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2020年10月 4日 (日)

劣化(10/3 大分戦)

 昨日(10/3)はアウェイでの大分戦でした。元々は第2節に組まれていた試合で、ちょうどその時期に休暇がとれていたので今季最初のアウェイ遠征にすべく宿をとっていました。結局新型コロナの影響で試合は延期となりましたが、せっかくとった宿を無駄にするのはもったいないと思って、大分と別府を旅行してきました。やっぱり鳥天が美味しかったですね。

 で、今回ですが、さすがに1年に2回も鳥天を食べに行く必要はなかろうと考えて、DAZNで観戦してました。もし現地で観ていたら発狂したでしょうね。

<明治安田生命J1リーグ 於 昭和電工ドーム大分>

 清水エスパルス 1ー2 大分トリニータ

 相手の大分が前節鹿島をアウェイで破るなどかなり調子を上げているようだったので、かなり苦戦する事は覚悟していました。が、覚悟していた以上に内容が乏しい試合でしたね。

 エスパルスのフォーメーションは、ドゥトラの1トップでカルリーニョスをシャドーに下げての3-4-2-1でした。おそらくは大分と同じシステムにして誰が誰をマークするのかをはっきりさせる事が目的だったのではないかと思います。が、その割には1トップ2シャドーの大分最終ラインへのプレスが甘く、おまけに最終ラインが前と連動しているわけでもないのに中途半端に高いから、大分はウラへ飛び出した味方へ楽にロングフィードを出したり、前線と最終ラインの間に出来たスペースにポジションをとった選手に出してこちらの最終ラインを下げさせたりするなどしてエスパを揺さぶってきました。特に狙われたのがこちらの左サイドの立田と西澤のところだったと思います。先制されたシーンはその典型で、立田が相手のシャドーが下がって受けようとする動きに釣られて前に出たところを狙って西澤の後ろへ走り出した小出へロングフィードを出してのもの。大分の一番得意なパターンで得点されてしまいました。勝ち越し点も田中に西澤の後ろへ走り込まれた事からのものですし、他の大分のチャンスも両サイド、特に左サイドのウラを突かれた時が多かったと思います。サイドでボールを持たれた時に他の選手がその内側へ入り込むところへの対応も後手後手だったし、相手の両ボランチにはいいようにボールを回されたし、そうやって動かされているうちにズルズル最終ラインが下がって大分にバイタルエリアを提供する始末。どうやって守るつもりだったのかが全然見えませんでした。

 もっと酷かったのが攻撃でした。基本フォーメーションは3-4-2-1で、二列目から飛び出す選手を増やす事で大分の最終ラインを狙おうとしていたのかなと思います。前半1度だけ後藤がウラへ飛び出そうとして、こぼれ球に反応したエウシーニョがシュートを打つシーンがありましたが、あれをもう少し増やしたかったのかなと思います。が、その形が見られたのはこの時だけで、それ以外は後藤やカルリーニョスがウラへの動き出しを見せてもボールは出ないし、そもそも大分の5-4のブロックの4のところを剥がすのに汲々としている始末。しょうがないので両WBへ付けるのですが、この時にボールを奪う事を大分は狙っていたみたいで、WBにボールが入った時に2~3人で囲むスピードが凄く早かったです。エウシーニョは足元の技術が高いので何とか逃れる事が出来ていましたが、西澤はそこまでの技術はないので、ボランチか後ろの立田がサポートに入った時でないとボールを活かす事が出来ません。大分は立田が攻撃に積極的に関与する事もあわせて考えて西澤の方をより狙っていたんじゃないかなと思います。そんな感じで全くサイドを活かす事ができない上に1トップ2シャドーが前に張り付くばかりなために真ん中も使えない状態。エウシーニョの個人技からのカルリーニョスへのタテパスによる同点ゴールは出たものの、それ以外の見せ場は数回。後半はボールを奪った時の後ろからの押し上げが時間がたつ毎に遅くなっていったため、決定機を1つも作る事なく終わってしまいました。

