思い出の試合5(2001年5月16日 UEFAカップ決勝 リバプールvsアラベス)
「思い出の試合」シリーズ(汗)、またエスパルスネタから離れますが、久しぶりに観て、「これは自分のブログに記録として残しておきたいな」と思ったので、書こうと思います。ご興味のある方は読んで頂けると幸いです。
UEFAカップは今のヨーロッパリーグの前身となる大会で、イングランドやスベインからは大体5~7位くらいのチームが出場します。リバプールはイングランドきっての強豪ですが、80年代半ばのヘイゼルの悲劇により7年間ヨーロッパのカップ戦から締め出され、この時がUEFAカップでは24年ぶり、チャンピオンズリーグ(チャンピオンズカップ)を含めたヨーロッパのカップ戦では15年ぶりの決勝進出でした。とはいえこの時のチームにはアカデミー出身のオーウェン、ジェラード、キャラガーを始めヘスキー、バベル、ハマンら有名選手が数多く在籍し、国内のリーグカップ、FAカップを制していました。
一方のアラベスはスペイン・バスク地方にあるクラブ。創設な1921年ですがトップリーグに属した年数は多くはなく1996-97年シーズンに42年ぶりでプリメーラ(1部)に昇格したばかりで、このシーズンがUEFAカップ初出場でした。所属選手もスペイン代表のハビ・モレーノ、ルーマニア代表のコントラ、そしてオランダ代表歴がありヨハン・クライフの息子のジョルディ・クライフがそこそこ知られているくらいで、あとは無名選手ばかりでした。試合前の下馬評はもちろんリバプールが上で、僕もそのように思っていました。
両チームのメンバーは以下の通りです。
(リバプール)
GK ベスタフェルト
DF バベル、アンショズ、ヒーピア、キャラガー
MF ハマン、マカリスター、ジェラード、マーフィー
FW オーウェン、ヘスキー
SUB アルフェサ、ヴィニャル、ライト、スミチェル、ベルガー、バーンビー、ファウラー
(アラベス)
GK エレーラ
DF エッゲン、カルモナ、テジェス、コントラ、ヘリ
MF デシオ、トミッチ、アストゥディージョ、ジョルディ・クライフ
FW ハビ・モレーノ
SUB キケ、ベゴーニャ、ガニャン、アスコイティア、パブロ、マグノ、イヴァン・アロンソ
アラベスはリバプールの攻撃力を警戒し、フォーメーションをいつもの4-4-2から5-4-1にして臨みましたが、開始早々の4分にセットプレーからバベルに先制弾を許します。これで気落ちしたのか16分にはパスミスからジェラードに2点目を決められ、早々に0-2となってしまいました。選手達が気落ちする中、マネ監督はDFのエッゲンを下げてFWのイヴァン・アロンソを投入して、フォーメーションを4-4-2に戻します。すると26分、コントラの右からのクロスにイヴァン・アロンソが合わせてアラベスが1点を返します。これで気を取り直したアラベスがイヴァン・アロンソのポストプレーを軸にリバプール陣に迫りいくつかの決定機を作ります。リバプールはこれをベスタフェルトの攻守で凌ぐと、41分、マカリスターがオーウェンへ絶妙のスルーパスを出してGKと1対1になり、オーウェンがGKに倒されてPKを得ます。マカリスターがこれを確実に決めて、前半は3-1で折り返しました。
後半、アラベスはアストゥディージョを下げてより攻撃的なマグノを投入し勝負に出ます。すると47分、再びコントラのクロスからハビ・モレーノがヘッドを決めて1点差。その2分後にゴール前でFKを得ると、ハビ・モレーノが壁の下を通すシュート!ベスタフェルトは全く反応できず、アラベスがあっと言う間に同点に追いつきます。この後は両チームによる激しい攻め合いとなりますが、リバプールのウリエ監督はスミチェル、ファウラーといった攻撃のカードを次々と切り、これに対してマネ監督がエースのハビ・モレーノを下げてパブロを投入しバランスを整えつつイヴァン・アロンソのポストプレーからの押し上げに活路を見出そうとします。そして72分、マカリスターのタテパスを受けたファウラーがDFをかわしながらゴール右隅にねじ込み、リバプールが再び突き放します。このままリバプールが逃げ切るかと思われましたが、89分、CKからジョルディ・クライフが同点ゴールを叩き込み、試合はゴールデンゴール方式の延長戦に突入しました。
延長戦も両チームとも疲れはありながらも攻め込む姿勢を見せますが、98分、マグノが2枚目の警告で退場。アラベスは数的不利になりながら何とか耐えていましたが、116分、今度はアラベスの守備の要、カルモナが2枚目の警告で退場。その直後のFKでヘリがクリアしようとしたボールがゴールに吸い込まれてオウン・ゴール。リバプールが5-4で3度目のUEFAカップ制覇とカップ戦トレブルを達成しました。
この年のリバプールは手堅いチームというイメージがありましたね。実際守備陣は代表クラスが揃っていて、一方で2トップはオーウェン、ヘスキーにファウラーですから、「守備を固めてカウンター」という戦法がはまっていたし、実際強かったですね。ただこの試合を観て「すごいな」と思ったのが、元スコットランド代表のギャリー・マカリスターですね。当時36歳だったのに、リバプールの若手のホープであるジェラードを右サイドに追いやり、中盤の要として君臨していたんですからね。リバプールのこの日の5得点には全てマカリスターが絡んでいたわけだし、ジェラードもかなり影響を受けたのではないでしょうか。
ただこの試合が記憶に残っているのは何と言ってもアラベスの頑張りですよ。前述の通りの無名のチームがイングランドきっての強豪と互角以上に渡り合ったのですから。僕も初見の時は本当に興奮しました。サッカーのスタイルは古典的な4-4-2で、バスクのチームらしいオーソドックスなスタイルですけど、ビルバオほどにはフィジカルには頼らず、長短のパスを上手く組み合わせながらリバプール守備陣を何度も慌てさせていました。個人に目を向けても、CBとして奮戦したカルモナ、右サイドの槍のコントラ、2トップのハビ・モレーノとイヴァン・アロンソとこの2人に上手く絡んだジョルディ・クライフとなかなか魅力的な選手達が揃っていました。お金の動きが大きくなり過ぎた昨今のフットボール界ですが、たまにこういう無名のチームが出てくるからフットボールは面白いんですよね。この試合に関してはヨーロッパのフットボール界の歴史に残る試合だと思います。
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