« クラブ30周年記念マッチに寄せて | トップページ | 遅くなりましたが神戸戦感想(7/6 神戸戦) »

2022年7月 5日 (火)

ほろ苦いが手応えもあった試合(7/2 横浜FM戦)

 前の記事で予告した通り、7/2に行われたクラブ創設30周年記念マッチ、対横浜FM戦の感想を書きます。

 結果として今季最多の5失点で完敗したという事実がありますので、かなり厳しい意見もあるようです。試合後選手達がゴール前に挨拶に行った時は少数ながらブーイングもありましたしね。ただ僕の感想は記事タイトルの通りで、負けたけど面白いサッカーをするようになったなぁと思ったので、選手達がバックスタンドに挨拶に来た時は拍手を送りました。

<明治安田生命J1リーグ 於 国立競技場>

 清水エスパルス 3ー5 横浜F・マリノス

Dsc_0302_small

 エスパルスのスタメンは以下の通りです。

20220702-fm

 SUB:大久保、井林、松岡、滝、カルリーニョス ジュニオ、オ セフン、ベンジャミン コロリ

 前述した通り、結果としては今季最多の5失点での敗戦という事で、非常にほろ苦いものになったと思います。

 まず横浜FMが非常に強かったですね。本当にちょっとしたスキを見逃しませんでした。1失点目がその象徴で、権田の原へのパスが高くなって原がトラップし切れず相手にこぼれたところから始まっているのですが、中盤と最終ラインとのスペースが空いているのを見逃さず、レオ セアラがエウベルからボールを引き取り、その間に西村がポケットに侵入してそこにパスが渡って決めるあたり本当に抜け目がないです。こちらを押し込んだ時も両SBまでがこちらの中間ポジションに入り込み、そこから周りと連携しながら真ん中を突いてみたり、そうかと思えばサイドに付けて突破を図ったり空いたポケットに侵入した選手にパスを入れたり、と、崩しのバリエーションが非常に多彩で、エスパとの埋めがたい差を感じました。

 そんな横浜FMに対してエスパルスも必死に抵抗し、前半に神谷が同点弾を決めてから終了間際に再度勝ち越し弾を決められるまでの約30分間は、相手に6割以上の割合でボールを握られ押し込まれましたが、それでも4-4-2、もしくは5-3-2のブロックで相手にぎりぎりのところで踏みとどまってボールを奪ったら相手のウラを狙うというゲームプラン通りのサッカーをしていたと思います。が、攻めに出た時に攻め切るというのが不十分でしたね。象徴的なのが2失点目で、直前には逆に相手を押し込んでいて両サイドから揺さぶっていたのに、神谷から西澤へのパスがずれてロストしてしまっているんですよね。で、横浜FMがそこから一気にパスを繋いでエスパ陣内に攻め込み、それに対するウチの戻りがメチャクチャチンタラしていてこちらの左サイドを山原一人で守る事になり、そこから失点している。まずスコアと時間帯を考えればもう少し大事にボールをキープすべきだったので、あのパスミスは残念でしたね。更に言えば、自陣への戻りが遅かったのはもっと致命的。ブロックを物凄く空けていたのでもっと早くポジションに戻るべきでしたし、それが無理ならファウルしてでも止めるべきでした。ウチからしたら「もう時間がないから無理して攻めてこないだろ」と思ったのかもしれませんが、そういう考えをしてしまうのがウチの甘さでしょうね。

 それ以上に痛かったのが後半早々に同点に追いついたのに、すぐにミスから3失点目を許し、更にその数分後に4失点目を食らった事。あれでウチは無理に攻めに出ざるを得なくなり、攻撃力で大きく勝る横浜FM相手にドツキ合いをしなければならなくなった。前半のように同点で我慢して守って少ないチャンスを交代選手などでモノにするというのがゲームプランだったと思うので、あの3失点目は本当に痛かったと思います。あの場面はスローインをサンタナが相手を背負いながら受けて味方に戻したボールがズレてしまい、それがよりによってレオ セアラに渡り、レオ セアラに見事なゴラッソを食らったわけですが、本当にしょうもないミスでしたね。あの場面でサンタナが相手を背負いながらパスを受けるのはよくある事だと思うので、そこでサンタナはどこに落としたかったのか、周りはどうフォローすべきだったのか、そういうディテールの部分をもっと詰める必要があると思います。あるいはもっと早くスローインするように、という工夫があってもいいかもしれませんね。あと全体として4失点目で岩田についた宮本が競り合いで負けてしまった場面のように競り合いで負ける場面が多かったので、そうした場面を少なくするようにフィジカルを強化する、もしくは少しでも先手をとれるように守備の約束事を徹底する事が必要だなと思いました。

