてボールを奪い得点を取る力を持ってきている。その象徴がこの日の3得点であって、それに関しては自信を持って良いと思います。勿論引いた相手も崩してゴールを奪えるようになれば申し分ないですけどね。
この日もう1つ良かった点は84分に入った成岡とコロリが大いに存在感をアピールしてくれた事。インサイドハーフに入った成岡はボールキープの上手さとセンスの高さを存分に見せていたし、左WBに入ったコロリも精力的にゴール前に入ってきました。終盤に打った2本のシュートはいずれも際どかったし、それを入れられなかった事を凄く悔しがっていたのも印象的でした。よく「乾が交代した途端にチームのクオリティが落ちる」という不安の声があがっていましたが、ことこの試合に関しては決してそんな事はなかったし、コロリの悔しがる姿を見て「チーム内で良い競争が起きているな」と感じる事が出来ました。これもこの日の収穫の1つです。
これでリーグ戦も連敗ストップ。上位陣に足踏みするチームが多かったために再びプレーオフ圏内の6位となりました。ただここからアウェーの試合が続きます。1試合目は3連勝中と調子を上げてきた山形が相手。厳しい試合になるのは間違いないですが、幸い次の試合まで時間があるので、明日(5/31)の練習からしっかり準備して山形戦に備えて欲しいと思います。
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