« 2018年シーズン振り返りその2 今季良くなった所と課題 | トップページ | 2018年オフの動きその5 »

2018年12月24日 (月)

2018シーズン振り返りその3 今季のエスパルスのサッカー

 ここ数日の報道により、動揺しているエスパサポの方々は多いと思います。かく言う僕もその一人です。ただ、あまり未確定情報でワタワタしてもしょうがありません。ここは現実逃避のためにも(汗)、予告通りに今季のエスパルスのサッカーを振り返りたいと思います。例によって記憶を頼りにダラダラと書く事になりますが、そこはご容赦下さい。

 今季のエスパルスのサッカーを語る時に欠かせない数字としては、以下が挙げられると思います。

  ・ボール支配率:44.1%(J1 最下位)
  ・得点数:56点(J1 2位)
  ・失点数:48点(J1 9位)

 ※FootballLABから抜粋

 まず目につくのがボール支配率の低さですね。確かに言われてみれば相手にボールを握られる時間帯が続き、その中でも昨季よりも強度とコンパクトさを増した4-4-2のブロックによって、相手の攻撃をはね返すシーンをよく見た記憶はあります。だから今季のエスパのサッカーを称して「堅守速攻型」と捉える向きが多いのもうなずけます。

 まあサッカーはボール支配率を競う競技ではありません。90分間でより多くゴールを陥れた方が勝つわけです。その意味ではいくらボールを握られようがボールを奪ってから相手のスキを突いて素早く攻めてゴールを奪う方が、相手にゴールを固められた中で得点を奪うよりも楽ですから、その方がゴールを奪える可能性が高まるわけです。今季のエスパでは「相手の守備陣形が整う前に攻め切る」という考えが徹底されていたようですが、その考え方も理にかなっていますから、それが今季順位を上げたポイントの1つと言えるでしょう。

 ただ、では今季のエスパルスのサッカーが従来の「堅守速攻型」と言い切れるかというと、そこも違うような気がするんですよね。

 なんせ今季は56得点をとっています。J1で2位です。カウンターとセットプレーだけでこれだけの点はとれませんよ。それに従来の「堅守速攻型」のイメージって、貝のように自陣にこもってチャンスをうかがい、チャンスと見るや数人の能力の高い選手でもってゴールをかっさらうというイメージがあります。エスパを振り返ると北川、ドウグラス、金子の3人で得点の半分以上を奪っていますから、ついそれにつられがちなのですが、実際に3人だけで得点をとったわけではないのは、今季のエスパを見てきた方ならわかりますよね。

 今季のエスパの攻撃の形は、ボールを奪ったらSHは中に絞ってSBが上がるスペースを開け、そこにSBが上がって攻撃の起点となる。2トップは両SHと連携して中央を攻略し、それをセンターMFがサポートする。そんな感じで攻撃に人数をかけてきて、時には2バックのような形になる事も厭わない陣形をとるわけです。まあ全てのチャンスでここまで人数をかける事はないですし、ダービーの1,2点目のように2トップだけで点をとる場面もありましたが、ボールを奪った瞬間に2トップ以外の選手も前に走り出して相手陣に殺到する姿を何度も僕らは見てるわけで、そこから考えると今季のエスパのサッカーが「守備的」とは思えないんですよね。

 攻撃時に前に人数をかける時の狙いとして、「ボールを奪われた時に素早くボールを奪い返すためのポジショニングを取りやすくする」というのもあるかと思います。ボールを奪われた瞬間のいわゆるネガティブ・トランジションを早くする事でボールを奪い返す事が出来れば、それだけ相手のゴールを奪える可能性が高くなります。ボールを奪えなくても相手の攻撃を遅らせる事にもつながります。サッカーは攻守一体で考えるべきものだと思うので、これも理にかなっていると思います。

 こうやって今季のエスパルスのサッカーを整理していった時、思い浮かぶのがライプツィヒやホッフェンハイムのサッカーですね。攻守においてのポジショニングを重視している事も含め、今季のエスパルスのサッカーってここ数年のヨーロッパのサッカーの潮流を上手く取り入れている感じがあって、それが見ている側とすると嬉しいですね。これも原型は小林前監督が作ったものなのですが、そこへヨンソン監督が現場で学んだ事を上手くチームへ落とし込んでいて、それが少しずつ形になって表れてきた結果が終盤の7試合負け無しにつながったと思います。

 ここまで書いて来た内容も十分面白いのですが、実はこれがヨンソン監督が思い描くサッカーの最終形ではないと思っているんです。理由はホームのC大阪戦の前半です。あの試合でのエスパは最初から相手を押し込み、ボールを奪われてもすぐに前からプレッシャーをかけてパスコースなどを限定し、自陣に入る前に河井、白崎あたりがボールを回収して二次、三次攻撃につなげていきました。ヨンソン監督が目指す理想形ってこの45分間ではないかなと思っているのです。今はネガティブトランジションにおけるボールの奪い方が洗練されていない事や選手個々の能力等によって出来ないでいると思うのですが、来年、再来年とチームがヨンソン監督の指導の下で強化され経験を積んでいけば、次第にその理想に近付いていけるかもしれません。今のサッカーが「堅守速攻型の皮をかぶりながら相手をタコ殴りにするサッカー」だとして、それが「90分間相手をタコ殴りにするサッカー」に変わっていったら、面白いと思いませんか?

 まあ最後のは半分妄想ですけどね(汗)。でも可能性はあると思います。ヨンソン監督には引き出しが多そうですし、ペイトンコーチもいますからね。何にせよ、来季どんなサッカーを見せてくれるかを楽しみにしたいと思います。

※ブログランキング参加中です。

にほんブログ村 サッカーブログ 清水エスパルスへ
にほんブログ村

|

« 2018年シーズン振り返りその2 今季良くなった所と課題 | トップページ | 2018年オフの動きその5 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2018シーズン振り返りその3 今季のエスパルスのサッカー:

« 2018年シーズン振り返りその2 今季良くなった所と課題 | トップページ | 2018年オフの動きその5 »