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2022年11月 6日 (日)

今季を象徴する試合(11/5 札幌戦)

 昨日(11/5)はJ1最終節。9試合が14時に一斉にキックオフされました。エスパルスは北海道へ乗り込んで、札幌と対戦しました。この試合には非常に多くのサポーターが札幌ドームへ集結しました。サポーターの皆様、お疲れ様でした。僕はそこまでは思いきれず、自宅でDAZN観戦でした。

 2度勝ち越した時は「もしかしたら!」と期待を持たせながら、守備組織の脆さとそこから来る勝ち慣れてないところやメンタルの弱さを突かれて結局逆転負け。まさに今季を象徴するような試合だったかな、と思います。

 これによりエスパルスは降格が決定し、来季はJ2で戦う事となりました。

<明治安田生命J1リーグ 於 札幌ドーム>

 清水エスパルス 3ー4 北海道コンサドーレ札幌

 エスパルスのスタメンは以下の通りです。

20221105

 SUB:大久保、井林、岸本、竹内、ヤゴ ピカチュウ、鈴木唯、ベンジャミン コロリ

 この試合は絶対に勝たなくてはならない試合なので、システムをいじるなどの奇策に出る事も考えられましたが、蓋を開けてみるとシステムはいつもと同じで、スタメンも怪我の北川に代えて白崎を前に押し出し空いたボランチに松岡を入れるというもの。戦い方も基本的にはこれまでと同じで、立田、ノリさんの両CBからじっくり繋いでいく形でしたが、相手がオールコートマンツーマンで来るので、いつもよりウラ、特に両WBのウラを意識していて、そこへ中山、カルリーニョスを走らせてこれを起点に攻める事が共通認識としてあったと思います。前半の半ばまではそのやり方がハマってエスパが札幌を押し込み、2度ほど決定機を作りました。ただいずれも決めきれず0-0のまま推移すると、次第にエスパの攻め方に慣れていた札幌がセカンドボールを拾う機会が増え、エスパが逆に自陣に押し込まれるようになりました。そして41分、ノリさんが前につり出されたところでハーフスペースに走りこんだガブリエル シャビエルにタテパスが渡り、ガブリエル シャビエルがカバーに入った立田を落ち着いてかわして見事なコントロールショットを放ち、札幌が先制します。立田は足が滑ったのもありますが、ちょっと対応が拙かったですね。前半はこのまま0-1で終了しました。

 後半、勝たないと降格してしまうエスパルスは開始から松岡に代えてコロリを入れて、前線の枚数を増やす勝負に出ました。その勝負が後半早々に実ります。まず49分、サンタナの落としを白崎がダイレで右のスペースへ送り、そのスペースへ走りこんだ中山がクロス。いったんはDFにクリアされましたが、このこぼれ球をサンタナがダイレクトボレーでゴールに叩き込み、同点。これは札幌攻略の狙いとしていた形そのままの見事なものでした。さらに51分、権田からのフィードをサンタナ、白崎、コロリと繋ぎ、コロリはカルリーニョスへ。カルリーニョスがダイレで札幌のウラへ走りこむ白崎へパスを送ると、白崎がスライディングで合わせて2点目。最後まで足を止めずに走った白崎とそれを活かすパスを送ったカルリーニョスの見事な連携によるゴールでした。

 「もしかしたら」という期待が一気に高まった時間帯ですが、一方で僕は「早すぎるな」とも思ってました。川崎戦の例もありましたしね。ただ思ったより早く守備陣が決壊します。60分、スローインからのボールを荒野が受けて、ハーフスペースへ走りこんだ青木へ絶妙のタテパス。権田と1対1となった青木が最終的にゴールへ押し込んで同点となります。この後は札幌がボールを握りサイドチェンジを上手く使って両サイドから揺さぶりをかけ、これをエスパが何とか凌ぎながらカウンターを狙う構図となりました。が、78分、相手のペナ近くで直接FKを得たエスパは、山原の強烈なシュートからゴール前の混戦に持ち込み、最後はホナウドが押し込んで、再度エスパが勝ち越しました。

