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2020年12月24日 (木)

2020年シーズン振り返り 前編

 12/19のG大阪戦をもってエスパルスの2020年シーズンは終了しました。翌日の12/20でチームは解散し、一部の選手はスポンサーへの挨拶回りを行っているようですが、基本的にはオフに入っています。

 ちょうど良いタイミングですので、予告通り2020年のエスパルスについて振り返ってみたいと思います。

 今季のエスパルスの成績は以下の通りです。

  リーグ戦: 7勝20敗7分 勝ち点28 48得点70失点 最終順位 16位
  ルヴァン杯:0勝  3敗  勝ち点 0   3得点11失点 グループリーグ敗退

 改めて見ると惨憺たる成績ですね。特に失点の多さが際立っています。では何が原因だったかと考えると、以下の3つではないかなと思っています。

  ①新型コロナ(武漢ウイルス)禍の影響
  ②編成の失敗
  ③クラモフスキー前監督の経験不足

 以下、順番に述べていきます。

①新型コロナ(武漢ウイルス)禍の影響

 2020年を語る上でこれに触れないわけにはいきません。2020年シーズンは、夏にオリンピックが予定されていたために例年より1週間ほど早くスタートし、第1節でエスパは逆転負けこそ喫したものの昨季とは大きく異なったサッカーを披露し、「これは面白いシーズンになりそうだ。」と思わせてくれました。が、2月中旬あたりからの新型コロナ(武漢ウイルス)の影響を考慮して翌2節からリーグ戦、カップ戦ともに中断。その後も流行はなかなか収まらず、一時はチーム活動が休止を強いられました。その後5月末にようやく緊急事態宣言が解除され、J1は7月からリーグ戦を再開しましたが、第2節からの33試合をわずか5か月で消化しなければならなくなりました。

 これが与えた影響は非常に大きかったと思います。本来であれば土日のどちらかに試合をした後、次の試合までの6日間かけてリカバリーと前の試合の反省を受けての修正、そして次の試合の相手の分析を受けての戦術確認を行うのが1週間のサイクルとなりますが、今季はスケジュールが非常にタイトになって水曜にも容赦なく試合が組み込まれましたから、次の試合までの間にはリカバリーと次の相手の簡単な確認くらいしか出来ません。まして今季のエスパは昨季後半とは真逆のいわば攻撃に全振りしたようなサッカーですから、試合毎に修正点がたくさん出ていたはず。それを殆ど出来ずにとにかく試合をこなしていきましたから、なかなか修正点を潰しきれなかったのではないかと思います。

 またタイトなスケジュールは当然ながらコンディションにも影響を与えたと思います。けが人が相次ぎました。エウシーニョ、ソッコは怪我で欠場する事が多かったし、ヴァウドも何試合か怪我やコンディション不良で欠場しています。日本人では期待されていた石毛が大怪我を負って1年をほぼ棒に振ってしまったし、竹内なども数試合欠場してしまいました。何より2試合こなさないといけない週が3~4週連続して予定されていた時もありましたから、コンディションを考慮して休ませた場合も多かったですよね。このへんも予定通り2月後半からスタートして12月前半で終了するスケジュールになっていれば違っていただろうと思います。

 ただ、昨季と真逆のサッカーを行うという違いはあるものの、スケジュールの厳しさは他チームも同じです。その意味では②、③がウチ固有の現象という事になります。

②編成の失敗

 2020年に向けた編成としては、GKとCBをなかなか固められなかったという反省からか早めに動き始め、GKにネト ヴォルピ、CBにはヴァウドを獲得。また4-3-3が使われる事を想定してかウィングもできるアタッカーとしてスイスからカルリーニョスを、ドウグラスの移籍の穴を埋めるためタイの英雄、ティーラシンを獲得しました。さらに松原の穴を埋めるべく金井と奥井を急遽獲得するなど例年に比べて積極的に動いた方ではないかと思います。実際名前をあげたヴァウドとカルリーニョスは欠かせない存在になったし、名前は出し損ねたのですが、大分から獲得した後藤も攻撃における潤滑油として働いてくれました。

 が、この編成は後の戦いに悪い影響を与える事になりました。センターFWとウイングのところです。

 まずドウグラス退団の影響は大きかったですね。穴を埋める存在として期待されたティーラシンは開幕戦でいきなりゴールをあげるなど能力の高さを見せましたが、なかなか戦術にマッチせず周りとの呼吸も合わない事から次第に出番を失ってしまいました。代わりとして最初は後藤が使われましたが、彼も本来は相手を背負ってプレーするタイプではなくあちこち動き回ってスペースに入り込むタイプなのでセンターFWとしては使われなくなってトップ下に移っていきました。他にセンターFWが出来る存在としてはテセがいましたが、彼もクラモフスキー監督の信頼を得られず、結局当初はウイングとして使っていたカルリーニョスをセンターFWで使うようになり、それによりようやくセンターFWは定まりましたが、今度は肝心のウイングが出来る選手がいなくなりました。

 クラモフスキー前監督の戦術においてウイングは生命線です。昨季の横浜FMが良いお手本で、仲川、渡辺渓太、マテウス、エリキといった一人で局面を打開できる選手がいます。また横浜FMに近い戦術をとる監督としてペップ グアルディオラが挙げられますが、彼が指揮したバイエルンにはロッベンとリベリ、シティにはスターリング、サネ、マフレズなどがいます。彼らがサイドでボールを受けて最後の仕上げをしてセンターFWが仕留めるというのが基本パターンです。では今季のエスパでは?と考えると、やはり力不足なんですよね。仲川とかに比べると。カルリーニョスは前の所属のルガーノでウイングもやっていたみたいですが、加入後に見た限りでは真ん中に入りたがる傾向があったし、よりボールを触れる真ん中の方が合っていたように思います。他によく使われた選手は金子と西澤ですが、どちらも昨季はサイドのアタッカーだった選手。金子はサイドから突破するよりはよりゴールに近いところでのアジリティで勝負する方が良さが出るタイプだし、西澤も突破型の選手ではありません。よってウイングの位置にボールが入っても一人では突破出来ず、SBやトップ下がフォローする事で何とか崩そうとしてもなかなか上手くいかず、何とかラストパスを送っても真ん中と合わないでチャンスを逃したり、その前にボールロストしてカウンターを食らう場面が結構ありました。

 この記事を書くにあたって今季の試合に関する記事を読み返しているのですが、決定力不足を嘆いていた記事が結構あったんですよね。そこにはこのセンターFWとウイングに関する影響があったと思います。特にウイングの不在に関しては、この戦術を行うにあたってのこのポジションの重要性を前GMの大榎さんや現GMの大熊さんはどこまで理解していたのかな、とつい思ってしまいますね。

 長くなってしまったので、③は稿を改めて書きます。

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