 一番の問題は、少なくとも浦和戦までは出来ていた最終ラインからアタッキングサードまでボールを繋ぐ事が殆ど出来なかった事です。以前は最終ラインの立田もしくはヴァウドから相手最終ライン前のハーフスペースにポジションをとった選手に直接タテパスを入れるか、ボランチが最終ラインからボールを引き出してサイドへ散らしたり真ん中にパスを入れるなどして相手陣へ繋いだりする形が出来ていました。しかしこの日は2シャドーはウラへの飛び出しか引いてボールの繋ぎを手伝うばかりで良いポジションを取る意識が見えず、六平、河井の両ボランチも相手ブロックの前でウロウロするだけで相手陣へ運ぶ意識が希薄。今季志向するサッカーで出来ていた数少ない要素がなくなっていました。原因は、サイドに人がいない、つまりウイングがいないからだと思います。3トップであればサイドにSB(or WB)とウイングの2人がいるので、サイドで少なくとも数的同数で対処する事が出来ました。しかし今は1人しかいません。初めて3-5-2にした湘南戦はもちろんそれほど対処する時間のなかった浦和戦まではそれでも対応できていましたが、名古屋戦ではシステム上数的不利になるためにサイドが全く機能しなかったし、大分戦でも前述の通りばっちり対応されてしまい、特に西澤は本来の良さを全く活かす事が出来ませんでした。

 退場者が出てしまったアウェイの横浜FM戦は論外として、その前の鹿島戦まではサイドもしくはその内側のレーンを使って相手陣までボールを運ぶ事が出来ていました。それはサイドとその内側に2つ相手陣へのボールの運び先を確保していたからです。にも関わらず2トップにする事でボールを相手陣へ運ぶコースを自ら無くしてしまった。その上この日のエスパからは相手より優位なポジションでボールを受け、それに連動して周りが動き出してスペースを作り出すという本来のサッカーが全く出来ていなかった。それをやっていたのはこのサッカーをずっとやって来た大分の方でした。いわゆるレイオフによるボール運びなんかバンバンやってましたからね。そしてそれはつい2試合前の浦和戦ではウチも結構やっていたんですよ。そういう部分がこの試合では本当に劣化してしまったなと感じました。

 よく解説の方(川勝さんとか)が「システムが変わっても同じようなサッカーが出来れば問題がないし、そこばかり見ると見誤ってしまう」というような事を仰っており、僕もうなずけるところはあります。が、少なくともこの日エスパからは3トップを止めた事による弊害がかなり出てしまっているし、そもそもシステムが変わっても同じサッカーが出来るほどチームとして成熟してはいません。相手陣のサイドでのポイントを作りやすくする意味でも前線は3トップに戻すべきです。でないとせっかくここまでやってきたサッカーを捨てる事になります。最終ラインが3か4か以上にトップの枚数が問題だと思うので、そこはブレずにやって欲しいです。

 これで今季3度目の3連敗。地元有力紙を始め風当たりはかなり強くなっています。特にこの試合の前はこれまでと違って準備期間が6日ありましたからね。今度のホームでの広島戦でも同じような敗戦を喫するようなら風当たりはさらに強まるでしょう。ただ僕としては結果そのものより内容がどうなったかで評価したいと思っており、これまで志向してきたサッカーで見られた良さをさらに突き詰めようとしているならばある程度納得は出来ます。が、この日のように今までの良さを結果的に全面放棄してしまっては擁護のしようがありません。次の試合まで今日を含めて6日間あるので、もう1度選手、スタッフ全員でブレずに準備してくれる事を願います。

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コメント

こんにちわ
「一番の問題は、少なくとも浦和戦までは出来ていた最終ラインからアタッキングサードまでボールを繋ぐ事が殆ど出来なかった事です。・・・・」
同感です。
実はこれってエスパルスが2014年から患っている病気なのではないでしょうか?私が思うには、エスパルスは昨年まで出来ていた事がオフを挟むと全く出来なくなる(選手や監督が言うほど変わっていなくても)なので戦術の積み上げが全く出来ないチームだと思います。なので「ピーター監督を解任に反対です。今彼をクビにしたら今までしてきた事が無駄になる」と監督解任反対派の意見は全く意味のない事だと思ってます。
今エスパルスに必要なのはフロントならびに元GMが異常なまでに拘り続けている『ポゼッションサッカー』ではなく、身の丈に合ったサッカーをした方が良いのでは?
改善するには
①戦術を浸透させる事の出来る指導者ならびにスタッフの招集。
②「諦めない」メンタルの徹底(パスミスからルーズ気味になったボールの即諦め、仲間が囲まれた時フォローに入らない諦め、ゴール前既に諦めているのかボールウォッチャーになる等)
③怪我など予防する為に徹底したストレッチなどのメンテナンス(サッカーは怪我が付き物です、大げさに言うと「プレイ時間の3倍ストレッチしろ」なんて言われるほどストレッチは本来重要ですが、エスパルスの選手の何人がストレッチ等を重要視しているのか?
④『〇〇イズム』の継承・・・清水とは全くの真逆で選手が変わっても、監督が変わっても、戦術が変わっても常に上位にいるチームがあります。そう言った羨ましいチームの精神性を学ぶ
⑤身内出身の神格化の廃止・・・身内に甘く、外様に非常に厳しい体質がありますが、身内だろうとダメなモノはダメ、外様だろうと良いものは良いという風にしなければなりません。(選手だけでなく、スタッフ、フロントなど、結果を残さず寧ろマイナスな結果を出している人物にはエスパルスから去ってもらう(地元、レジェンドは本当に超大切ですが、エスパルスに大ダメージを与えても『OBだったら処分なし』の体制がエスパルスから危機感を無くし低迷下させている理由だとおもいます。
ですかね。