 「もしかしたら」という期待が再び高まったのは当然の感情でしょう。残り時間はアディショナルタイムを含めても少なかったですからね。ただここで勝ち慣れていないところが出てしまいます。守備ブロックが下がってしまったエスパは防戦一方となりました。そして86分、小柏がキム ゴンヒとのワンツーで侵入しオーバーラップしていた田中へパス。田中がこれをダイレでどフリーのキム ゴンヒへ送り、キム ゴンビが落ち着いて流し込んで同点に。この後はオープンな攻め合いとなりましたが、ペースを握っていたのは札幌の方で、90+2分、ルーカス フェルナンデスのサイド突破からがら空きのバイタルへパスを出され、これを受けたキム ゴンヒに立田と片山の2人がいってしまいましたが、これによってフリーとなった青木にパスが通り、これを決められて再逆転。試合は3-4で札幌の勝利となり、勝ち点3をとれなかったエスパルスが降格する事となりました。

 試合直後は「現時点でやれる事はやった」と感じたし、そうツイートもしました。ただ一晩たってゴールシーンを落ち着いて見た時に、前は出来るようになっていたのにこの試合では出来てなかった事があまりに多い事に気付きました。その大半は守備面です。前後半はある程度守備ブロックをコンパクトに保っていても、時間が経つに連れて最終ラインと中盤、前線の間が空いてしまい、セカンドボールを拾えなくなったり中間ポジションに入られてピンチを広げられる事の繰り返し。特に後半はそれが顕著で、中盤、前線が前に出ようとしても最終ラインが連動して上がらないので、前でボールをとれずにかわされた結果最終ラインが晒される場面が何度もありました。象徴的なのは4失点目ですよね。ルーカス フェルナンデスを止めようと中盤が左サイドに寄ってしまった結果、バイタルに広大なスペースを与えてしまいました。

 あと問題なのはハーフスペース、CBとSBの間を突かれた時のカバーの仕方。札幌はもともとこのスペースを突くのが得意だし、ウチがこのエリアに入った選手への対処が苦手でそのせいで守備組織全体がおかしくなる事を知っていたのでしょう。そのため執拗にここを突いてきました。それにまんまとはまったのがエスパで、1、2失点目ともそこに入られてやられました。このエリアに入られそうになった時はボランチがカバーするかサイドハーフが最終ラインに入る約束事になっていますが、どちらの方法で対処するかは臨機応変に判断する事になっているみたいで、悪い時はボランチとサイドハーフの両方が最終ラインに吸収されて6バックになってしまう事もあったんですよね。それがモロに出たのが3失点目。ワンツーで前進してきた小柏に4人が釣られた時点で2ラインなんて影も形もなし。おまけに4人で囲もうとした以上ボール奪取するか最低でもゴールに近い方にパス出させちゃダメだし、全員がボールウォッチャーになって、一番危険な位置に入ったキム ゴンヒに誰も気付いていない。あれではやられて当然です。

 この「ブロックがコンパクトでない時がある」点と「中盤に最終ラインが吸収される」点は、前任の平岡さんの時に出ていた現象で、僕は何度も指摘してました。その後ゼ リカルド体制になってから守備の約束事が整理されて、8月の4試合や9月の広島戦の数的有利になるまでの約60分間あたりはちゃんと出来ていたんですよね。それが湘南戦、福岡戦、川崎戦と結果が残せない状態が続いていく中で、少しずつボヤけていってしまって、今回の札幌戦の体たらくに繋がったのかなと推察しています。鹿島戦の感想の中で金子達仁さんの言葉を紹介しましたが、今回のラスト7試合勝ち無しによるJ2降格はこの言葉を体現してしまったなと感じます。

 一方で、ゼ リカルド監督はこの試合に向けて特別な策をとらずに戦ったわけですが、果たしてそれが正しかったのかな、という疑問がまず1つ。また前述の守備面の不備に関してどこまで修正していたのかな、というこの2つの点に関しては監督に対して不満を持っています。ただだからといってまた監督を代えていいのか、という思いもありますし、ブロック全体をコンパクトにするというのはピッチ上の選手達で解決できる、というよりして欲しい話のようにも思ってますが。

 いずれにしろ、これで2022年シーズンのエスパルスの戦いは「17位でJ2降格」という最悪の結末で幕を閉じました。非常に残念です。じゃあ何が悪かったのかについては、シーズン振り返りみたいな感じで何回かに分けて書くつもりです。

 最後になりますが、エスパルスに関わった全ての監督、コーチ、選手、スタッフ、クラブ職員の皆様、そしてサポーターの皆様、1年間お疲れ様でした。

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