2つの顔が表れた試合(7/31 鳥栖戦)
一昨日(7/31)はホーム・アイスタ日本平での鳥栖戦でした。ここ数年はアイスタでのナイトゲームの行きは新幹線を使わず小田急と在来線を使っています。が、ちょっと寝坊して予定していた小田急の列車に乗れなかったので、JRで、それも横浜から熱海まで特急で移動しました。それによりほぼ予定通り着くはずだったのですが、東静岡駅付近の信号故障により東海道線が富士駅で止まってしまいました。全く運行再開のめどがたたないようだったので、仕方なく富士駅から新富士駅まで歩いて新富士駅から新幹線を使う羽目となり、結局キックオフに間に合わず、行きだけで疲れてしまいました。
で、試合の前半は鳥栖の狙い通りにやられてしまって、来た甲斐の全くない試合だったのですが、後半怒涛の反撃を仕掛けて3-3のドロー。勝てなかったのは残念でしたが、特に同点に追い付いてからのスタジアムの雰囲気は最高で、「来て良かった」と思える試合でした。
<明治安田生命J1リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 3ー3 サガン鳥栖
エスパルスのスタメンは以下の通りです。
SUB:永井、原、竹内、乾、カルリーニョス ジュニオ、北川、オ セフン
試合後の会見でゼ リカルド監督が「前半と後半とで2つの別のチームのような戦いになってしまった」と仰ったそうですが、まさにその通りで、それが結果的に勝てなかった要因だろうと思います。
前節の浦和戦から2週間空いたため「この期間に更に戦術理解度を高めて欲しい」と思っていたところへ武漢ウィルス(新型コロナ)禍がクラブを襲いました。何と選手に計8名の陽性判定が出てしまいました。このため先週開催予定だったエリートリーグは延期となり、練習以前に「果たして誰が鳥栖戦に出場できるか」が注目される状況となってしまいました。で、当日発表されたスタメンが上記ですが、前節からスタメンが7名変更。大怪我を負ってしまった西澤、同じく前節の試合後足を引きずっていた原は致し方ないとして、特にGKと両CBが総入れ替えになった事がどう出るかがポイントでした。
が、前半はそれが悪い方に出てしまいました。
1失点目、一発で片山のウラをとられてしまったのはどうかなというのはあるものの、シュートに関しては大久保はノーチャンスだったと思います。頭上のシュートはGKにとっては難しいので。時間も早いですからその後落ち着いてペースを握れれば良かったと思うのですが、前半は攻守ともに良くなかったです。まずボール保持時ですが、エスパの基本形としては4-1-5みたいな形でスタートして、前の5人のうちの誰かが相手ブロックの中間に落ちてそこに両CBからタテパスを差し込んで前進を図るのですが、この日の両CBがパス出しに苦労している感じでした。確かに鳥栖は1トップの宮代が両CBからのパスをけん制し両サイドハーフがこちらのCBとSBの間のパスコースを塞いで、さらにトップ下の森谷がこちらの松岡を見て、その上でこちらの両CBとGKにプレスを上手く嵌めてきたので、もしいつもの3人だったとしても苦労していたかもしれません。だからこの日のスタメンの大久保、ヴァウド、井林じゃ苦労するのも仕方なかったとも言えます(「仕方なかった」と言っちゃうのは甘いかな。第一井林の昨季加入時の触れ込みは「フィードに自信がある」だったはずですからね)。またボール保持が上手くいかなかった原因は他にもあって、まず松岡は何とかパスコースを作ろうと動き回った結果本来いるべきポジションにいない時間帯が多かったし、右サイドの片山、ピカチュウは初めての組み合わせのためかどちらがどうポジションをとるかの整理が出来てない感じでしたし、左サイドは後藤が開きっぱなしで引き出す動きが少なくて、受ける側のポジション取りも上手くいかない状態。たまらず白崎はもとよりピカチュウまで下りてきてしまって、結果サンタナ、神谷が孤立してしまっているという感じで、結果としてボールを殆ど前に進める事が出来ませんでした。そんな中で2失点目を喫するわけですが、確かにシンプルにボールをさばかず無理にボールを持ち出そうとした井林が一番悪いのですが、このミスの背景にはそもそもチーム全体が上手くいっていなかったのは理解してあげないといけないと思います。