投稿: 橙天使 | 2020年10月 5日 (月) 11時58分

燈天使さん、コメントありがとうございます。

まず戦術の積み上げ云々については確かにそういうところはありますが、例えば2016年から2017年にかけては大前や三浦が抜けたり、2018年から2019年にかけてはフレイレと白崎が抜けたりと、結構キーマンが抜けているんですよね。だから体質的なものと断定はしきれないかなと思います。

あと①~⑤はいずれも興味深かったのですが、中でも⑤については賛成です。クラブ内外含めて外様に厳しいのは何とかできないかと思います。

一方で、県外出身の人間が言うべきではないとは思いますが、サッカー王国だったがゆえのプライドが静岡・清水の方って高いじゃないですか。だからそういった方達を黙らせるための「神輿」が要るように思います。その役の担い手として前GMは理想的な方だと思うし、その方が素晴らしいエスパルスサッカーのフィロソフィーを作ってくれればそれに越した事はないとも思っています。(一見物凄く意地の悪い考えかもしれませんが(汗))

投稿: YANA | 2020年10月 5日 (月) 22時29分

こんにちは。
自分も主様と同じで勝ちよりかは内容をいかに上積み出来るかを今シーズンは見ていました。
夏の連敗はそこまで深くは気にしていなかったですが、今の連敗は根本を変えないと厳しいと感じています。
システム論としとはスタートの立ち位置の数字の羅列であって、ポゼッションに置いてはさしたる意味はないと自分は考えます。ペップなんかも3バック併用しますし。
ただ清水の場合はまったく別物になっています。主様は成熟と言う事をか書かれていますね。
2CBの間にアンカーが落ちてきてSBが高い位置を取ってると考えれば特に不思議なら形ではないですし。
ヘナトが3バックのセンターやってますけど、個人的にはカバーリングとパス出しを考慮すれば六平がベストではないかと考えます。

攻撃に関しては、ここ数年思ってますけど、フリーランニングの量も質も低い。正直、後藤、ヘナトとエウシーニョくらいしか出来てないように思います。
大分の先制されたシーンなんか動いて立田を吊って空いたスペースにロングボール。プレスが甘いのもありますが見事に連動した攻撃ですよね?
清水はパスを回して細かい動き出しはするけど、スペースに飛び込んだり、相手を吊る動きが少ない効果が薄いのもあって、中固められると手詰まりになりバックパス、ミスからカウンター。
相手チームが対策をうってきてる現状は勝ち点すら拾えないですよね。
ポゼッションはパスを回して穴を見つけてそこを突くやり方ではあるから少し今の話は意味合いは違うかもしれませんがね。

投稿: はすき | 2020年10月 6日 (火) 08時33分

はすきさん、コメントありがとうございます。

システム論に関しては仰る通りで、スタートの立ち位置の問題だけではあります。ただエスパは例えばシティのように成熟してないので、少なくともサイドには2人置いてどちらかで幅をとるようにしないといけないと思っています。

一方で攻撃時にスペースに走り込んだり相手を吊ったりするためのフリーランニングが足りないというのは、仰る通りでここ数年ずっと悩んでいる問題だと思います。今季加入した後藤が一番そういう意識が高い事を考えると、補強により選手を入れ替えたり若い唯人、川本、成岡の台頭を待つしかないのかもしれませんね。

投稿: YANA | 2020年10月 6日 (火) 22時14分

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