 などと色々と厳しい事を書きましたが、試合全体としてはやりたい事がある程度やれたのが見れて、手応えを感じた試合でした。

 まずボール保持時、ゴールキック時のSBの立ち位置がこれまでより前目となり、インサイドハーフのうちの白崎も下りてポジションを取る事が多かったです。リーグ1のプレス強度を誇る横浜FMに対していったん前線との間にボールの預け所を作って引っかけられにくくするためと思いましたが、その中盤のラインからウラを狙うパスをどんどん出し前の神谷や片山らがそれに対応してウラへ飛び出すシーンが何度も出たのを見て、「横浜FMを自陣へ引き込んでその背中を狙うためだ」というのがわかって、「ゼ リカルドさん、また新たな仕込みを入れてきた」と感心しました。実際それがハマったのが2得点目のシーンで、サンタナへのクサビのルーズボールを白崎がダイレでウラへ走り込もうとしていた神谷に出して、神谷が持ち込んでのクロスのこぼれ球をサンタナが決めたわけですが、全員が横浜FM最終ラインのウラを狙おうという意識を共有していたからこそ生まれた得点だと思います。1得点目はサンタナがプレスバックして奪ったボールを白崎がこれもダイレでサンタナへ返してのカウンターで、この2つの得点シーンに限らず全員が前へボールを運ぶ意識が高かったように感じました(一方でボールを奪っても相手を引き込むためにいったん貯めたり後ろへ戻したりするから文句が出たりするのですがw)。一方で遅攻の時に相手をいったんサイドへ寄せておいて逆サイドへ展開する形は平岡新監督の時も観られましたが、そこからよりシステマティックに再現性を持って行えるようになったし、サイドへ渡してからの崩しも面白いものが見られるようになりました。中でも「おー、凄い!」と思ったのは36分頃の宮本、山原、神谷、西澤でパスを回しながら動いて左サイドを崩した場面です。決定機も作る事が出来たし(中でも4失点目の直前、早いスローインでポケットにいたサンタナにボールが渡って、そこからのクロスに片山が飛び込んだシーンは本当に惜しかった!)、C大阪戦からまた随分進歩したと感じました。

 守備に関しては、後半、4失点目をとられてから何度も決定機を作られたのが記憶に残っている分、悪い印象しか残ってないのかもしれません。が、こちらは2点差を追いつくべく純粋な4-4-2にして攻撃的な姿勢をとった分どうしても守備に関する反応は遅れるし、攻撃に出る分行ったり来たりの展開になるし、おまけに立田が怪我で交代してしまったのもあったので、あの時間帯はある程度は仕方ないかなと思ってます。評価してあげたいのは前半同点に追い付いてからの30分間ですね。確かに横浜FMにボールを握られ続けましたが、4-4もしくは5-3のブロックをコンパクトにして真ん中で自由にやらせないという狙いがある程度出来ていたと思います。そこは相手が横浜FMだったので真ん中を割られかけた場面も何度もありましたが、少なくとも天皇杯京都戦のようなみっともないやられ方はせず、最後のところで自由にやらせないという守りはある程度出来ていたと思います。とはいえあれだけボールを握られ揺さぶられ続けるとどこかでズレてしまう事はあるわけで、それを防ぐためにはこちらがボールを握る時間帯をもっと増やす必要があると思います。その意味で今後のチームの課題はむしろボール保持の精度をいかに上げていくかなのかなと思いました。いずれにしろゼ リカルド監督が指導を開始してから約3週間たちましたが、それ以前は無鉄砲にプレスにいってはかわされて広大なスペースを相手を与えてやられる事を繰り返していたのが、ボール非保持時はリスクを抑えてコンパクトな形を作って対応し、ボールを保持したら全員が連動して動いてボールを前に進めるという明確な形が見えてきました。それを感じる事が出来たので、僕は試合後は結果以外は満足して帰る事が出来ました。

 同じ日に最下位の神戸が勝ったため、17位であるウチとの勝ち点差が縮まりました。水曜にはその神戸と対戦します。前述の通り、僕はチームは良くなってきていると思ってますが、もし仮にここで負けてしまうとチームが掴んでいた手応えが失われる恐れもあります。それを防ぐためにも次の試合は是が非でも勝ち点を奪って欲しいですね。

P.S
 あまり他のブログの悪口は書きたくないのですが、さすがに「国立での試合が思い出作りで終わった」という言葉にはカチンときました。一方で例えば攻撃面での狙いや良くなった部分に全く気が付いてないのはもったいないなぁとも思いましたけど。
 まあ僕も大した分析が出来ているわけではないので、自分が悪口を言われないようにするためにも、もっと勉強しないと、です。

※ブログランキング参加中です。

にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村 

PVアクセスランキング にほんブログ村

|

« クラブ30周年記念マッチに寄せて | トップページ | 遅くなりましたが神戸戦感想(7/6 神戸戦) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« クラブ30周年記念マッチに寄せて | トップページ | 遅くなりましたが神戸戦感想(7/6 神戸戦) »