あと更に足を引っ張ったのが大久保。フィードはもとよりそもそも足元が危なっかしい感じで、あれだと井林もヴァウドも戻しにくいだろうなという気がします。更に2失点目の場面はヴァウドがカバーに来てくれていたので、もう少しニアに意識を向けてポジションをとっても良かったような気がします。3失点目もシュートに対するポジションがちょっとおかしかった気がするし、やはり大久保ほどのベテランでも試合から遠ざかるとあんな感じになる事もあるんだなと思いました。ボール非保持時、特にリトリートしてからの守備に関しては鳥栖の早いパス回しと動きについていけず、特に左サイドの井林と山原の間のポケットをかなり突かれてしまっていて、「これは非常に厳しいな」と前半終了後は思いました。
それが後半開始から別のチームのような戦いをするのですからサッカーはわからないものです。まず両ボランチの役割を整理して松岡はアンカーにして、その分白崎にどんどん前に行かせるようにしました。そして右サイドもレーンの使い分けを整理してあげて、更に両CBにはシンプルにさばく事、GKの大久保には無理に繋がなくても良いというような指示をしてあげたのではないかと思います。実際そんなプレーぶりでしたが、それによって後半開始からエスパのビルドアップが円滑になり、鳥栖陣内に押し込む事が出来るようになりました。円滑になった証左の1つがヴァウドからのパスで、前半はSBかボランチに預けるくらいしかなかったと思うのですが、後半は時折ハーフスペースのレーンを使ったタテパスも出すようになりました。そうやってボールを前に出して相手を押し込む事が出来ればある程度長い時間ボールを繋いで揺さぶる事が出来るし、相手の攻撃時間も削る事が出来ます。で、60分頃から豪華なリザーブメンバーという燃料を投下するわけですが、その直前に山原得意のドリブル突破から白崎が押し込んで1点を返し、そのすぐ後に北川、乾、カルリーニョスというエンジンが投下されたという2つの変化によってアイスタが一気に盛り上がりました。これには鳥栖も一時的にパニックみたいな感じになったんじゃないかと思いますし、中でも最終ラインの混乱は試合終了まで残っていたんじゃないかと思います。実際、エスパのボール保持時の前線の布陣は右からカルリーニョス、白崎、サンタナ、北川、乾の5トップみたいな感じで、それを両サイドの後ろから片山、山原がフォローして、この7人をアンカーの松岡が操る感じですから、相手からしたらさぞややりにくかっただろうと思います。3失点目を食らった直後の北川のゴールですが、右サイドでカルリーニョスがボールを持った時にSBだけでなくCBの田代までセンターライン付近、サンタナより前に出ていて最終ラインが全然揃ってないんですよね。あれはミスだと思うのですが、それを起こした要素の1つにその前の時間帯での一時的混乱もあったんじゃないかと邪推してます。鳥栖をずっとウォッチしているわけではないのであくまで邪推ですが。
という事で80分に再び2点差に広げられながらも、その後わずか3分で2点を返して同点に追い付き、その後もサンタナを中心とした攻撃陣が質的優位を活かして攻め立て、一方で片山が同点に追い付く時のプレーで足を攣った状態ながらそれを竹内とカルリーニョスでカバーしながら最後まで戦う姿は非常に見事なものでした。更に鳥栖が前半見せた洗練された戦いと89分に乾がフリーでシュートを撃つ寸前にスライディングでボールをかっさらった場面に代表されるような粘り強い守備も見事なもので、恐らく中立的な立場の人が見たら非常に面白い試合だったんじゃないかと思います。まあエスパとしては後半のような戦いを前半から出来れば、という悔いはどうしてもありますが、練習に参加出来ない選手が続出してこの試合にも誰が出場できるかがわからないという非常に難しい状況にありながら、最後はチーム全体の力で3-3のドローに持ち込めたのですから、そこは評価してあげるべきだと思います。15位から最下位までの4チームの勝ち点差はわずか1。この後G大阪、湘南といった残留争いの相手との直接対決もあります。決して悲観する必要はないです。もちろん楽観視も禁物。まずは次節のFC東京戦に向けて最善の準備をして欲しいです。
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