通用したところとしなかったところ(7/17 川崎戦)
非常に暑い日が続いていますが、皆様身体を壊したりしていないでしょうか。かく言う僕の方は体調が悪いとかそういうのはないのですが、結構バタバタしていてブログ更新を止めてしまいました。ゴメンなさい。
で、先週末の川崎戦について書きたいと思います。五輪による中断前の最後の試合、それも昨季から圧倒的な強さを誇る川崎を迎え、昔から清水がブラジルとサッカー絡みで交流を重ねてきた縁があるのでブラジルデーと銘打っていろいろなイベントやグッズ展開を行った事もあって、チケットは早々にSold Out。9,000人の観客が訪れました。これで勝てれば文句なしだったのですが、結果は0-2で敗戦。「強かったなぁ」と脱帽するしかなかったです。
<明治安田生命J1リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 0ー2 川崎フロンターレ
エスパルスのスタメンは以下の通りです。
GK 権田
DF 原、井林、立田、奥井
MF 片山、宮本、竹内、カルリーニョス ジュニオ
FW 鈴木唯、チアゴ サンタナ
SUB 永井、ヴァウド、中山、河井、滝、ディサロ、指宿
夏の移籍ウィンドウが開くのに合わせて獲得した井林をいきなりスタメンに抜擢。ヴァウドはリザーブに回りました。そのほかは前節と同じメンバーでした。
序盤は互角の展開でした。エスパルスは引き過ぎる事なく4-4-2のブロックを敷いた上で前からプレスをかけ、それを川崎が巧みなパス回しでかわしながら応戦する形となりました。が、ウィングを両サイドの高い位置に張らせてその間で中盤の3人が巧みにボールを操る川崎の前に次第に全体が下がり始め、17分、登里が井林と駆け引きをしていたレアンドロ ダミアンへパスを出し、井林に勝ってフリーでボールを受けたレアンドロ ダミアンが走り込んだ脇坂へパスを出し難なく脇坂がゴールへ蹴り込んで、あっさり川崎が先行します。これでエスパが浮足立つ事を心配しましたがそんな事はなく、失点後も失点前と同じく4-4-2のブロックで粘り強く守り、チャンスと見れば前へプレスをかけて相手のミスを誘ってカウンターを仕掛けるという戦いを我慢強く行い、前半は0-1で折り返しました。
後半も前半の終わり頃と同じような戦いを続け、2度ほどカウンターからカルリーニョスがドリブルで仕掛ける場面を作ったエスパでしたが、50分、後ろでの何気ないパス回しからのシミッチのアウトでのパスで川崎がエスパのプレスラインを破ってアタッキングサードへ侵入。登里から脇坂へのタテパスは竹内がカットに入りましたが、そのこぼれ球がウラへ抜け出した大島にわたり、2失点目。これで流れは一気に川崎に傾きましたが、滝、河井、中山が交代で入った後の68分あたりからエスパに流れが渡り、片山のファーサイドへのクロスからの決定機など惜しい場面を作ります。しかし川崎のゴールをこじ開けるには至らず、エスパは0-2で敗れ5試合ぶりの敗戦を喫しました。
相手はウズベキスタンでのACLから帰国して間もない状態で、一方でこちらは4試合負け無しと少しずつ結果を出してきたので期待する向きは多かったのですが、結果としては簡単に勝たせてしまった形となりました。ただ相手は今季も負け無しで突っ走っているチームだし、そんな川崎相手に今のチームでどこまで戦えるのかという視点で見た場合、通用するところも結構あったなと思います。まず守備に関しては2失点してしまいましたが、被決定機は4回程度に抑える事が出来ました。しかもホームでの鳥栖戦やアウェイでの横浜FM戦(リーグ戦の方)みたいに5バックにして最初からスペースを消して戦う形ではなく、4-4-2にして前から2~3人でプレスをかける形で、です。そうやってプレスをかけながら全体を間延びさせていらないスペースを作らずに守る事が出来たのは良かったと思います。またボールを奪ってからの攻撃についても、奪ったボールを素早く前に渡して川崎の最終ラインのウラを突くかと思えば、ボールを落ち着かせた上で立田や移籍後初出場の井林から丁寧に繋いで崩しにかかる場面もあり、どちらの形でも相手を自陣に押し込むところまで持っていく事が出来ていました。このあたりもチームがこれまで積み上げてきたものであり、評価して良い部分だと思います。特に井林が良いタテパスを通してくれていたのは心強いですね。今までの最終ラインからのパス出しは立田が頼りでしたから。
ただ通用しなかったところも多々ありました。何とか4-4-2のブロックで嵌めにいったのですが、川崎の選手はみんなポジション取りが上手いし、全員がラストパスを出す能力を持っているから抑えるのが難しいですよ。2失点とも失点に直結するタテパスを左SBの登里に出されてますから。1失点目はウラへ抜け出したレアンドロ ダミアンに出されてますけど、片山にしたら左ウィングの知念も気になって登里に寄せられなかったのでしょう(寄せるべきでしたが)。2失点目はシミッチのあの変態的なパスでブロックを崩されてしまった上に1失点目と同様に知念のポジションに気をとられて登里から脇坂へのパスコースを開けてしまいました。こうした得点シーンに限らず1人1人がドンドンイヤなところに顔を出してくるし、こちらのブロックが崩れたと見た時に攻撃のテンポを上げる事が出来るから、なかなか捕まえる事が出来ませんでした。守備に関してもここが「肝」というところでは絶対自由にやらせてくれません。象徴がジェジエウで、ウチの自慢のFWであるサンタナを殆ど自由にさせなかったし、崩しかけたと思えても最後に足が出てボールを取られる場面が何度もありました。加えていわゆるネガティブトランジションが早いし、何より一人一人のボールを持つ技術が高い。個人としてもチームとしても完成度が高いから「これは追いつくのが大変だぞ」と思わざるを得ませんでした。
ただそんな川崎を相手にしても通用する部分はあったんです。川崎のイヤらしいポジション取りとパス回しで何度ブロックを崩されかけてもその都度誰かが空いたスペースをカバーしてギリギリのところで防ぐ事が出来ていましたし、ボールを奪ってからの攻撃もある程度出来ていました。特に65分に河井をボランチに入れ中山を右サイドハーフに入れて片山を左SBにしてからは、川崎が疲れからか運動量が落ちてしまった事もあって川崎をかなり長い時間を押し込む事が出来ていました。昨季ホームで川崎とホームで対戦した時は2-2のドローでしたが、その試合でもあんな長い時間攻勢に出る事は出来ませんでした。もちろん川崎のコンディションの違いもあるでしょうが、ウチがチーム力を上げた証ともいえると思います。個人に目を向けても唯人はジェジエウらの強い当たりにも負けずにボールをさばいて存在感を見せていたし、途中から左サイドハーフに入った滝も非常に良かったです。もちろんチームとしても個人としてもまだまだやらなければならない事はたくさんある事は確かですが、この試合で通用しなかった部分を改善して差を縮める事がJ1での上位進出に繋がると思うので、この日掴んだ感触と足りなかったところを忘れないで精進して欲しいですね。
これでチームは五輪による中断期間に入ります。中断明けはこれまた絶好調の横浜FMをアイスタ日本平に迎える事になります。大変な相手ですが試合まで時間はあるので、まずはしっかり休息をとった上で、万全の準備をして欲しいと思います。
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