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2020年12月27日 (日)

2020年シーズン振り返り 後編

 ようやくまとまった時間がとれたので、後編にいきたいと思います。

 前編では今季の不振の原因と考える3項目のうち2項目について書きました。「①新型コロナ(武漢ウイルス)禍の影響」は他のチームにも影響を与えましたが、選手層が決して厚くないウチにとっては影響が大きかったと思います。けが人も多く出ましたしね。そして「②編成の失敗」については、前線の、特にウイングの不足が大きな悪い影響を与えました。来季に向けていち早くチアゴ サンタナを獲得したのは、それに対する反省からだと思います。

 今回取り上げるのは「③クラモフスキー前監督の経験不足」についてです。

③クラモフスキー前監督の経験不足

 2020年シーズンに際し、クラブは2019年のJ1を圧倒的な攻撃力で制した横浜FMでヘッドコーチをしていたピーター クラモフスキー氏を監督として招聘し、再建を託しました。これまでプロのトップチームで監督を務めた事のないクラモフスキー氏でしたが、就任早々「No.1にする」と高らかに宣言し、意欲的に仕事をしてくれました。練習ではただ走るだけの練習はせずボールを使ったメニューを中心にし、そのメニューの中で戦術で必要となる動き、判断を落とし込むようにしました。その練習はテセをして「非常にきつい」と言わしめるものでしたが、選手達はそうしたトレーニングにも意欲的に取り組み、お披露目となった2月中旬のルヴァン杯の川崎戦は1-5で惨敗したものの攻撃面では明らかな変化を見せ、続くリーグ開幕戦のF東戦では優勝候補相手にボールを握って優勢に試合を進め、1-3で逆転負けしたものの「今年は一味違うぞ」とサポに思わせる試合を見せてくれました。

 が、その開幕戦とリーグ再開後の数試合で見えてきたのは、クラモフスキー前監督は試合中に選手に声をかけたり指示をしたりせず、また選手交代も遅めで後手に回る事が多いという点でした。まあ野球やアメフトと違いサッカーの監督の仕事は試合前の様々な練習を通してチームを作り上げる事が大半で試合中の指示や選手交代はせいぜい2~3割程度と思っているのでそれほど気にする事ではないのですが、もう1つ見えてきたのは攻守において大枠の戦術は落とし込むけれど細かな約束事に関しては選手任せにしているところでした。だから特に守備において前からのプレスが嵌った時はいいのですが、それが効かずにこちらのブロックにボールを入れられると途端に誰がチェックにいくのかわからず相手をフリーにしてしまう場面が散見されました。前監督としたら「それは選手達で話し合って決めるもの」と思っていたのかもしれないし、マドリーみたいに成熟した選手達の集まりであればそれも可能でしょうが、ウチはチームとしては全く未成熟でしかも昨季とは真逆のサッカーをしているわけですから、監督によるサジェスチョンは必要だったと思います。結局それがないので、特に横浜FC戦あたりから守備において迷いが見え始めてそこから失点を重ねるようになり、前監督も経験不足からか有効な打開策をとれず、チームはクラブワーストタイの7連敗を喫してしまいました。

 ここでクラモフスキー監督は後ろを3枚にした3-5-2にする事で守備の立て直しを図ろうとし、それで連敗はいったん止まりましたが、結果的にこれによってチームはさらに混乱しました。後ろを厚くしただけで守備の約束事は不明確なままなのでシステム変更前よりも酷い失点を重ねるようになるし、前線の枚数が減ったのでビルドアップ時のプレスからの抜け道が少なくなってしまい一度押し込まれたらなかなか抜けられなくなってしまいました。このためまた5連敗。クラブもかばい切れなくなったのか、11/1でクラモフスキー氏と契約解除しました。

 まあ3バックにしたのは立田がサスペンションになったりソッコが怪我をしたりしてCBが足りなくなってヘナトや六平を最終ラインに回さざるを得なくなったという面もあったと思います。その意味では②の編成の部分が足枷になってしまったといえるでしょう。ただシステムを変えただけで守備の約束事を作ったように見えなかったのは前監督の失態と言っていいと思います。指導方法については監督によって様々だから大枠だけ作って細かいところは選手に任せるやり方もアリではあります。が、特に守備において問題が出た時に修正するための有効なサジェスチョンがないあたりは引き出しの少なさのようなものが表れているように感じます。失点を減らすための施策が3バックというのがその典型ですよね。そうしたチームが危機に陥った時の修正のための引き出しの少なさはクラモフスキー前監督の監督としての経験の無さから来たものなのだろうという事で、3つ目の要因として書かせて頂きました。もちろんこれは前監督だけの責任ではなく、彼を招へいしたクラブにも責任があります。クラモフスキー前監督に関しては選手や記者の方からも悪口のようなものはなかったと聞いています。それだけに申し訳なく思いますね。

 以上の3点が今季エスパルスが低迷した原因と考えます。本来ならJ2のプレーオフを勝ち抜いたチームと残留をかけて戦わなければならない順位だったわけで、メディアによっては「失われた1年」と評する向きもあります。が、僕はそこまで今季が酷かったとは思っていません。ボールを使ったメニューを中心にトレーニングを行いその中で戦術上必要な動きや判断を養う練習を取り入れられたのは非常に意義があったと思います。確か開幕前の練習にはアカデミーやスクールの監督、コーチが見学に訪れていたと聞いていますので、それが今後の育成に役に立てばいいなと思います。また唯人を筆頭に梅田、成岡、川本がチャンスを貰って大いにアピールしてくれた事も収穫でしょう。何よりも今シーズンを通して最終ラインから丁寧につないで攻撃を組み立てていくサッカーに取り組んだ事で、選手達のつなぐ技術はずいぶん上達したと思います。完敗に終わったアウェーの鹿島戦でさえ「そこ通すか」と思うような狭い所のパスを通す場面が結構ありましたからね。来季から監督となるロティーナ氏もボールを握って後ろから繋ぐサッカーをする方です。今季得た経験は確実に来季に活かされると思うしそうなって欲しいです。

 以上、長文駄文失礼致しました。「こういう見方もあるよね」程度に流して頂ければ幸いです。

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