相手から勝ち点2を奪い取った試合(7/11 徳島戦)
一昨日(7/11)は徳島・鳴門にあるポカリスエットスタジアムでの徳島戦でした。言うまでもなく2016年11月20日、1年でのJ1復帰を決めた場所です。あれはここ10年間でのウチの数少ない成功体験の1つですし、僕も前日に入って現地で観戦したので「もう4年半もたったのか」と懐かしい気持ちになりますね。まあ今年は日曜のナイトゲームなので、行くのは早々に諦めましたけど。
試合に関しては、評価の難しい試合だったと思います。試合後のツィッターのTLも「勝てた試合だ」「あんなに引いてしまってみっともない」「見事な守備組織が見れた」とか様々な評価が出て少々荒れ気味でしたかね。まあ僕が普段から「良かった探し」をして楽しむ人間なのは、普段から僕のブログを見て下さっている方ならお分かりかと思いますが、そんな僕がまず言いたいこの試合の評価は「相手から勝ち点2を奪った試合」だったって事ですね。
<明治安田生命J1リーグ 於 鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム>
清水エスパルス 2ー2 徳島ヴォルティス
エスパルスのスタメンは以下の通りです。
GK 権田
DF 原、ヴァウド、立田、奥井
MF 片山、宮本、竹内、カルリーニョス ジュニオ
FW 鈴木唯、チアゴ サンタナ
SUB 永井、福森、中山、河井、滝、ディサロ、指宿
久しぶりに前節と全く同じスタメンを起用。ただしサイドハーフの左右を入れ替えました。おそらく相手右SBの岸本が高めにポジションをとってくる事に配慮しての事だと思います。一方リザーブでは、天皇杯で結果を出した滝が入りました。
エスパルスボールで始まった前半、開始直後から徳島陣内に攻め込んだエスパは2分、片山のロングスローからの混戦でサンタナが落としたボールを原がボレーで押し込んで、いきなり先制点を奪います。しかしポゼッション能力に長けた徳島も落ち着いて反撃を行い、14分、こちらの右サイドに引き付けた事により空いたスペースに入り込んだ渡井に見事なミドルを決められ、あっさり同点に追い付かれます。勢い付く徳島でしたがエスパも負けておらず、19分、自陣真ん中で竹内が引っかけたボールを唯人がドリブルで相手のペナ前まで持ち出して、右へ開いたカルリーニョスへパス。カルリーニョスはボールをキープした後、猛然とインナーラップをかけてきた原へ落とし、原がクロスを送るとそれが相手のオウンゴールを誘って、エスパが再び勝ち越しに成功します。その後は徳島が攻めエスパが守る図式になり、徳島のボール支配率は一時80%を超えましたが、飲水タイム以降システムを5-3-2にしたエスパも粘り強く守って、2-1で前半を折り返しました。
後半も徳島が攻めエスパが守るという図式は変わらず、両チームにとってジリジリする展開が続きます。徳島は68分、72分と攻撃のカードを切って圧力を強めようとしますがエスパの守備組織を崩すまでには至らず、エスパも時折サンタナ、カルリーニョスの推進力などを活かしてカウンターを仕掛けますが、決めきるには至りません。このままエスパが逃げ切るかと思った87分、途中交代でボランチに入った小西がタテパスを受けた後ワンツーでこちらの中央を突破してミドルを決め、徳島が同点に追い付きます。この後はお互いに勝ち越しを狙いますがそこまでは至らず、結局2-2での痛み分けとなりました。
まず徳島が予想以上に強かったですね。ボール支配率の平均がリーグ2~3位だったかと思いますが、その数字が示す通りボール回しが非常に巧みで、なかなかボールを奪う事が出来ませんでした。ただポヤトス新監督が指揮をとるようになって以降セーフティなパスが増えたとも聞いていましたが実際その通りで、だからボール支配率の割に得点がとれてなかったのかなとも感じました。もっともこの試合から変わるかもしれませんけどね。
