開幕連勝ならず(3/6 福岡戦)
昨日(3/6)はエスパルスにとっての2021年シーズンホーム開幕戦となる福岡戦でした。良い天気に恵まれた事、オフシーズンに積極的な補強を行い前節は鹿島に勝っている事で期待されている事の2つからか上限ギリギリの約9,000人の観客が集まりました。
試合は早い時間帯に先制点を奪い、終盤までリードを奪いながら追いつかれての引き分けという残念な結果となり、14年ぶりの開幕連勝とはなりませんでした。試合後の観客は「まあしょんない」という事で、スタンドを回って挨拶する選手達に拍手を送る人達が殆どでしたが、今年からシャトルバスの乗り場が変わった事に伴い乗り場までの誘導が上手く出来ておらず、それでクラブ関係者に必要以上に声を荒げる人が出るなど、どこかモヤモヤとした感じとなりました。
<明治安田生命J1リーグ 於 IAIスタジアム日本平>
清水エスパルス 2ー2 アビスパ福岡
開幕戦とほぼ同じスタメン(ディサロを後藤に入れ替えただけ)で臨んだエスパルスは、開始直後は福岡の前からの圧力に苦しんだものの、サンタナやカルリーニョスの馬力のあるドリブルを起点として次第に福岡を押し込むようになり、12分、右サイドでボールを貰った中山が仕掛ける素振りをした後逆サイドのカルリーニョスへサイドチェンジ。カルリーニョスは内側にいた慶太に預け、慶太はカルリーニョスと入れ替わってサイドへボールを運んだ後でヒールで返し、そのボールをカルリーニョスが見事なコントロールショットでゴール右隅に沈め、エスパが先制に成功します。これで試合を優位に運ぶ事が出来るはずだったのですが、福岡が気落ちする事なく攻勢をかけてきて、エスパは押し込まれるようになりました。この日のエスパは相手最終ラインへのプレスを強めるべく4-3-3で臨んだのですが、福岡は細かいパス交換が上手くこちらの3トップのプレスをあっさりかいくぐり、中盤のスペースへどんどん侵入してきました。特に本来は締めるべき竹内の両脇に侵入されやすくなっていて、石津にペナ内に侵入され危険なシュートを打たれるなど予想以上にバタ付いてしまいました。しかしロティーナ監督は飲水タイムを境に守備時のフォーメーションを4-4-2に変更。これにより落ち着きを取り戻したエスパは次第にボールを握る時間帯を増やしていき、慶太のクロスからの後藤のヘッド、後藤の浮き球のパスからのサンタナのシュートなどの決定機を作りますが、いずれも決める事が出来ず1-0で前半を終了しました。
後半、早く同点に追いつきたい福岡は攻勢をかけてきましたが、エスパもボールが入ってくるたびはね返し、一進一退の攻防が続きました。しかし61分、エスパのクリアボールを拾った福岡がオーバーラップしてきたサロモンソンに展開。サロモンソンがダイレで折り返すと誰にも触る事なく逆サイドでフリーになっていた山岸へ。山岸がこれを冷静に決めて福岡が同点に追いつきます。これで盛り上がる福岡でしたが、エスパもここで攻撃のギアを上げていき福岡を押し込みます。そして65分、片山のロングスローはいったんはね返されますが、そのボールを拾った片山が2度浮き球のボールを入れ、2度目の時に福岡のGKがボールを取ろうと前に出てこれをファンブル。それを中山が左足でゴールへ叩き込み、エスパが再び勝ち越しに成功しました。再びリードを許した福岡は交代選手を入れるなどして攻勢を仕掛けますが、エスパは落ち着いた対応を見せて決定機を作らせず、逆に75分にディサロのヘッドのこぼれ球を中山がゴールへ入れるなど(これはオフサイド)反撃を行うなど時間を上手く使っていました。が、90分、福岡の後ろからのロングフィードから繋ごうとしたところペナから少し離れたところでヴァウドがファウルをしてしまい、そこからの直接FKでサロモンソンのシュートが壁のヴァウドに当たってコースが変わってしまいゴールイン。まさかの同点弾となってしまいます。その後エスパも懸命に反撃しますが勝ち越しには至らず、試合は引き分けとなりました。
