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2020年11月15日 (日)

Miracle of 鹿児島デー(11/14 C大阪戦)

 昨日(11/14)はホーム・アイスタ日本平でのC大阪戦でした。当日は快晴でしかも寒すぎる事もない絶好のサッカー観戦日和で、富士山も綺麗に見る事が出来ました。

 エスパルスは10年以上前からシーズン前のキャンプを鹿児島で行っており、その縁で鹿児島市と良好な関係を築いてきました。この試合のマッチデースポンサーを鹿児島市にやって頂いた事も、その縁から来るものです。この「鹿児島デー」は過去9試合行われていて、エスパルスは1度も負けた事がないとの事。この日も今季ずっと上位を維持しているC大阪相手にがっぷり四つに戦って見事な勝利をあげたという事で、「鹿児島デー、スゲー!」と改めて思いました。(もっともタイトルのような’奇跡’による勝利とは思ってませんけどね)

<明治安田生命J1リーグ 於 IAIスタジアム日本平>

 清水エスパルス 3ー1 セレッソ大阪

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 両チームとも守備時は4-4-2で攻撃時にボランチが1枚下がってCBとの3人で組み立てを始めるほぼ同じスタイルの形をとっているわけですが、前半はスタイルの同じチームによる激しいせめぎ合いになりました。そんな中エスパルスは、守備時は2トップが真ん中へのパスコースを切ってサイドに誘導し、サイドにボールが入ったらSHもしくはSBが激しくチェックにいってボールを奪いに行き、攻撃に移ったらサイドに起点を作り、それに呼応して誰か(主に後藤)がハーフスペースに侵入して斜めのパスを貰ってそこから崩しにかかるという戦い方をとりました。ただC大阪の最終ラインは堅いのでなかなかそこから先への侵入が出来ず、そうこうしているうちにボールを奪った後の繋ぎのパスでミスが頻発した事とC大阪のSHの清武、坂元が中へ入ってきてタテパスを切りずらくなった事の2点により、25分くらいからの約15分間はC大阪にかなり押し込まれる展開となりました。この時間帯は全体が下がり過ぎてしまい、ボールを奪っても殆ど前へボールを繋ぐ事の出来ない苦しい時間帯だったのですが、全員が集中して対応した事により決定機を作られる事なく何とか乗りきる事ができました。ここを凌ぐ事が出来たのが1つ目の勝因ではないかと思います。

 後半、平岡監督は金子、後藤に代えてボールキープに長けた慶太と唯人を投入しました。金子も後藤も凄く献身的に守備をしてくれていたのですが、特に金子にボールを奪った後の繋ぎでのミスが目立ったので、「もう少しボールを握る時間帯を増やしたい」という理由による2枚代えではないかと思います。この交代による効果は絶大で2人ともボールを確実に前に運んでくれるので攻撃が活性化し、結果として後半開始からエスパがペースを引き寄せ、49分のヘナトのゴラッソに繋がりました。3~4回ワンツーを繰り返して強引に中央突破してのゴールですが、GKもかわした後にオーバーヘッドでゴールを押し込んだ判断は見事としか言いようがないです。これでエスパが優位に立ち、カウンターから何度かチャンスを作りましたが、C大阪は途中で攻撃を活性化させるべく柿谷、ブルーノ メンデスを投入。一方エスパは金井が怪我をしてしまったために左SBに立田を投入。立田は右SBは何度も経験していますが左SBはおそらく初めて。しかも利き足ではないサイドでのプレーという事でどうしてもプレーにぎこちなさが出てしまい、さらに左SHの慶太も金子、西澤ほどには守備が上手くないので、結果として62分から3回連続で左からのクロスから決定機を作られ、そのうちの3回目をモノにされてしまいました。その後も左サイドの好守でのぎこちなさは続いたのですが、見かねた平岡監督が立田とソッコのポジションを入れ替えて、それにより左サイドを安定化させて試合を五分の展開に戻しました。その後の10数分間はどっちに転んでもおかしくない展開だったと思うのですが、86分に慶太がカルリーニョスとのワンツーからペナ前に侵入しての見事なゴールを奪って勝ち越し。あそこは慶太のサイドにはたこうとしたところからシュートに切り替えた機転の見事さやシュート自体の上手さもさる事ながら、左SBに移ったソッコがちゃんとライン際にポジションをとって相手守備陣の注意をひいたのが地味に効いたと思います。その後はC大阪の反撃を身体を張って凌ぎ、90+4分には見事なカウンターからティーラシンとカルリーニョスの連携によりダメ押し。エスパルスが3-1で今季初の連勝を果たしました。