対するエスパルスとしては当然対徳島に向けた準備をしてきたと思います。サイドハーフの左右を入れ替えたのはその1つでしょう。ただ試合が始まってから徳島の前節までとの違いに苦しむ事になりました。1つはセンターFWを不動の垣田でなく宮代にした事。宮代は垣田より広く動き回ってボールを引き出すタイプなので、ウチとしては捕まえにくい存在でした。それ以上に捕まえにくかったのが渡井。本来トップ下の彼が時に徳島のダブルボランチの近くまでボールを受けに降りてくるので、その時はウチは竹内、宮本の2人で徳島のダブルボランチ+渡井を見なければならず、そこを起点にあちこちでズラされてしまい守りにくい展開に持ち込まれてしまいました。同点に追い付かれた場面も、徳島のボランチの岩尾がこちらの左サイドに流れてボールを受ける事で竹内を引っ張り出し、それによって空いた真ん中のスペースを渡井に使われてのものです。ポジションを少しずつ変える事で相手の位置取りも動かし、そうやってスペースを空けてそれを利用するというのは本来ウチがやりたい形なのですが、この試合ではそれをまんまとやられてしまいました。その後狙い通りのカウンターから勝ち越す事は出来たものの、相手を掴みにくいのはそのままなので、全く楽観できる状態ではありませんでした。
だから飲水タイムを境に奥井を左SBから右WBへ持っていき原を右のCB、片山を左WBにした5-3-2にシステムを変えたわけですが、この決断が見事でしたね。これによって徳島のSBをこちらのWBの奥井、片山が、サイドハーフを原、立田が基本的に見る形にし、中央は竹内、宮本に加えて唯人の3人でスペースを埋める事で、宮代と渡井が動き回るスペースを消したのです。これによって徳島は前半途中まで存分に発揮していた攻撃時の良さと前進するためのスペースを消され、押し込んではいても守備組織は崩せない状態が長時間続きました。前述の「セーフティなパス回し」も悪い方に作用したかもしれません。これはもうロティーナ監督の理にかなった対応が見事だったわけですが、これを忠実に実行した選手達の成長の表れでもあったと言えるでしょう。
ただどんなに守備時のマーク役を明確にしたとしても、今季のウチの守備はゾーンディフェンス。いつまでも人に付いているわけにはいきません。また相手の最終ラインのメンバーまでこちらの陣内に入り込まれると混乱はおき得ます。それに備えて2トップが前へのパスコースを消すなどのけん制をかけているわけですが、そこが機能しないとそこから水漏れが起きる事もあります。エスパが5-3-2にしてから徳島に与えた決定機は2回だけ。1回目は30分過ぎくらいで、サンタナのパスコースを切るのが甘くてタテパスを入れられ、そこから最終的に宮代に抜け出すパスを出されました。2回目は後半同点にされた場面で、相手の最終ラインのカカから小西へのタテパスへのディサロの寄せが遅くて、その後前のスペースに出た小西を離しちゃったんですよね。ディサロにとっては痛恨事で、試合後落ち込んでいたというのもよくわかります。どちらもわずかなスキなんですけど、それだけ繊細な守り方をしていたわけです。
試合展開として、試合終了間際までリードしながら追い付かれたのは今季4度目という事で、「またかよ」と怒っている方は多いと思います。が、僕はこと守備に関してはやれる事はやっていたと思います。あれだけボールを持たれたらミスなどから失点してしまう可能性はどうしても高くなるし、そんな中でも可能性を低くするためのプレーは十分出来ていたと思ってます。なのでいくら徳島が相手といってももう少しボールを持つ時間を長くしないと苦しい展開になるとは思うのですが、そう考えた時にむしろエスパの方はボールを出来るだけ早く前に運ぶ事を優先していたように思います。ここ数試合バックパスの本数が減っているとは思っていましたが、この試合は特にそれが顕著でした。権田も特に後半は早めに前に蹴ってましたよね。これがこの試合の当初からの狙いだったのか、それともリードしたから割り切ったのかは正直わかりません。清水海月さんのレビューで「川崎戦に向けたトレーニングでは?」と書かれていて「なるほど!」といったん思いましたがそう言い切る事も出来ないし、五輪による中断明けの何試合かを見ないと何ともいえないなぁという感じでいます。とはいえ、相手の特徴や試合状況に応じて戦い方を微妙に変えながら勝ち点を拾う事が出来ているのは事実であり、そこにはチームの成長を感じます。また軸である「試合をコントロールするサッカー」はブレていません。5-3-2にしてからの戦いはまさにそれです。それに関しては全面的に信頼できるなとこの試合を観て改めて思いました。
Jリーグとしてはここから五輪による中断期間となりますが、エスパルスは今週末に昨季のチャンピオンチームである川崎をアイスタ日本平に迎えます。チケットは既にSOLD OUT。完全に格上の相手ですが無様な戦い方は出来ません。この試合に向けてロティーナ監督がどのような策をとるのか楽しみです。
P.S 清水海月さん、勝手にリンクを張ってすみません。
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