面白い試合だったよ(3/14 鳥栖戦)
昨日(3/14)はホーム・アイスタ日本平での鳥栖戦でした。前の日に雨が降ったおかげか富士山を非常に綺麗に見る事が出来ました。
試合はスコアレスドロー。ただ監督同士やピッチ内での選手同士あるいはチーム間での駆け引きが見えて、なかなか見応えのある面白い試合と感じ、ホームで勝てなかったのは残念ではありましたがある程度満足して帰宅しました。が、翌日に拝見したいくつかのブログでの評価が結構辛口で、「あれ?皆さん厳しいな」と思いました。まあ試合の見方、感じ方はいろいろではありますが、あるいはここ1年半の戦いぶりを経て僕の感覚がマヒしてしまい、すっかりM気質になったのかと変な心配もしてしまいました(汗)。
<明治安田生命J1リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 0ー0 サガン鳥栖
鳥栖は昨季のオフに原川、原、宮、高橋らの主力を引き抜かれた事で、降格候補と予想する識者も多くいました。が、開幕から3連勝中でしかも無失点という戦いで話題を集めていました。昨季も苦しい戦いをしましたが、金監督の指導の下でチームを整備し、10月のウチとの試合以降の13試合で1度しか負けておらず、ベースをしっかりと作っていました。それがあったからこそ主力を抜かれてもファン ソッコ、飯野、山下といった選手を補強する事で開幕ダッシュを果たす事が出来たのだと思います。
そんな鳥栖相手に、しかも連戦の中でロティーナ監督がどのように選手をやり繰りするかが注目されましたが、連続スタメンを続けてきた片山、竹内、後藤に代えて立田、ヘナト、唯人を起用。しかも立田、ヴァウド、鈴木義による3バックでカルリーニョス、サンタナの2トップで臨んできました。鳥栖がボールを持っている時は2トッププラス唯人で相手の動きをけん制し、後ろは中山が右WB、原が左WBの5人がラインを形成して5レーンを埋めていく。鳥栖は中盤、前線の選手が後ろへ落ちたりしてこちらの配置を動かそうとしますが、ゾーンを固める事を意識しているエスパの最終ラインが崩れる事はなく、今季初スタメンのヘナトが河井とともに前でフィルターとなったため、なかなかシュートチャンスを作れません。一方のエスパも最終ラインでボールを持った時にヘナトは必ず誰かにつかれていてその上で最終ラインへプレスをかけてくるのでサイドへ預けるしかなく、サイドへ預けても左の原の前には誰もいないから次の展開が作れず、右で立田が持っても中山からサンタナにウラへ走らせるボールしか出せず、しかもちょっと迷ったら鳥栖の選手達が容赦なく3~4人で囲みにきて奪われるばかりとなり、結局お互いにチャンスを作れないまま折り返しました。
後半、先に動いたのはエスパの方でした。前半は自重していた原や中山も2トップと一緒に相手最終ラインにプレスをかけにいくようになり、それによりエスパの方がペースを握り、50分過ぎのCKからの決定機など何度か鳥栖ゴール前に迫るようになりました。62分には怪我のヘナトに代えて竹内、唯人に代えて後藤を入れて中盤、前線での守備の強度を上げるとともにさらに攻撃的に行こうとしますが、当初はペースを乱していた鳥栖も65分くらいから落ち着きを取り戻してエスパゴール前に迫るようになり、試合は一進一退となります。終盤になれば同じメンバーで戦っている鳥栖の方の運動量が落ちるのではと思われましたが、運動量が落ちてきたのはエスパの方で、80分からは鳥栖に終始ボールを持たれる苦しい展開となりました。エスパは後半通して4本危険なシュートを浴びましたが、権田がその度にファインセーブを見せ、試合は結局スコアレスドローとなりました。
まずまさかエスパが3バックで来るとは思いませんでした。昨季C大阪が試合によって3バックを使っていた事は知っていましたが、ウチで指導を始めてから1か月半程度だし、まずは4-4-2でのゾーンディフェンスを浸透させる事を最優先にしているだろうと思ったので。まあ鳥栖は昨季もいやらしいポジション取りをして左右から揺さぶってくるサッカーをしていたし、今季は観た事はありませんでしたが再現性のあるビルドアップと前線での両サイドからの崩しをしてくると聞いており、そんな鳥栖相手に特にブロックのスライドの所が完璧でない状態で戦うのは厳しいと判断しての3バック選択だったのだろうと思います。ただ「急造の3バックで太刀打ちできるのか」と心配して観ていたのですが、非常に統率されたラインを作っていました。鳥栖にしたらスカウティングと全く違う分やりにくかったと思いますよ。門になりそうなスペースはないし、ウラ狙いのパスを出してもカバーされるし、後ろへ落ちて前を向いても5人の壁は崩れてないし、ですから。前半そうやって凌いだ上で後半はより前へ圧力をかけて相手のペースを乱すという応用も利かせる事が出来たし、急造のシステムにも関わらずこれだけ機能させる事が出来たのは今後を考えると非常に大きな収穫だと思います。
まあ攻撃がある程度機能したのは後半開始から70分くらいまでで、それ以外は長いボールを蹴っては拾われる事の繰り返しでしたから、それに不満を覚える人は多いと思います。でもさすがにこんな短期間で複数のシステムを攻守ともに機能させるのは不可能ですよ。中盤から前の人数が減るからその分プレスの逃げ道も作りずらいし、鳥栖の真ん中のパスコースを消しながらプレスをかけてくる形にも苦労させられましたしね。本当は前半のカルリーニョスのシュートがオフサイドになった時みたく真ん中でボールを引っかける回数を増やしたかったのでしょうけど、鳥栖はパス回しも上手かったですから。チームの完成度は間違いなく鳥栖の方が上でした。そんな中でも何とかロースコアの展開に持ち込むべくロティーナ監督が策を講じ、選手達がその策を100%とはいかないまでもしっかり遂行する事でゲームプラン通りのロースコアの戦いを持ち込めた事は十分評価できると思います。
ただ権田が試合後のコメントで言っていたように、ゲームプラン通り進めながら勝ち点3をもぎ取れなかったのは事実ですから、これに満足してはいけません。また今回の形はあくまでシーズンが開始してまだそれほどたっていない中で彼我の差を考慮してとったものだから、これからチーム力を磨いていって、いつもの4-3-3の形でも堂々と殴り合いの試合をして勝てるようにならないといけないし、あるいは3バックであっても前からプレスをかけて試合をコントロールできるようにならないといけないと思います。とはいえ、ロティーナ監督の引出しの多さは凄いなと改めて思いました。長年スペインでどちらかというと中小のクラブを率いてマドリーやバルサと丁々発止していただけの事はあります。またその引出しの中の1つをある程度遂行してくれた選手達を観て、「やっぱり今季は面白い」とも思いましたね。
次は中2日で広島と対戦します。このタイトなスケジュールで、しかも片山が怪我で4週間ほど離脱するという事でやり繰りがさらに大変になってしまいましたが、ここでロティーナ監督がどのような引出しを見せてくれるかに注目したいと思います。
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