 勝因としては、やはり守備の約束事と各ポジションで何をすべきかが整理されて、それによりある程度押し込まれても我慢できるようになったのが一番大きいかなと思います。これまでは守備時の対応がどうしても緩くなって、「え?」という失点を早い時間帯に喫していました。それだといくらクラモフスキー監督下のトレーニングで試合終盤にも運動量が落ちないようになり試合終盤での得点が増えても、「焼け石の水」に終わってしまいますからね。何回そういう試合があった事か。それがここ3試合は守備である程度我慢して失点を抑える事が出来るようになったので、そうなると今季のエスパは終盤での得点が多いから、「我慢していれば最後には勝てる」というようなポジティブな考えが持てますよね。それと平岡監督の試合中の修正も光っていますね。後半頭から二枚代えするなんてこれまではなかったし、前節でもそうですが運動量が落ちたようならスパッと変えられる度胸があるようで、今のところそれが良い方向に出ているかなと思います。選手交替でなくてもこの日のソッコと立田のポジションの入れ替えとかどんどんやって来るし、それによって監督の意思を伝えるようになってきているのも今のところ上手くいっているようです。

 気になるのは最終ラインから前線に繋ぐ時のパターンが少し見えなくなっているところでしょうか。これに限らずある程度再現性のある攻撃の形を前監督抜きでいかに構築していくのかというのはチェックしていく必要があるかなと思います。またここ2試合はアイスタで試合を行う事が出来ましたが、次からアウェーでの試合が2つ続きます。守備の安定化が本物なのかはその2試合でさらに確認する必要があるでしょう。とはいえ、この日の試合のようにどちらに転ぶかわからない展開の試合を正攻法で勝ち切る事が出来たのは自信に思っていいと思います。今季は残り7試合ですが、この日得た自信を確信に変えられるようにするために、まずは次節の札幌戦に向けて最善の準備をして欲しいです。

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コメント

こんにちは。
前半はなかなか苦しい時間帯でしたね。セレッソのように一枚がCBの間に落ちるような形や3バック相手にどういう形でプレスをはめてくがこれからの課題になりそうですね。
まぁ試合の終盤に三人くらいで鬼プレスかけてるのを見たら、クロップのリバプールを平岡監督がプレスのやり方を参考にしているのかな?と思いました。
守備で我慢さえ出来ればなんとかなる!と言うのはモフさんの時からあったんですけどね。

主様のおっしゃる後ろからのビルドアップは確かに気になりましたね。
セレッソのプレスで危ないシーンや梅田が苦し紛れに前に蹴ると言うシーンがいくつかあり、竹内下がるとかやらないんですかね?
後ろからつなげないと相手ボールの時間増えますしね。
札幌戦でまたどうやるかが見所ですね。
守備ではしっかりどうやるかと言う部分を示して、攻撃は前監督の遺産に縦への意識を植え付けた。と言うのが監督が変わっての現状だと思いました。

投稿: はすき | 2020年11月15日 (日) 19時48分

はすきさん、コメントありがとうございます。

竹内は結構ボールを貰いに下がってきていたんですけど、相手の2トップに上手く消されてましたね。ここのところ最終ラインの繋ぎに繋ぎに梅田も上手く絡む事が出来るようになったと思っていたのですが、この日の試合のようにボランチへのコースを消されても勇気を持って繋ぐ事が出来るようになれば本物と言えるのかもしれません。

監督が変わっての現状についての認識は、僕も同意見です。試合後の会見で「立ち位置を明確にし過ぎた」というコメントがどこに関するものなのかがわからなかったので、札幌戦でどう変わるかも今後に向けての注目ポイントかもしれませんね。

投稿: YANA | 2020年11月15日 (日) 21時12分

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