まず福岡は予想以上に強いチームでした。チームが戦術的に洗練されてましたね。昨季J2の後半戦をほぼ無敗で駆け抜け昇格を勝ち取ったのはダテではなかったです。エスパはそんな福岡の効果的なパス回しとダイレでのパス交換に苦しみました。もともとゾーンディフェンスはブロックの間でダイレでパス交換をされるのが苦手だし、ブロックの間の中間ポジションに入られた時にどうチェックにいくかというところがまだまだ完全ではないですからね。だから特に前半4-3-3で守っている時は対応が後手になりがちだったし、1失点目のサロモンソンのクロスもダイレで入れられてますから、そのあたりは今後整備していくべきところだと思います。あと全体的に球際のところで負けてしまったり、セカンドボールを思うように拾えない事が多かったように思います。そこは戦術以前のところもあるし、こういう場面で勝つ回数を増やさないと本来ウチが目指しているボールを握る時間を増やす事でゲームをコントロールする事は出来ないので、そのへんも一人一人が心がけて欲しいところです。
ただこの日の一番の課題は試合の終わらせ方ですね。75~90分は福岡がどんどん前に放り込んできましたけど、エスパの方も落ち着いてはね返す事が出来ていたし、逆にカルリーニョスらの前への推進力を使って相手を自陣に戻させたりして試合をコントロールできていたと思うんですよ。それだけに90分頃にヴァウドが犯したファウルは余計でした。周りに福岡の選手が揃っているわけではなくウチの方が人数が揃っていたので、相手を前に向かせなければそれで良かったんです。こういった接戦をモノにするためには危険なところで余計なファウルをしないとかいったディテールのところで間違いを犯さない事が大事だと思います。だからヴァウドには猛省して欲しいし、他の選手達も注意して欲しいですね。
試合の終わり方があんな感じだったので苦言ばかりになっちゃいましたけど、試合全体をトータルで見ると良い内容だったと思います。今季初めてエスパルスの試合を生で観ましたが、新チームが始動してわずか1か月半にも関わらず選手達が新しい戦術を消化して面白い内容のサッカーをしているのを観る事が出来て良かったなと思います。とにかく攻守において精密なポジショニングを求められるにも関わらず、選手が流動的に入れ替わりながらそれぞれのポジションでの役割を理解している感じが見てとれたし、サイドチェンジを多用し自分達から動く事で相手を動かしてスペースを作りそこから崩していくという狙いも伝わってきて、見ていて面白かったです。例えば先制点の場面、中山からのサイドチェンジのボールがカルリーニョスに入った時、片山が猛然とインナーラップをかける事でペナ前でハーフスペースを埋めようとしていた福岡の選手を動かしてカルリーニョスや慶太が使えるスペースを作っているんですよね。そういった場面は他にも随所にあったし、後で見返して「なるほど」と思った場面が多くて改めて面白いと思いました。
個人を観ても、新加入の選手達を初めて生で観て「いい選手達が来てくれたなぁ」と改めて思いました。特にサンタナは強くてボールを収めてくれるし、鈍重に見えて足元が上手かったです。それと片山は前半の石津のシュートを戻ってクリアした場面や後半のロングスローばかりが印象に残りがちですが、前述のような後ろからのインナーラップを前述の得点シーン以外にも2~3回くらいやっていました。あれを見て「献身的な良い選手だなぁ」と思いました。昨季からのメンバーも竹内、カルリーニョス、慶太、後藤といったメンバーが良いプレーをしていたし、最後にミソをつけてしまったヴァウドも空中戦は無敵でした。こういった選手達が緻密な戦術に殺される事なく持ち味を出しているのを観て、これからこの戦い方を極めていけば間違いなく今季のエスパは強くなる、と思いました。勝ち点2を逃してしまったのは残念ですけどね。
この後は2週連続で水曜にリーグ戦が組まれています。エスパはアウェーでC大阪と対戦します。向こうの選手達はロティーナ監督のチームの戦い方を熟知しているからやりにくい試合になるかもしれませんが、ロティーナ監督とイヴァンヘッドコーチにとってもそれは同じなので、連戦という事でどうやり繰りするかも含めて、楽しみな試合です。
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